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#10 紙がないと戦争ができない!?

今回は、アメリカ独立戦争のときのお話しです。

アメリカがイギリスの植民地だった頃、アメリカ国民には「印紙税」や「茶税」などの様々な税金や経済規制がかけられました。

とうとう我慢できなくなったアメリカ人は独立を決意し、ついに1775年にイギリスと戦争をすることになります。これが独立戦争です。

しかし当時、紙をイギリスやオランダなどからの輸入に頼り切っていたアメリカは、戦争をするに当たって困難にぶつかります。

紙がないと戦争ができない

当時は、紙が足りないと銃が撃てませんでした。というのは、当時のマスケット銃は、装着時に弾丸から火薬を離しておくのに紙を使用していたからです。また、火薬と弾丸を包む、包み紙もなくてはなりませんでした。

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困った政府は、紙の生産量を増やそうと、お達しや呼びかけを行ないました。

当時は、着古した衣服などのぼろ布から紙がつくられていたので、住民に、製紙に使える白いぼろ布を、いかに少ない量であっても溜めることを義務づけました。

ノースカロライナの製紙場は、若い女性に向かって

「布は、雪のように白い胸を隠すにはもはやふさわしくない」「古いハンカチを自分のところに売ってもらえれば、 いつの日かそれがラブレターとなって戻ってくるかもしれない」

というキャッチコピーで、製紙場にぼろ布を売ってくれるように、訴えました。

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軍隊の方は、なんとか紙を入手しようとしました。本もバラバラにしたら紙として使えるということで、たくさんの本が破かれ、紙としてマスケット銃に使われました。

戦争の年に出版した「聖書」の三千部のほとんどがマスケット銃の発砲のために使われたそうです。

また、未製本の『殉教者列伝』(キリシタンの殉教者達の記録書)が荷馬車二台で製本所へ向かう途中、大陸軍の部隊に捕らえられ、ブランディワインの戦いに用いられました(略奪じゃん!)。

新聞社は「もっとたくさんの記事を載せたくてもそのための紙がありません!」と謝罪していたそうです。

このような苦難を乗り越えて、アメリカはイギリスとの戦いに勝ち、独立を勝ち取ったのでした。

参考資料、他の記事

最後までお読みいただきありがとうございました!

アメリカ独立宣言と紙不足については、こちらの記事もどうぞ!

他にも、こんな記事を書いています!

今回は、
マーク カーランスキー(著) 川副 智子 (翻訳) 徳間書店
紙の世界史: PAPER 歴史に突き動かされた技術
を参考にさせて頂きました。
古代から現代までの紙をめぐる様々な物語が書かれており、とても読み応えがあります!

使用させて頂いた画像
Andrik Langfield on Unsplash
Hasan Almasi on Unsplash
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Dmitrii Fursov on Pexels


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