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2 遊休地を開拓

半年程の農業研修の後、かねてから考えていた畑造りに着手します。
運良く飲食店の出店計画(改めて書きます)を進めている場所からも近い農地を取得。
昔ながらの家が立ち並び、どこか閉鎖的な集落の突き当たり。
子供のころの懐かしい空気に即決したのはいいが、ほとんど森になりかけているような場所。昭和の子供なら一日中遊んでいられるけど大人はそうもいかない。
早く開墾せねば…

開墾

4月、空き時間を利用して開墾を始める。
年中暖かい沖縄は容赦なく体力を奪っていく。
生えている草木は生き生きとしていて、
この畑の良さを感じさせずにはいられない。

冬でも暖かい沖縄では草木は枯れる事なく成長を続け、もはや草なのか木なのかわからないくらい大きくなる。
刈り払い機では太刀打ちできないので、鎌とノコギリで進んでいく。

緑色の丘から焦げ茶色の絨毯が見えてくる。
長い時間陽が当たる事がなかった土は、豊富なエネルギーに満ちあふれていた。
沖縄の土は赤土が多い。
しかしここの土は黒っぽい。専門的に言うと腐食とか有機物と言ったりする。
これを見た瞬間、
自分のやりたい畑づくりが見えた気がした。

森はなぜ肥料を与えなくても育つのかと誰がが問いかけていたけど、その答えがこの手付かずの畑にはあった。
枯れた草や落ち葉、そこに住む小動物が豊かな有機物をつくりだす。
さらに小さな微生物がそれを分解し土に還る。
日本は気候上、剥き出しの土は森になっていくと言うし、
それだけ豊かな環境があるのだから、
可能な限り環境に負荷をかけない持続可能な農業をすると心に決めた。

自然の中に畑をつくるイメージで。


捨てずに再利用する

刈りとった草木はまとめて堆肥化させる。
その際に、近くの工場から出たおからや泡盛の酒粕と混ぜる。混ぜると言うかミルフィーユのように重ねるだけ。
二つとも産業廃棄物と捨てられることも多い素材。
おからは、日本国民が15グラム毎日食べれば産業廃棄物がなくなると言われています。
しかし腐敗のスピードが速い為、再利用されずに捨てられる事が非常に多いらしい。
少しでも再利用して土に戻せるように取り組んでいく。

整地する

まとめた草を堆肥化させる為、脇に寄せて置く。
耕運機を持っていないので、クワとスコップで少しずつ畝と通路をつくる。
やや粘土質の土壌は、豊かではあるけど水捌けが悪い為、水の抜ける道が重要。
大変だがコツコツと。

梅雨が来る前に終わらせねば

なんとか間に合い、
本やyotube読み漁り、調べては植えてみる。

オクラ、パパイヤ、ゴーヤ、茶豆など…

梅雨が始まる。
水捌けの悪い土は瞬く間に水没。
即席の作業では全然足りず、畝の肩まで浸かるなんてことも。
いくつかの野菜は枯れてしまうが、
残った野菜は収穫できるものもあった。
喜んだのも束の間、虫が大量に発生。
ほとんど枯れてしまう。
新しく苗を植えても育たない。
種を撒いても芽が出ない。

こんなに上手くいかないのか…
農業はそんな簡単ではないなと改めて思う。

そんな中、ゴーヤと四角豆、パパイヤ、ツルムラサキなんかはぐんぐん育つ。
最近では全国でも広まっていてメジャーな作物になっているけど、全部沖縄のお野菜達。

折れかけた気持ちを察してくれたのかな。

適期適作

失敗を見つめ直すといくつかの間違いに気付く。
種の裏には予定カレンダーが書いてあるが、
その通りにやっても、最近の異常気象では太刀打ちできない。
暦がひと昔から変わらないとしたら、もう少し早めにしてもいいかもしれない。

他にもいくつかあるけど、あまりにも専門的な話になるのでここではしませんが

合った時期に(適期)環境にあった作物(適作)が一番自然であるという事。
くしくも残った野菜達は、
自然の中にあったんだろう。

刈った草木から出来た堆肥。
カブトムシの匂いがすると誰が言ったそうな。