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香水界のレジェンド監修。LE COUVENT ILHABELA

LE COUVENT MAISON DE PARFUM(ル クヴォン メゾン ド パルファム)は、フランスの香りの伝統と自然のエッセンスを融合させたブランドです。ブランド名「ル クヴォン」は修道院を意味し、その名の通り、古来から続く修道院の植物学に基づく香り作りを特徴としています。高品質でありながら、日常的に楽しめる高級フレグランスとして認知されています。

ル クヴォンの香りは、エルメスの元専属調香師として名を馳せた「Jean-Claude Ellena(ジャン=クロード・エレナ)」が監修しています。彼のシンプルで洗練された香り作りの哲学が、ル クヴォンのフレグランスにも生かされており、自然の美しさを奥深く表現しています。10mlボトルはEDTで2,420円から、EDPで3,080円からとなっており、贅沢で上質な香りを手軽に楽しむことができます。

10mlを2本購入しましたが、それはまた今度。今回はサンプルとして同梱されてきた新作ILHABELA(EDP)を紹介します。一般発売は10/18ですが、オンラインでは10/4から先行発売が始まっています。

ILHABELA | イラベラ

静寂の闇を切り裂くように、鮮烈なブラックバニラの香りが立ち昇る。その濃厚な存在感に、シナモンの鋭いスパイシーさが重なり、複雑な香りの序章を告げる。この香水は、まるで古の魔術師が秘密の儀式で用いた神秘的な調合物のようだ。

時が経つにつれ、アーモンドの柔らかな甘みが顔を覗かせる。しかし、それは決して軽やかなものではない。むしろ、重厚な香りの層を形成し、着ける者の肌に寄り添うように定着していく。

フローラルの要素は控えめだ。代わりに、豊かな香りの奥底に潜む、何か言い知れぬ奥行きが感じられる。それは恐らく、ゼラニウムの存在だろう。バニラの強さが徐々に和らぐ中、ゼラニウムが静かに主張を始め、全体の調和を整えていく。

この香りは、決して万人受けするものではないだろう。しかし、その独特の個性に魅了された者にとっては、忘れがたい一本となるに違いない。どっしりとした重みのある香りは、グルマンアンバーの真髄を体現している。

調香師:不明(ジャン=クロード・エレナ監修)
香りの強さ:★★★★★
香りの持続時間:★★★★☆

まとめ

付けたての鮮烈なブラックバニラの香りで「これは苦手だ」と思いました。しかし時間が経つと様々な甘めの原料をスパイシーさが覆い、重めながらも何度も香りたくなる不思議な魅力を宿した香水です。これからの寒い季節にぴったりだと思います。

いろいろな香水を試したい自分にとって、10mlは確実に使い切れる量で、持ち運びにも便利。この価格帯で手に入るのは助かります。手持ちの香水が多すぎて、いますぐに購入するのは控えたいですが、一つ持っておいても良いと感じる香水です。香りが強いため、付ける日を選ぶ香水ではありますが。

ジャン=クロード・エレナの自己探求

ル クヴォンにはいくつかコレクションがあり、「シグネチャー」がジャン=クロード・エレナ自身の調香で、それ以外はあくまでも監修という立ち位置です。ここにインタビューが掲載されています。

かつてエルメスの専属調香師を務め、さまざまなブランド向けに香水を生み出してきた彼ですが、「なんの制約も考えず調香して良い」というル クヴォンからの提案に魅力を感じたのではないかと思いました。

商業的な成功を求められるブランドと、自分が生み出したい香りを探求できるブランド。後者にいるいま、チャレンジする自由と、ほかの調香師を指揮する二つの役割を与えられています。

そんな彼が「自分以外の調香師のプロセスを自分に取り込むような体験」と発言するのを聞き、人がうらやむほど輝かしい実績を持っているにもかかわらず、なお学びを求める姿勢に深い感銘を受けました。その謙虚さと探究心の深さは、まさに真の巨匠と呼ぶにふさわしいものだと感じずにはいられません。

独自の魅力を持つこのブランドの香りを、ぜひ試してみてください!

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