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#11 イギリス製の紙に書かれた『アメリカ独立宣言』

今回はアメリカ独立革命後のお話しです。

1783年、独立戦争に勝利しイギリスからの独立を勝ち取ったアメリカは、もうイギリスの支配は受けない!という意気込みでした。彼らは、戦争の前から、イギリス製品の使用をボイコットしていたくらいです。

そして1776年に独立宣言と呼ばれる文書を発行し、イギリスからの独立を宣言しました。

しかし、『独立宣言』を様々な地域に配る際の印刷に使われた紙はみなイギリスやオランダの紙だったそうです。(記念すべき一枚目は、羊皮紙に手書きしたようです【生産国は不明】)

独立」した後でも、「完全な独立」はかなり難しいことがうかがえます。

そして、独立宣言から43年後1819年に、やっと独立宣言はアメリカの製紙場がつくったアメリカ製の紙に印刷し直されました。

ここにおいてはじめて、独立宣言がほんとうの意味でアメリカ人のものになったのだ。
マーク カーランスキー(著) 川副 智子 (翻訳) 『紙の世界史』より

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また、インドの独立後も同じようなことがありました。

20世紀にインド独立のために戦ったマハトマ・ガンディーは、インド人がインドで作られた紙だけを 使うことを望み、製紙の学校を始めた。1937年7月17日、雑誌「ハリジャン」を創刊すると その誌面で、これはインド人が作った紙で完全な印刷をされたものだと誇り高く宣言した。 

だが 「ハリジャン」にインド紙が用いられたのは、この創刊号が最初にして最後であり、その後は、アメリカの反逆者たちの前例に倣うかのように、イギリス紙に印刷されることになる。

マーク カーランスキー(著) 川副 智子 (翻訳) 『紙の世界史』より

やはり、すぐにはイギリスから独立することはできなかったのです。

子供も、「親から独立するぞ!」と意気込んで実家を出ても、最初の時期はなんだかんだ仕送りを貰っていたりすることがありますよね。そんなことをしみじみ思いました。

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最後までお読みいただきありがとうございました!

アメリカ独立戦争と紙不足については、こちらの記事もどうぞ!

他にも、こんな記事を書いています!

そして今回も、
マーク カーランスキー(著) 川副 智子 (翻訳) 徳間書店
紙の世界史: PAPER 歴史に突き動かされた技術
を参考にさせて頂きました。
古代から現代までの紙をめぐる様々な物語が書かれており、とても読み応えがあります!

使用させて頂いた画像
Jai Bhutani on Pixabay
brotiN biswaS on Pexels

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