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既存不適格建築物について

前回の用途変更時の注意点についての投稿の続編として既存不適格建築物に関しても触れておきます。

前回の話でも特殊建築の用途変更や既存建築物の増改築工事を行う際は建築物およびその敷地については基本現行法規に合わせる必要があることを記載しました。

が、一部例外があります。

建築基準法第3条2項では以下のように書かれています。

新築時に適法に建築された元にある建物もしくはその敷地については、
-中略-
建築基準法令の規定が施行され又は新たにもしくは改正により、都市計画変更等による規定が適用されたことにより、それらの規定に適合しない場合に、そのまま当該建築物を使用する限りにおいては当該規定を遡及適用させなくても違反建築物として扱わない。

これがどういう意味かというと、この建物が建てられた際の法律に合致していれば現行法規に合わせなくても違法建築物ではないということになります。
ただ、実際は全ての現行法規という訳ではありません。
制限の緩和を受けることができる規定は法第86条の7に書かれています。

86条の7

令和2年度 建築士定期講習テキストより

建築基準法は完璧なものではありません。社会情勢に合わせ、日々進化更新しているのです。

この規定は、全て現行規定に合わせる必要があると社会的にも経済的にも合理的でない部分があることを鑑みられたものであり、現行規定の緩和措置から成立する建築物を総して「既存不適格建築物」といいます。

「既存不適格建築物」と聞くと違法性がある建物のように感じてしまいますが、法的には合法の建物です。

様々な規定が更新されていっていますが、一つ参考として木造建築の構造基準について以下の資料を添付しておきます。

(参考)木構造基準の変遷

【入門編】ゼロから始める木構造より

細やかな法規制は分からないかもしれませんが国内における地震被害により、建築基準法もどんどん規制が強化していっていることがわかると思います。

昨今の情勢では、既存建物のコンバージョンやリノベーションは必要不可欠な建築手法として見直されています。既存ストックの利活用の必要性はこれからどんどんと高まっていくことは間違いありません。

既存の建物の活用は甘いものではありません。古ければ古いだけ、活用する度合いによってはそれ相応の覚悟も必要です。

ただ、古い建物だからといって諦め、安易な解体を進めるのではなく、活用の可能性も広がっていることが少しでも伝わっていただけると幸いです。


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建築家|Archlife主宰|株式会社西和人一級建築士事務所|金沢科学技術大学校非常勤講師|日本建築士会連合会青年委員会|Hp:https://archlife.jp|Insta:https://www.instagram.com/kazutonishi_architects/

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