過去問の分析【想定ボリューム/H30 ヒ-②】
想定ボリュームとは
『想定ボリューム』とは、エスキス手順の『ボリュームチェック』に該当し、プランニングを行う前に『問題用紙』に書かれている『要求室』から『床面積を想定』し、『要求室の階フリ』を行う
『合格答案を作成』するためにまずは、要求室の
① ボリュームを想定できるのか?
② 階フリができるのか?
を『過去問で確認』する今回は、平成30年に行われた『健康づくりのためのスポーツ施設』の標準解答例②(H30 ヒ-②)を元に『想定ボリューム』を出してみた
想定ボリュームの作成にあたり以下のことを意識する
想定ボリュームは、『部門』『室名』『特記事項』『要求室の使い勝手』等から『部門分け』や『グループ分け』を行いながら作成していく
『人の動き』や『要求室の関係性(特徴)』を意識しながら作成することで『プラグラム図』および『建物の骨格(立体構成)』としても利用できる
手順
01. 階数
要求室を振り分けやすいよう、階数を記入
02. エントランスホール
主出入口のある『エントランスホール』は、床面積が『適宜』なので、
・風除室(1コマ)
・ホール(1コマ)
・上下足の切り替え(1コマ)
合計『3コマ』と想定1階から3階までの『吹抜け』が要求されているので、2・3階に『1コマ』ずつボリュームを想定
03. カフェ
『カフェ』は、床面積が『適宜』なので、
・1人当たり『1.5㎡』
・1.5㎡ × 40席 = 60㎡
・厨房は、60㎡ / 2 = 30㎡
合計『90㎡』なので『2コマ』と想定
04. 事務室
『事務室』は、床面積が『適宜』なので、
・1人当たり『5㎡』
・5㎡ × 4人 = 20㎡
合計『0.5コマ』と想定
05. 救護室
『救護室』は、床面積が『適宜』なので、
・ベッドの大きさ『1m × 2m』
・通路幅『1m』
・2m × 3m × 2台 = 12㎡
・スタッフのスペース『5㎡』
合計『17㎡』なので『0.5コマ』と想定
06. 機械室
『機械室』は、床面積が『約80㎡』なので、
『1.5コマ』と想定
05. インストラクター控室、器具庫
『インストラクター控室』は、床面積が『適宜』なので、
・男性用の更衣スペースを『0.5コマ』
・女性用の更衣スペースを『0.5コマ』
・休憩スペースを『0.5コマ』
合計『1.5コマ』と想定『器具庫』は、床面積が『適宜』なので、
『0.5コマ』と想定
06. 更衣室B
『更衣室B』は、床面積が男性用、女性用を合わせて『約80㎡』なので、
合計『1.5コマ』と想定
07. キッズルーム、健康相談室、コンセプトルーム
『キッズルーム』は、床面積が『約80㎡』なので、
『1.5コマ』と想定『健康相談室』は、床面積が『約40㎡』なので、
『1コマ』と想定『コンセプトルーム』は、床面積が『計約100㎡』なので、
『2コマ』と想定
08. 多目的スポーツ室
『多目的スポーツ室』は、床面積が『200㎡』なので、
『4コマ』と想定天井高さが『5m以上』なので、上部を吹抜けとし、3階に吹抜けの面積『約200㎡』の『4コマ』を加算
09. 空調機械室
『空調機械室』は、床面積が『適宜』なので、
・3m × 5m = 12㎡
のスペースを確保することとし、『0.5コマ』と想定『多目的スポーツ室用』という課題条件から多目的スポーツ室と同様に『2階』に配置
10. トレーニングルーム、ダンススタジオ
『トレーニングルーム』は、床面積が『約120㎡』なので、
『2.5コマ』と想定『ダンススタジオ』は、床面積が『約100㎡』なので、
『2コマ』と想定
11. 更衣室A
『更衣室A』は、床面積が男性用、女性用を合わせて『約120㎡』なので、
『2.5コマ』と想定
12. 温水プール室
『温水プール室』は、床面積が『約450㎡』なので、
『9コマ』と想定『約450㎡』の大きな部屋であることを考慮して、天井を高くできるよう上部を吹抜けとし、3階に吹抜けの面積『約450㎡』の『9コマ』を加算
※『天井高さの指定がないこと』及び『健康増進という用途であること(競技用ではない)』を考慮し、無理に天井を高くする必要はない
13. 見学できるスペース(見学窓)
『見学できるスペース』は、床面積が『適宜』なので、『50㎡』のスペースを確保することとし、『1コマ』と想定
14. ゾーニング・グループピング
『部門』『室名』『特記事項』『要求室の使い勝手』等を考慮して、『部門分け』や『グループ分け』ができているかを確認
マーカで色分けすると同時に『小計』を出しておくと『変更・訂正』が行いやすい
15. 集計①
ボリュームの集計を行い、上下階のバランスを確認する
上下のボリューム差が『20%(2割)』を超えていなければ、良いと判断
『適宜の部屋』の床面積は、10%程度の誤差を容認されている可能性が高い
※試験元は公表していないので自己責任今回の『想定ボリューム』は、1階のボリュームが『小さく』、上階が『大きい』ので、
・1階のボリュームを『10%増』
・2階のボリュームを『10%減』
にするとボリュームを整えられる
16. コア、WC
『コア』は、利用者および管理者の階段・EVが必要なので、
『2コマ』と想定『WC』は、各階に『1コマ』と想定
17. 集計②
建物の機能を満たすための『最低限のボリューム』を想定したので、集計
18. 廊下
『どの部屋に廊下が必要なのか?』を考えながら廊下のボリュームを想定
1階の廊下
『エントランスホール(3コマ)』と『カフェ(1コマ)』は、隣接するので廊下が必要ない
『機械室(1.5コマ)』は、外部からのアクセスが可能なので、廊下が必ずしも必要ではない
廊下が必要なボリュームは、『12コマ』
廊下のボリュームは、『2.5コマ』
12コマ × 0.2(廊下係数) = 2.4コマ
2階の廊下
『温水プール室(9コマ)』は、『更衣室A』を経由してアクセスするので、廊下が必要ない
廊下が必要なボリュームは、『12コマ』
廊下のボリュームは、『2.5コマ』
12コマ × 0.2(廊下係数) = 2.4コマ
※廊下係数については、エスキスを始める前の【基礎知識】を参考
3階の廊下
『多目的スポーツ室の吹抜け(4コマ)』と『温水プール室の吹抜け(9コマ)』には、アクセスする必要がないので、廊下が必要ない
廊下が必要なボリュームは、『8.5コマ』
廊下のボリュームは、『1.5コマ』
8.5コマ × 0.2(廊下係数) = 1.7コマ
※廊下係数については、エスキスを始める前の【基礎知識】を参考
19. 集計③
全てのボリュームが出たので、各階の『想定ボリューム』を集計
20. 集計④
建物全体の『想定ボリューム』を集計
21. 集計⑤
床面積に換算され『ない』想定ボリュームを集計
※『吹抜け』や『屋上庭園』等床面積に算入されないボリュームを算入していなければ、
・建物の大きさ
・建築面積
・廊下のボリューム
が把握できないので、必ず参入しておく
22. 床面積の確認
建物全体の『想定ボリューム』から床面積に換算され『ない』想定ボリュームを減じて、床面積を確認
課題条件では、床面積の合計が『2,300㎡以上2,800㎡以下』なので、
『46.9コマ』以上『57.1コマ』以下なら条件をクリア床面積の余裕を追記しておくとプランニング時に電卓を使用する手間を省ける
23. 建築面積の確認
課題条件では、建蔽率が『70%』なので、建築面積が
・1,664㎡ × 0.7 = 1,164.8㎡
・『23.7コマ』以下なら条件をクリア建築面積の余裕を追記しておくとプランニング時に電卓を使用する手間を省ける
※今回は、余裕が少なく建築面積を意識しながらプランニングを行うことが分かる