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スノーピークがまちづくり、人の「ミニ脳」がゲームを習得、ゼネコンとAWS、の話(コンワダさん16週目)

こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。
毎週金曜日にこの連載記事を投稿しています。クリスマスイブに記事を書くのも悪くありませんね。

さて、今週社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら

ピックアップ事例:スノーピークが6600坪のまちづくりに参画「野きろの杜」

【概要】
 スノーピークが、新潟土地建物販売センターと石田伸一建築事務所と協働で、新潟県新潟市において複合的な住宅街「野きろの杜」の開発を行います。「短絡的な利便性や収益性ではなく、中長期的な視点で街を育て、魅力を増進するとともに、生活の質の向上を図り、新しい街と住まいの在り方を提案する計画」だそうです。同社の戸建て分譲地における、まちづくりへの参画は、2018年竣工の新潟県新潟市「天野エルカール」、2019年竣工の山形県山形市「山形エコタウン前明石」につぎ、今回で3事例目になります。

【この記事について】
 近年のキャンプブーム、とりわけスノーピークの人気はすごいですね。アウトドアにあまり関心のない筆者もスノーピークを目にする機会が増えています。建築界隈では、隈研吾氏がデザインしたスノーピークのトレーラーハウス「住箱」が記憶に新しいのではないでしょうか(440万円で販売中)。お酒好きの方は、朝日酒造とスノーピークがコラボしたアウトドアで楽しむ日本酒「久保田 雪峰」もご存知かもしれません。先日友人を訪ねる際にこのお酒を持っていきました。室内で飲んでしまいましたが、大変美味しかったです。

 来年春からは、家具ブランド「TUGUCA」も展開予定で、アウトドアだけでなく日常の生活も含めたトータルライフスタイルブランドとして、存在感を増していきそうです。

 モノよりコト。経験・体験に重きを置き、過ごす時間や場に価値が見いだされるようになっています。スノーピークは道具(モノ)のメーカとして始まり、今では「野遊び」というコトを広め、ファンを多数抱えています。そして、そのコトを最大限活かすまちづくりへ。「まち」はコトを楽しむ場であり、物理的な場所・おおきなモノです。モノとコトの訴求を繰り返して様々なファン層の楽しみを循環させていると言えます。モノよりコトのブームの波にのるスノーピークが、地方活性化・地方移住においてもその旗手となれるのか。トヨタのToyota Woven Cityのような巨大資本による大々的なまちづくりとも違う、熱烈なファンに支えられるスノーピークによる6600坪のまちづくりの未来に注目です。

 筆者は最近まで、スノーピークを比較的新しい会社だと思っていました。しかし実は創業60年企業で、昔から良いモノを作り、ファンを作り、ブランドの価値を高め続けていた歴史があることを知りました。SNS・ウェブマーケティング全盛の現代において、人も企業もファンがいることは大きな強みです。本事例はその最たる例で、ファンが多ければ多いほど、又は濃ければ濃いほど、「まち」すらも作れるようになると言えるかもしれません。最後にスノーピークの沿革を一部ご紹介します。

 スノーピークは1958年に創業者山井幸雄が金物問屋として創業しました。登山家であった幸雄が、当時の道具に満足できずオリジナルの登山用品を開発。燕三条の優れた職人技術を活かし、クオリティの高い登山用品を世に送り出してきました。オートキャンプの領域を切り開いたのは、幸雄の息子で現会長の山井太が1986年に入社したのがきっかけでした。これまでバックパッカーやヒッチハイカーのような若者たちのものというイメージを持たれていたキャンプに注目。アウトドアをライフスタイルと捉え直し、家族の絆を深める豊かな時間としてのキャンプを提唱しました。スノーピークのキャンプは、自然と人、人と人をつなぐキャンプ。スノーピークの使命は人間性の回復、スローガンは「人生に、野遊びを。」
衣食住働遊という人生すべての領域で目の前に立ちはだかる社会課題の解決に挑みながら、自然と人、人と人をつなぎ、地球上のすべての人の人生価値=ライフバリューを向上させる存在をめざしています。
参考:スノーピーク社沿革

その他の事例

実験室内で培養した人の「ミニ脳」にゲームをプレイさせることに成功、AIよりも速いわずか5分で習得

 人の脳細胞を培養して作られた原始的な脳組織「脳オルガノイド」に関する記事です。今回、ペトリ皿の中で培養した人間の脳細胞に、アタリの卓球ゲーム「PONG」をプレイさせることに成功しました。
 今回は開発さた「DishBrainシステム」は、ヒトのiPS細胞から作成された細胞の塊を、多数配置された微小電極の上で脳細胞として培養したもので、脳と機械が相互作用するシステムだそうです。AIが5000回ラリーを繰り返し90分かけて習得するところを、DishBrainシステムでは10数回のラリー、わずか5分で遊び方を学びます。バイオテクノロジーと工学を融合させる合成生物学分野で、生物学的人工知能(Synthetic biological intelligence : SBI)の可能性を探る研究です。
コンワダ13でも世界初の生体ロボット・ゼノボットの生殖の事例を取り上げたように、合成生物学(この言葉は今回学びました)の分野のニュースは気になってしまいます。DishBrainシステムは、単に細胞やロボットではなく、脳であることが大きなポイントで、だからこそAIとの比較は大変興味深いですね。2019年に北米神経科学学会が「現在の脳オルガノイドの研究は、倫理上、ルビコン川を渡るような危険な局面に近づいている。もう超えてしまっているかもしれない」と警鐘を鳴らしました。人間が作った脳が”意識”を持つことについて、倫理問題を議論する必要があります。そのためには明確な”意識”の定義が必要です。(後半は2019年の記事を参考に書いていますので、現在の状況と異なる点があるかもしれません)

竹中工務店がAmazonのクラウド「AWS」全面採用、22年度に全業務をデジタル移行

 竹中工務店がDXを加速するシステム基盤、「建設デジタルプラットフォーム」をAWS(Amazon Web Services)に整備します。BIMデータ、営業、設計、施工、維持保全に至る一連の建設プロセス業務で発生するデータや、人事・経理など同社の事業に関わる全てのデータを一元管理するそうです。現在200以上ある既存の業務アプリを24年までにここに集約し、ITインフラコストを25%削減します。30年までにビル管理など他システムも取り込み、「竹中新生産システム」との連携も深めていくそうです。この記事についてはAWSからもリリースが出ています。

 竹中工務店のような古くからある日本の大企業がその基盤をAWSに整備するとは驚きでした。AI, BIソリューション、デジタルツイン構想もゆくゆくこの基盤を中心に整備していくとのことです。近年建設テックベンチャーが盛り上がりを見せていますが、今年は他にもゼネコンのDX関連のニュースがいくつかありました。山が動いた、といった感じでしょうか。清水建設のニュースも下記に貼っておきます。

おわりに

 今週も、お楽しみいただけたでしょうか。最後に「スキ♡」を是非、押してください。大晦日の執筆の励みになります。今日で仕事終わりという方もいるようですね。良い休日を。

「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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