一級建築士学科試験の法規や施工に影響する改正民法による契約不適合という考え方
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一級建築士学科試験の法規や施工に影響する改正民法による契約不適合という考え方

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改正民法が、令和2年4月1日から施行され、これに伴って、関係法令や契約約款なども一部改められています。

令和3年の学科試験から、法規や施工の問題に、改正民法における「契約不適合」関係の規定が影響してくるところがありますので、整理しておきます。

1.民法改正により「瑕疵」から「契約不適合」へ

(買主の追完請求権)
第562条第1項

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

改正前、民法では「瑕疵」という用語が用られていましたが、改正後は、上の規定に見られる通り、「契約の内容に適合しない」というように、瑕疵の意味を明文化した表現に改められています。 

2.建設業法

(建設工事の請負契約の内容)
第19条第1項第十三号

工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

改正前は「工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任」とされていた部分が、上の規定の通り、「工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任」と改められています。

「瑕疵」という用語を、改正民法にあわせて「契約不適合」を意味する表現に改め、瑕疵の意味を明文化した形になっています。

「契約不適合」関係から離れた余談になりますが、同じく第19条第1項第四号に「工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容」が新設されています。これについては、働き方改革を促進するため、請負契約の書面に記載することを新たに義務づけたことになります。

3.住宅の品質確保の促進等に関する法律

(定義)
第2条第5項

この法律において「瑕疵」とは、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう。

上の規定の通り、「瑕疵」についての用語の定義が新設されています。

第7章 瑕疵担保責任(第94条~第97条)の規定においては、引き続き「瑕疵」という用語を用いています。改正民法で削除された「瑕疵」という用語を引き続き用いる品確法においては、独自に用語として定義しておく必要が生じたということになります。

法規の問題で、度々出題根拠としている第94条第95条は、従来から民法の規定に委ねる形をとっています。これらにおいて、改正民法の規定中の「不適合」という表現を、品確法の規定中で「瑕疵」と読み替えをさせることによって、「瑕疵」という用語を引き続き用いながら、民法と品確法との整合性を担保しています。

また、第95条第1項において「隠れた瑕疵」が「瑕疵」に改められています。「隠れた」とは、契約時に買主が欠陥について注意をしても知りえないことと、従来はされていました。
民法改正に伴い、品確法における定義でも「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態」であると、瑕疵を定義し明文化されたため「隠れた」と表現する必要がなくなったことによります。

4.特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律

(定義)
第2条第2項

この法律において「瑕疵」とは、住宅品質確保法第2条第5項に規定する瑕疵をいう。

上の規定の通り、品確法で新設された用語の定義に委ねる形をとっています。法令名に「瑕疵」とありますので、この用語を定義する必要性は、品確法以上にあったと言えます。

5.民間(七会)連合協定「工事請負契約約款」

まず、改正民法の施行に伴い、「工事請負契約約款」(令和2年4月改正)が改められ、「民間(旧四会)連合協定」から「民間(七会)連合協定」への改称もされています。

第1条の2において、「契約不適合」を「種類又は品質に関してこの契約の内容に適合しない状態をいう。」と新たに定義していますが、品確法等における「瑕疵」の定義と同じ意味になっています。

旧第27条に「瑕疵の担保」、旧第27条の2に「新築住宅の瑕疵の担保」を規定していましたが、新第27条に「契約不適合責任」、新第27条の2に「契約不適合責任期間」を規定し、全面的に改められています。


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企業内一級建築士資格取得研修の24年間の実績。設計製図試験の与条件に対しそうであるように、「やらなければならないこと」、他「やったほうがいいこと」、「どっちでもいいこと」を見極める力が大切……勉強をしていく中で何事においても。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信。