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【第3回】「英国総選挙とは③ 二大政党政治」

英国では長らく二大政党政治と呼ばれる構図が続いています。今回政権を獲得した労働党と保守党です。英メディアではそれぞれ Labor、Conservativeとして扱われます。保守党は Toryとも呼ばれます。

伝統的に労働党は政府歳出を増やし、社会保障政策や環境政策を重視し、その原資を賄うために企業や市民、富裕層の税負担を重くする傾向にあります。主に低所得の労働者のほか、都市部や若年層に支持されています。党のカラーは「赤」です。

一方、保守党は歳出を減らし税の負担を軽くすることで、経済活動の自由化を促し国の経済成長を高める政策をとります。主に富裕層や地方、中高年を支持基盤としています。党のカラーは「青」です。労働党、保守党それぞれの方針は大きな政府・小さな政府とも呼ばれます。

二大政党政治の歴史は古く、18世紀から20世紀初頭ごろまではTory党(保守党)とWhig党(自由党)という構図でした。1920年代からは自由党に代わって労働党が台頭。保守党とどちらかが与党、片方が野党第一党となる状況が続いています。

二大政党と呼ぶものの、第二次世界大戦後、労働党が政権を担っていた期間は約30年で輩出した首相は5人。スターマー首相は戦後6人目の労働党出身の首相となりました。一方、保守党は約50年間政権を担い12人の首相を輩出しています。直近では2010年から今年7月まで政権を担いました。

今回は全650議席のうち労働党が412議席、保守党が121議席となりました。そのほか、自由民主党が72議席、スコットランド国民党が9議席、北アイルランドを地盤とするシン・フェイン党が7議席、無所属が6議席、極右のリフォームUKが5議席となりました。

保守党の議席数121は結党以来の惨敗と言われており、リフォームUKが躍進したことからも保守層の票が流れたとみられています。一方、労働党の政策が中道化し、保守党との違いが分かりにくくなっているとの指摘もあります。両党の明確な違いが出なかったため、単に国の「顔」を変えただけとの批判も出ています。

※写真画像はBBCより引用

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