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神秘の煙 Cozumel。Laboratorio Olfattivo作

作品が多すぎて試しきれないブランドの一つ、Laboratorio Olfattivo(ラボラトリオ・オルファティーボ)。このブランドのレビューは以前に書きました。

いずれもお試しサイズのミニ香水でのレビューです。その後、Need_Uをボトルで購入したことは上述のレビューで記しましたが、今回紹介するのは、これらセットには含まれていない別の作品です。その中でも特に気になっていた一つ、Cozumel(コズメル)を紹介します。

なぜこれを選んだのか

理由は単純です。Need_Uと同じ調香師だからです。

香水を好きになる理由は人それぞれだと思いますが、私にとっては「どこ」ではなくて「誰」です。ブランドではなく調香師が誰なのかが最も重要です。ブランドの哲学がなんであれ、最終的には調香師の個性が香りに現れる、というのが個人的な考えだからです。

音楽も同じだと思いませんか。魅力的なアーティストを見つけたら、そのアーティストがどのレーベルに所属してても、どんな音楽を奏でても、きっとそのアーティスト自体を好きになるでしょう。アート、ファッション、食、カルチャーなどについても同じことが言えると思います。

そうした方針で選んだCozumelですが、残念ながらお試しサイズの販売はありません。やむを得ず量り売りショップで購入しました。

あえて店頭では試香していません。期待を裏切らないで欲しい。そんな身勝手な私の期待に応えてくれる香りだったかどうか。早速、紹介していきます。

Cozumel | コズメル

一吹きした瞬間、静かな主張を秘めた香りが、そこに立ち現れた。始まりの一瞬、ベルガモットの爽やかな風が記憶の扉を叩くが、まるで古き書物の扉を開いたかの如く立ち上るのは、タバコとクラリセージの濃厚な葉の香り。

その存在感は、鮮明な画像のように意識に刻まれ、時を越えて語りかける。アンバーの柔らかな存在感が、その明瞭さを月光のごとく優しく包み込み、やがて、神秘的な煙のように立ち昇るインセンスの香りが、深遠な物語の一節を紡ぎ出す。

時という画家が筆を走らせるにつれ、ウッディな香りが静かに姿を現す。サンダルウッドとトンカビーンの甘美さが温もりを添えるが、それは決して幻想ではない。スモーキーな印象を魂の奥底に宿し続けながら、独特の個性を主張し続ける。

一見すると物静かな佇まいを見せるこの香りだが、その内に秘めた主張には燃えさかる炎のような静かな情熱が宿っている。バニラの香りが永遠の余韻として留まるものの、ウッディな側面も意外な強さで持続する。

Cozumelは、表層の魅力だけでなく、複雑な内面世界を持つ者たちのための香りだ。穏やかさの中に潜む静かな自己主張を体現し、まとう者の内なる詩情を解き放つ。それは、静寂の中に響く力強い鼓動のように。

調香師:Marie Duchêne(マリー・デュシェーヌ)
香りの強さ:★★★☆☆
香りの持続時間:★★★★☆

まとめ

期待を……裏切りませんでした。Need_Uとは全く異なる香りながら、スモーキーさ、甘さ、ウッディさが時間の経過とともに存在感を巧みに変化させ、交互に現れていきます。

NOSE SHOPの紹介文にもある通り、男性的な側面もありますが、私の周りにはタバコや葉巻の煙ではなく葉の香ばしさが好きという女性が結構います。その系統の香りが好きな方にぜひ試してもらいたい作品ですね。

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