空き地にAR住宅の話、声のフォントの話、食べログ訴訟の話(コンワダさん19週目)
こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。天気の話をし始めたら終わり、と誰かが言っていましたが、最近妙に寒いですね。
さて、今週も社内で話題になった事例からいくつかをご紹介します。
事例1:AR技術で空地に3DCG住宅を出現「build+(ビルドプラス)β版」がローンチ
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【概要】
ARで土地に家を出現させるサービス『build+(ビルドプラス)』のベータ版がリリースされました。土地販売・新築販売用の営業支援サービスで、開発しているのはXRコンテテンツ開発を手掛けるASATEC株式会社です。既存サービスは敷地上にマーカーを配置しその上に家を表示するものが主流で、歩きだすと位置がずれてしまう問題がありました。build+では、マーカーではなく空間を認識して3DCGの家を表示する方法で、これは不動産業界では初の取り組みだそうです。動画のように家の中を見たり外を一周回ってもズレません。
【この事例について】
住宅レベルのARで、マーカー不要なのに精度が高いというのは1つ革新のようです。当社はarchiroid.comというWEB上で住宅を自由に設計、VR内覧できるサービスを開発・運営しています。これまでも、一般ユーザーが当社サービスで設計した住宅を、自分の土地にARで表示することについてディスカッションしていました。build+のような高精度なサービスと連携すれば、よりユーザーのイメージが膨らみ、「一般ユーザーによる住宅設計」がリアリティを増すと感じています。現在はβ版とのことで、今後の展開を引き続きウォッチしていきます。
事例2:すべてのクリエイターに声のフォントを届ける「CoeFont」
【概要】
CoeFontは、最新のAI音声合成技術により作成された「声」の「フォント」です。本人の声の特徴・話し方が精密に反映されているそうです。3,000を超える声が登録されており、ナレーションに適した声、子供の声など、様々なシチュエーションに適した声を選択して、テキストを読み上げることができます。
自身の声をCoeFontに起こすこともできます。現在、咽頭がん等で声帯を摘出してつらい思いをされている方が2~3万人ほどいるそうです。自分の声をCoeFontに起こすことで、声を失った後にも自分の声のAI音声を利用できます。実際にそれが希望になったという方もいらっしゃるようです。
【この事例について】
30字までのデモが利用可能なので筆者も試してみました。私達に馴染みのある、いわゆる機械音声の読み上げとは段違いのクオリティです。是非試してみてください。いろんな文章を試すと不自然な箇所もありますが、製品版では読み・アクセントも編集できるます。人にはそれぞれ話し方の癖がありますが、CoeFontにはそれも反映されるそうです。「声のフォント」を超えて「喋りのフォント」と言えるかもしれません。CoeFontがあれば本人が亡くなっても永遠にその人の「喋り」は生き続けますね。
本事例は開発者が大学生であることも注目点の1つです。AIを活用したサービスは、学生でも高い技術を持つ人材が活躍していますね。
当社のサービスarchiroid.comでは仮想の建築家人格「アーキロイド」という概念を設計しています。その仮想建築家ごとに設計思想や特徴を宿して展開していきたいと考えています。本事例の文脈にのせれば、「設計のフォント」と言えるかもしれません。現在は「庵庭ゼン(アンニゼン)」1人だけしかいませんが、今後増やしていく考えです。
なお、取り上げました。こちらは声ではなく文字フォントについての言及ですが、ぜひご覧ください。
事例3:食べログ、裁判でアルゴリズム「異例」の開示 評価透明化なるか
【概要】
韓国料理チェーン「KollaBo」を運営する韓流村が、食べログのアルゴリズム変更により評価が不当に下げられたことで、食べログ経由の来客が月5000人以上落ち込んだとして、食べログ運営会社のカカクコムに対して賠償を求めて訴訟を起こしていました。独禁法とアルゴリズムが絡んだ初めての訴訟ということで、今後レビューサイト運営社や各プラットフォーマーにとっても注目のニュースだったようです。この裁判は韓流村側の訴えが認められました。食べログが一飲食店の生殺与奪の件を握っていると判断されたと捉えることもできます。
【この事例について】
今日私達にとって、食べログのようなレビューサイトやGoogle検索のようなサーチエンジンは毎日のように使うサービスです。便利だからよく使う一方で、一長一短あります。食べログやアマゾンのレビューがサクラだったり、そうでなくても個人の主観に基づくレビューです。Google検索の結果もSEO対策に特化したページが多く表示され、真に有益な情報にリーチできていないかもしれません。本ニュースでも評価の透明性について言及していますが、かといって全員にそれを開示すれば評価をハックするのに長けた人が出てきてしまいます(現在もほぼその状態と言えるかもしれません)。それを分かっていても今回提示を命じたという判例は、このネット全盛の時代においてどのような意味を持つのでしょうか。
まとめ
毎週金曜日に連載しているコンワダさんですが、昨年最終回と本年初回は本来と異なる形式でお届けしました。久々の通常運転会となりましたが、楽しんでいただけたでしょうか。本noteが初めてという方は是非こちらのマガジンからバックナンバーもご覧ください。最後に、スキ、SNS拡散、フォロー、是非よろしくお願いいたします。
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