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自宅リノベ全記録〜建築家サイド〜(8)設計者が工事を監理するとはどういうことか

表題の8回目になります。バックナンバーは以下マガジンで見られます。

前回は解体を終えて工事開始まででした。

今回はそもそも工事監理とはということから、この工事の監理はどう進めているかを工事契約における設計者の立場から書いていきたいと思います。なるべく噛み砕いて書こうと思ったのですが、ちゃんと書こうと思うとガチガチになっちゃいました。

1.工事契約とは

工事監理はそもそも設計契約の時点で含むことが多いので、改めて工事監理契約を行うことはほぼありませんが、工事自体には工事契約が必要です。これは施主と施工者が行うもので、設計者は契約には関係ありません。(厳密には設計者の作成した図面で契約するので無関係ではありませんが)ただ、施主の立場に立ち、契約内容の確認などはする場合もあります。

工事契約とは①工程②設計図書(図面)③見積がセットになっている契約書で、要するに①いつまでに②どのようなものを③いくらで作るのかということを契約にしたものです。
つまり、納期に間に合わない、図面と違う、などは賠償の責任が発生する契約です。

設計監理契約は施主と設計者が、工事契約は施主と施工者が結ぶもので設計者と施工者は直接契約関係に無いということが分かります。その両者を繋ぐものが設計図書です。つまりそこで工事監理とは何をするのか、その時に設計者が持つことができる責任、権限は何なのかということを決めることができます。具体的には特記仕様書によって決めることが多いです。(大規模なものなどは経験がないためわかりませんが)特記仕様書で、誰が工事監理をするのか、指示の優先順位はどうなっているか、施工図の提出、確認、承認のプロセスはどうするのか、などを決めます。あと、特記仕様書によって標準(共通)仕様書として何を用いるかも指定します。標準仕様書は図面に書かれていない基本的な工事の仕様が決められていて、特に図面で指定がない場合はこの仕様でいくというもので、大きな構築物である建物を作っていく上で抜けがないようにするためのセーフティーネット的なものだと僕は思っています。(例えば床をモルタルにすると図面に書いた時にその時のセメントと砂の比率などは普通書きませんがそれらの標準が決められています。)

2.工事監理とは

まず実施設計図書があり、見積もりがあれば建物や内装がいくらでできるかわかり、それをもとに施工者が建物を作ることはできます。しかし、そもそも設計者が施工困難な図面を書いている場合や、施工者もこんな納まりはできないやりたくないなどあり、施工者の技術の幅も違います。また、図面に書いてない部分は施工者は機能は満たすことはできますが、デザインの意図を読み適切な判断をするのは困難です。

そこで、必要になってくるのが工事監理で設計者と施工者が工事についてコミュニケーションをとり、目的のものを作ることです。その方法として、現場での打ち合わせ、議事録、施工図、モックアップ作成などがあります。以前書いたように基本設計から施工者を決めてやることはこのコミュニケーションがすでにある程度されてる状態でもあります。

これらは、工事規模や予算によってどうするかを設計者が決める必要があります。例えば施工図作成はかなりの手間が必要です。工事費を下げるためにその手間を抜いた進め方を提案することはできますし、そもそもいわゆる大工さんの現場棟梁みたいな方は施工図は描きません。施工図なしで進める現場はいくらでもあります。

施工図について
これは設計者の図面をもとに施工者が自分たちが施工可能なものに書き直した図面です。また、リノベーションなどの場合、解体後の実測値を反映させた図面でもあります。設計者はその図面を確認し修正、承認することで施工と意匠をすり合わせていきます。この過程を本当は、工事前に終えて承認された施工図一式を持って工事に臨むというのが理想ですが、納期が限られる中そうなることは難しいようです。ちなみに今回は、基本的に施工図はなしで、家具と建具のみ施工図(制作図)を作成し、(どちらにせよ、家具屋さん建具屋さんに発注するために図面が必要なため)他の部分は現場での打ち合わせ+議事録という形で詳細を決定していくことにし、施工図作成費をなるべく抑えるようにしています。そして、建具図のチェックバックは以下のような感じです。寸法の確認、各部分の考え方などをやりとりします。このチェックバックに対して修正図を描いてもらい、その確認承認後に発注というプロセスです。大規模建築だとA1とかで量も尋常じゃないそうです。

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つまり工事監理において設計者が頼れるのは図面であって、その中にある限りは権限を持つということです。(なんか書いてるうちにルターと聖書みたいだなと思ってきました。)

3.工事内容

さて、実際の工事の内容ですが、だいたいのスケジュールは以下のような感じです。

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ただ、時期的に在宅勤務の方が多く、音出しの工事(振動ドリルなど)の曜日に制限などがあり工期としては2週伸びています。

だいたい5/18(月)から工事スタートで、まずは給排水の配管からでした。

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この排水の経路は現場で図面と変わりましたが、機能的には特に変わりないので設計者判断で決めています。(ちなみに、左に見える壁に空いている穴は見えなくなるのですが、彼女(施主)の要望でのちに塞ぎました)
このように、実際現場を見るとこうしてほしいという要望が出ることもあるので、週に1回程度現場で三者(施主、施工者、設計者)で打ち合わせます。そこで施主は、施工者から出てきて、設計者によって整理された問題と解決方法に関して承認し、現場で気になった部分の意見をもらいます。

そして、床下の配線、配管が終わると床を張っていきます。

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今回は、万協フロア下地でパーティクルボード+ラワンベニヤ+フローリングとして、しっかりめの下地が入っています。無垢フローリングの場合は下地をしっかり組んだ方が不具合が出にくいです。ここではシステム根太(壁際の束で壁に固定されないようにできてるもの)が納期的に合わなかったのですが、壁に際根太をつけてしまうと騒音が大きくなってしまうため通常の束を壁際に立てるように調整してもらいました。

床が終わると、長押をつけます。
留め方を施工のしやすから、ボルト留め→全ネジ+山ナットに変更してます。壁にメスアンカーを打ってるのですが、必ずしもまっすぐに打てるわけじゃありません。長ボルトだと斜めのアンカーの斜めを拾ってしまい、長押の固定用穴は壁に対して垂直なのでボルトが通りません。なので全ネジをあらかじめアンカーに差し込み、曲げてまっすぐにして長押の穴に通し、袋ナットとしました。壁との不陸はワッシャで調整しています。

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壁の下地を組みます。今回は下地が主役のデザインなので下地は全て木で仕上げも木です。
ここでは図面に描かれていなかった下地の留め方、ビスの打ち方、色などを決めています。今回はビスも見えてくるので、仕上げ部分には金色系の六価クロム系とし下地部分は銀色のユニクロム系としています。(めんどくさい設計者ですね。。)

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仕上げを張って行き、ユニットバスを設置します。ユニットバスはサンワカンパニーのものを入れています。totoとかLIXILとかと比べると同じスペックで10万位安いです。そしてシンプルな形なので選びました。

リンクをコピーしにサイトに行ったら販売中止になってました。。

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ここで塗装は減額のため施主塗装なのでスケジュールを空けてもらい塗装+床FRP、フレキシブルボード撥水剤を塗っていきます。FRPはフロアリュームが手に入りにくかったので、変更してFRPとしました。他にもちょこちょこ使う予定です。ラワン合板はオイルフィニッシュでオスモのフロアークリアー3分ツヤとしたのですが、ラワンの色合わせは難しいですね。かなりの手間がかかります。そういう意味ではラーチはいいかもしれません。

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そしてキッチンやトイレ、洗面器を設置し、水道電気ガスの繋ぎこみをしたらほぼ完成です。

キッチンカウンター以外の棚は施主施工です。

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工務店から引き渡し後に施主施工で土間打ちしました。パウダービーズを混ぜて軽量化とかさ増しをします。これはかなり大変でしたがなんとか終えました。

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エアコンは別途ビックカメラで買ったり、施主施工が所々あったのでそれらを計算すると、
・エアコン(断熱が弱いのでダイキンのハイエンド) 41万
・ラワン24mm家具 6.5万
・土間(レンタカー代込み) 3.5万
・FRP 1万
・天井塗装 1万
・オイルフィニッシュ(家具の分もこっちに) 5万
・照明(寝室のは今使ってるやつをそのまま使います。) 1万
・その他 5万
で65万くらいになりました。
なので、工務店分で660万+施主支給分65万で合計725万になりました。家具などはこれからですが。

このリノベーションのコンセプトは住みながら作ることなので、家具を入れて、この長押、巾木を使ってどう住んでいくかというところを次回書いて最終回にしようと思います。

今、設計をしないで相談ベースでマンションのリノベーションを手伝う仕組みみたいなものも考えているので、まとまりましたら記事にしていきたいと思います。







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