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emarfを家具に使えるか所感

先日とあるプロジェクトを手伝う機会があり、家具を設計することになったのですが、納期、予算もあまりないという状況で普通に外注できないということもありemarfを検討しました。まあ使ってみたかったというのが大きいですが。

個人的にはクライアントワークとして使えるかどうか判断するのはかなり検討を要するなと思っていたのですが、今回のプロジェクトはスケジュールの制約と組み立て家具(使うときに組み立てて、終わると分解して片付ける)であることが要件だったので、それなら使えるかもと思い、使ってみることにしました。

結論から言うと、今回のプロジェクトには良かったですが、個人的にはemarfで制作したものをクオリティが必要な家具に使うのは難しいと思いました。ただ、データをアップロードすればすぐ見積もりが出ること、いろんなソフトのプラグインがあることはすごくてツールとしての可能性はあり、機会があればまた使いたいです。カーフベンディングとかやってみたい。

クライアントワークに使わない理由

①施工部分を負うリスクが伴う
これはemarfで制作することを問わず、自分で制作する場合の問題ですが、物自体の責任を負う必要があります。椅子が一番わかりやすいですが、壊れて転んだりして怪我をする可能性もあるため、かなり強度を検討する必要があります。また、修理対応などのアフターサービスもあり、ここのリスクは基本的には取りたくないのであまりやりたくないです。

②仕上げのコントロールが難しい
emarfの場合納品されたものは既に加工されたものでそのクオリティが来るまで分かりません。今回使用したヒノキ合板は結構端が欠けていて、そのまま住宅やお店の家具として出せるクオリティではありませんでした。mdfとかなら大丈夫かもしれませんが。また、①の部分にかかりますが、クオリティの責任も自分になるのですが、それが納品されないと分からないというのは厳しいなと思いました。

上記の理由から、最終成果物としてクオリティの高い家具として使うことは難しいと判断しましたが、使えそうな部分はありそうだなと思っています。

使えそうな場合

①曲線を使ったデザイン
最終仕上げとしては使えないですが、部分的に例えば天板を切り出して、家具屋さんに支給して補修+仕上げを含めてやってもらうことはできそうだなと思いました。ただ、曲線はどちらにしろNCを使うのでわざわざemarfを使わなくても良いかもしれません。デザインによっては使えそうかなと思います。

②下地に使う場合
仕上げは関係ないので、納品されたものを支給して使ってもらうことはできて、少し安くなりそうな感じはあります。しかし、こちらの手間とかスケジュールの調整などあるので無理に使うことはないなと思います。どうしてもコスト検討必要な時は試しても良いかもしれません

③組み立て家具の場合
解体して、組み立てるを繰り返す家具の場合、施工は実質ないので使えるなと思いました。今回はこの場合ですが、塗装とかは別途必要ですが。ファーマーズマーケットの什器とか外部でラフに使うような家具であれば、多少の仕上げのアラは気にならないので良いかなと思います。

まとめ

クオリティが必要な家具には使えないと思いますが、DIYの延長としてやるには良いツールだと思っています。むしろ家具ではなく、機能のないアートピースやサインなどか、構造などの方が可能性があると思いました。

最後に今回設計製作した家具の説明ですが、駅の待合所に組み立て家具で一時的に畳の床を作ってちょっと寛げる場所を作るもので、ベンチに寄生するように床を作ることと、そこで使わなくても、独立してベンチとしても使えると言うアイデアで製作しました。

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↓おまけのサイドテーブル

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↓設置後

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沿線まるごとホテルというプロジェクトの実証実験のための家具でした。
駅をレセプション、ガイドは住人、宿泊は空き家というネットワーク型宿泊施設で面白いプロジェクトですが、もう予約は埋まっちゃったみたいなので本格始動した時はぜひ。


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