見出し画像

質問力アップで、仕事の壁を超える


はじめに

エンジニアの M.Yoshiakiです。
新しいことや環境にチャレンジすると、何かしら壁にぶつかることがあります。最近、自分の中で大きな壁になったのは「質問の仕方」でした。
今までの質問方法では、なぜかタスク進行に必要な情報の収集ができない。ちょっとここらでやり方を変えてみる必要があるかもと気づきました。

これまでうまくいっていた質問方法では対処できなくなってきた背景とその解決策について、自分なりに試行錯誤したので過程も含めてまとめてみました。同じ悩みを持つ人にとって、参考になることがあればうれしいです。

新人エンジニア時代を振り返える

新人の頃、自分で解決できない問題はだいたい「実装途中でエラーが発生し、解決策がわからない」というものでした。なので、質問する内容はだいたい二通り。

① エラーの原因を探す方法や解決策について質問する
② すでにある資料や仕様書、コードに対してうまく理解できない部分の質問をする

このような場合、何を聞きたいのか明確です。
知りたいことは、主にエラーの原因または解決方法、技術用語の意味や解説など。チームのリーダーか、年の近い先輩に対して質問し、解決を図っていました。

相手は自分の実装タスクを詳しく把握していないという前提のもと「①結論」「②発生事象」「③経過」を質問前に整理しておくと、うまくコミュニケーションが取れてスムーズにエラーの解消ができました。


エラーが発生して質問する際に整理しておくとよいこと

①結論
→何をどうしたいのか?何を聞きたいのか?

②発生事象
→何が発生したのか?
→問題が発生した内容、エラーログの内容

③経過
→何をしてエラーが発生したのか、操作方法や作業内容
→エラーが発生後、何を調べて何を試したのか


「質問返し」が自分を振り返るきっかけに

質問がうまくできていないと認識したきっかけは、自分の質問に対して相手から逆に質問がくる回数が圧倒的に増えたことです。例えば「どんな場面を想定した質問ですか?」とか。

前提があいまいで答えづらい質問になっている、さらに質問をした後のイメージができていないからではないかと思い至りました。

「質問をした後のイメージ」というのは、答えを得た後の自分のアクションのことです。回答を得た後に、どうドキュメントを作成するのか、どうロジックを組み立てるのかイメージが確立していませんでした。要するに、回答から紐づく次のアクションが発生しない質問をしていたのです。

新人時代に質問方法のベストスタイルだと思っていたものが、全く役に立たなくなっていることに気づきました。

なぜうまくいかなくなったのか、考察をしてみた

では、なぜ新人のときに身につけた質問方法が役に立たなくなったのか。
自分なりに原因を考察してみました。

原因① 問題の性質が変化

新人の頃は、バグの原因や解決策がわからないなど局所的で単純な問題が多かったように思います。
一方で、最近直面する問題は検討内容の幅が広く、複雑になってきました。まったく同じ状況は過去に発生しておらず、状況に合わせた最適なロジックを考えることが要求されます。一つの回答で単純に解決できることは少なくなり、複数のソースから情報を組み合わせて解決するような問題が発生することが増えました。そしてそういった問題は、そもそも根本的なところが可視化されておらず、自分で発見しなければならないものが多いのです。
当然ではありますが、自分の成長や立場の変化に合わせて、直面する問題の性質も大きく変わっていたことが原因の一つです。

原因② 問題の構造理解が足りていない

原因の二つ目は、問題となる事柄の構造が理解できていない点だと感じました。
問題の根本的な状況把握ができておらず、検討しやすいレベルまで細分化できていない状態では、解決するための質問も的外れなものになってしまう可能性があります。

例えばシステムの要件を検討する際は、実現可能なのかを念頭に置いて考えます。この際にデータがどこで発生し、どう加工されてDBに登録・変更されるのか、また、データ同士がどのように関連しているのか構造を理解できていないと、そもそも実現可能な要件定義はできません。
同じように、確認すべき事柄の構造理解が足りていない状態だと、問題の突破口や必要なプロセスもわからないので、解決に至るための適切な質問もできません。

問題の構造理解ができていれば、解決のためにどういったプロセスが必要なのか、何がネックになっているのかも見えてきます。これは経験によって理解が深まる部分もあるので、最初は難しく感じますが、構造が理解できれば確認すべき事柄に対して的を射た質問も可能になるのです。

質問の精度をあげるために重要なこと

では、単純な質問で解決できない問題に対して、どうやって質問の精度あげていけばよいのか。

自分で検討した案に対して意見をもらう、チェックをしてもらうなど、模範解答ではなく最適解を求めるような「決まった答えがない問題」について、前提も含めて以下のようなアプローチを検討してみました。


案を検討して質問する際に整理しておくとよいこと

①想定シーン/条件
→ユーザーがどんな業務を行うことを想定したシーンなのか
→質問したい場面が発生するシチュエーションはどんな場面か
→質問に応えるための前提を提示

②課題点/解決策
→改善ポイントや変更したい意図は何か
→課題点を解決する検討案を提示
→扱っている問題の全体像を提示

③質問内容
→~はどう考えるか、ご意見をお聞かせください。など質問文
→聞きたいことは何か提示

④質問後のアクション
→回答の期待値を想定し、次の行動を検討する
→回答の重要度を鑑みて、質問をするレベルか検討する


「① 想定シーン/条件」では、問題が発生している事象について整理します。誰が何をいつ、どこでといった状況を相手に伝え、どんなシュチエーションなのか整理し、共通認識をつくります。

次に「②課題点/解決策」を提示します。例えば「○○には課題点がありますが、□□という解決策で対応します」などです。決まった答えのない質問なので、この②が一番の肝になります。自分で考えた案を順序立て、抜け漏れなく説明します。
説明量が多くなるかもしれませんが、簡潔にしすぎると説明しきれない可能性もあります。質を求めることも大切ですが、量に頼ることも悪くはないと思います。

次の「③質問内容」は短くて良いと思っています。この手の質問は質問文自体ではなく、質問に至る前後の方が重要なので。
自分と相手の考えをすり合わせることや、次のアクションを起こしていくことに価値があるので「②課題点/解決策」や「④質問後のアクション」を具体的にそして詳細にした方が良いです。

そして「④質問後のアクション」がどれくらい鮮明にイメージできるかによって、質問の「威力」が決まります。アクションを明確にイメージしたうえで質問ができれば、ドキュメントの精度をあげたり、次の合意形成がしやすくなります。逆にいうと、質問後のアクションが不明確だと質問の意図が伝わりづらくなります。

さらに質問力をアップさせるための三つのポイント

ここまで「何を質問するか」と「どのように質問するか」を記載してきました。これで一応大事なところは押さえられると思うのですが、もう少し質問の精度を上げるためのポイントを三つ紹介します。

ポイント① 誰に質問するか

新人の頃は同じプロジェクトの先輩や上司など、質問する人がほぼ決まっていました。しかし、役回りが変わるにつれてステークホルダーが増えてきて、誰に聞くか検討が必要になります。

部署や役職によって、知っていることや判断できることに濃淡があり、しかるべき人に質問しないと十分な回答を得られません。部署や役職、担当業務をヒントにして、この質問は○○さんに聞けば答えてくれるだろうという、見込みを考えていきます。日頃のコミュニケーションがこのような時に、じわじわ効いてきます。

ポイント② いつ質問するか

タイミングを検討するのは意外と重要です。扱っている問題の緊急性・優先度と関係してくるからです。検討する観点としては、扱っている問題/課題をいつまでに片づけるのか、テキストベースで質問できるか(それとも対面で説明が必要か)、質問する相手のスケジュール調整が可能かなどがあげられます。

緊急性の高い課題を抱えていて、そのための質問であれば即時性が必要です。素早く質問するのであれば、チャットなどでDMするのが近道でしょう。

一方、緊急性があまり高くないのであれば、定例会議や空いている時間に質問することでもよいでしょう。「チャットなどでDM~」と記載しましたが、質問形式もタイミングを検討する観点です。資料を送って意見ください。という聞き方もできるでしょうし、会議を設定する方法もあります。会議をするのであれば、自分の都合だけでなく相手の都合もあるので、質問のタイミングに影響します。

ポイント③ 質問のための資料作成

質問をするのに、チャットや口頭だけで済む場合も多分にありますが、資料をつくって説明が必要な場合もあります。前提や課題が複雑な場合は、図やスクショ、表などを作成して視覚的に整理されたドキュメントをもとに説明をした方が相手に伝わりやすいケースもあります。資料は残せるので、後からの見返しや認識合わせをすることに一役買います。

資料をつくるかどうかは、質問の複雑さやボリューム、重要度によって決めています。資料をつくることが目的ではなく、質問を適切に伝えて回答を引き出すための資料なので簡易的に作成しています。
例えば、画面の項目について質問するのであれば、テキストで「○○画面の○○ボタンについて、~」と伝えるより、画面のスクリーンショットを取得してボタンを赤枠で囲んだ資料を見せた方が伝わりやすいです。

そして、時間と相談しながら(必要であれば)資料を作成していきます。個人的には、質問する際に「たたき台」のようなものを作成して、質問事項をコメントに記載しておく方が感触がよいです。

おわりに

自分の考えていることをうまく出力できなくて、四苦八苦していました。ゴールとプロセスがイメージできず、場当たり的な質問で相手に不信感を与えてしまったこともあります。ただ、ふと考えると質問の仕方によって信頼を勝ち取れることもありそうです。

優秀な人はよく、大局を見てハッとするような質問をしています。信頼はこのような発言からも積みあがっていきます。質問の内容や仕方で力量が推し量れてしまうんです。優秀な人は、そのあたりが圧倒的だなと感じています。

長くて暗いトンネルを振り返れるようになったので、自分の振り返りのためにもこのような形でまとめてみました。何かの参考になったらうれしいです。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

※この記事は、Qiitaの記事を一部更新して転載しています。
https://qiita.com/aki_number16/items/44fad39b8921f80e94ca


この記事が参加している募集

#最近の学び

181,634件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?