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3D汎用木ジェネレーター、無印×3Dプリンタ、AI画像投稿サービスの話(コンワダさん60週目)

!!!祝60回!!!

 こんにちは、株式会社アーキロイドのコンワダです。今週も社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら

3D汎用木ジェネレーター

 3Dアーティスト平の字(@hiranoji)さんのTweetに登場した「汎用木ジェネレーター」です。3Dモデルのアセットストアなど木や森のモデルは販売・配布されていますが、このようなジェネラティブなものはあまりないので目に留まりました。見ていて気持ちの良い動画ですね。
 植物の成長過程を模したアルゴリズムとして有名なL-systemは、1968年に理論生物学者/植物学者であったアリステッド・リンデンマイヤーによって発表されました。私も学生の頃にアルゴリズムとプログラミングの勉強の一環で、簡単な2Dの樹木を描画するシステムを実装したことがあります。(本事例がL-systemに基づいているかどうかはわかりません)
 おそらくこの10年ほどで、3Dの生成や描画に関連するソフトの進化、ハードの処理能力の劇的な向上によって、3Dで複雑で高精細なモデルがプログラマブルに描画できるようになった、その成果の1つが本事例だと思います。これは決して「環境が進化したから簡単なことだ」ということではありません。環境も人も高度化しているということです。下の画像にあるようにとても複雑な処理の上に成り立っているのですから。

 なお、コンワダさん54週目では、AI ProgrammerにL-systemを実装させてみた事例や、リアルな3Dモデルの木をたった20ポリゴンで表現するBlenderのアドオンについて紹介していますので併せてご覧ください。

無印良品初の3Dプリントサービス

 11月17日オープンの関東最大級の路面店「無印良品 板橋南町22」において、無印良品初となる3Dプリントサービスが提供されています。店内の「3Dプリンタ工房」では無印良品の既存商品を使う際の自助具をその場で3Dプリントして販売するそうです。板橋区は古くからの工房が多くモノづくりが根ざした街ということで、将来的にはクリエイターや地域の団体との協業を視野に入れているそうです。
 プリントするものは商品のリストから選ぶようになっており、3Dプリンタならではの自由な造形や、カスタマイズ性がどこまであるのかは疑問ですが、新しいモノづくりの普及、在庫を抱えないサスティナブルな生産・販売のあり方として効率以上にもたらす価値は高そうです。

AI作品に特化した画像投稿サービス「Aivy」を日本の高校生が作って公開

 AI作品に特化した画像投稿サービス「AIvy」を日本の高校生が公開しました。AI画像生成により一気にコンテンツ量が増えた一方で、既存画像投稿サイトではそうしたAIによる画像の投稿を禁止するサイトもあるそうです。それなら、とAI作品だけを公開するサービスとして作成されました。新しいものが規制されるならば嘆くのではなく、それを生かせる環境を用意する。その行動力、実装力、そしてなによりその自由なあり方が眩しいですね。情報環境のモノづくりは実社会や物理環境に比べて制限が少ない分、こうした若い才能が出現していくのを目撃できて嬉しいです。(なんだかジジくさい書き方になってしまいました。)
 AIによる制作物を巡っては「人間とAI、どちらが優れたクリエイターなのか」というのが耳タコですね。人間にしか出せない味があると言う人もいれば、誰が描いたかを知らずに比較すればAIのほうが良いときもあるという人もいて、正解なき問題の一つです。
 この事例はある意味1つの答えとも言えるでしょう。AIが既存サイトから締め出されて、AI画像だけを集めるサイトが立ち上がり、それぞれが分類/分断されて別物として扱う(扱わざるをえない)必要が出てきた、というのが人類の(日本人の?)初動判断、一つの答えであると捉えることもできます。フラットに扱わないことで考える機会を失くしているのでは、ともったいなくも感じます。必ずしも悪いだけではなくて、「この絵はゴッホの絵だから意味がある」と思っている人がいるように、「AIの作品だから意味がある」と考える人も居るでしょうから、入り口が別になっていればアクセス性が高くて良いことかもしれません。
 個人的にはいずれ全部フラットに扱えると良いなと思っています。そもそも田中さんという画家が好きだったとしても、田中さんは実は存在しないかもしれなければ、田中さんは10人グループでローテで絵を描いてるかもしれない。つまり作家は記号にすぎない、と思ってしまえば人間だろうがAIだろうがどっちでも良いのです。目の前の絵に対して「こういうところが好きだ。こういう背景があるんだろう。」と想像できればそれで良いのです。映像や紙面で画家のインタビューを見たり、著作物を読むことでその画家のファンとなることもあって、そういう楽しみ方をしている場合はAIだと味気ないかもしれませんが、世の中にはミステリアスな画家もたくさんいますから、それすらもあんまり関係ない気がするのです。
 開発のプロセスや、開発者個人のノートがまとまってzennで公開されています。詳しくはそちらを御覧ください。

まとめ

 今週も読んでくださりありがとうございました。とうとう11月も下旬、なんだか年の瀬が見えてきて1年の速さに驚いています。冒頭でも書いたように第60回を迎えた本連載。今年最初の投稿は1月7日で、それ以降43本目の投稿です。筆者は43本の中身を殆ど覚えていませんので、こうして振り返ると1年も思い出せない記事がたくさんあるくらいには長いわけですね。(筆者の記憶力の問題はさておき)70回80回90回100回と刻んでいきたいので、是非「スキ♡」「フォロー」して応援してください!


「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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