一級建築士学科試験で学ぶ、改正建築基準法における空き家対策を見据えた小規模建築物の規制緩和
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一級建築士学科試験で学ぶ、改正建築基準法における空き家対策を見据えた小規模建築物の規制緩和

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 出典:住宅ストック活用型社会の実現に向けて(国土交通省)

1.空き家のストック活用の実態

 住宅・土地統計調査(総務省)によれば、平成25年における空き家総数は約820万戸になります。こういった既存建築物のストック活用の観点から、3階建ての戸建住宅を特殊建築物に転用しようとした場合、建築基準法第27条第1項により、これまでは主要構造部を耐火構造等とする必要が生じました。このため通常のリフォーム程度では済まずに、建替えをする必要が出てくるなど、適切なストック活用が難しい状況にありました。

2.小規模建築物の規制緩和

 法第27条第1項の目的は、火災時における特殊建築物の在館者の安全な避難の確保(特定避難時間において倒壊・延焼を防止)にあります。
 避難の安全性に用途の違いによる差が生じることなく火災初期段階で避難が終了できる小規模建築物を対象に規制緩和を行い、既存の戸建住宅の適切なストック活用をしやすくしています。

3.3階建ての小規模な特殊建築物の特例

 法第27条第1項第一号法別表第一(い)欄(1)項から(4)項により、3階以上の階が、特殊建築物のうち対象用途であれば、床面積にかかわらず主要構造部を耐火構造等にする必要が従来はありました。しかしながら、小規模建築物は避難経路・避難時間が比較的短くなり、火災初期段階で避難が終了できることから、法改正によって階数が3で延べ面積が200㎡未満のものは、法第27条第1項第一号による規制の対象から除外されることになりました。 
 上の特例を受けるに当たって、令第110条の4で定める病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎及び児童福祉施設等(入所する者の寝室があるもの)については、令第110条の5で定める警報設備を設けるといった条件付きとなっています。つまり、就寝利用する用途については、警報設備を設けることで、特例が適用されるということになります。

4.小規模な特殊建築物の竪穴区画

 前述の通り、階数が3で延べ面積が200㎡未満の小規模な特殊建築物については、主要構造部に対する規制が緩和されています。
 これらのうち所定の用途については、避難時間を考慮して、令第112条の防火区画の規定において、竪穴区画が求められています。
 第12項は、3階を病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、児童福祉施設等(入所する者の寝室があるもの)の用途とする小規模な特殊建築物が対象となります。用途から察する通り、自力避難が難しい人が就寝利用するものの安全措置としての竪穴区画です。竪穴部分を間仕切壁又は防火設備(20分間遮炎性能)で区画することを求め、スプリンクラー設備等を設けた場合は火源の急激な拡大が抑制できることから、防火設備(10分間遮炎性能)でよいとされてます。
 第13項は、3階をホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎の他児童福祉施設等(第12項以外の通所利用するもの)の用途とする小規模な特殊建築物が対象となります。竪穴部分を間仕切壁又は戸(ふすま、障子等の火炎が貫通しやすいものを除いたフラッシュ戸等)で区画することを求めています。

5.用途変更に伴う建築確認の規制緩和

 前述の各見直しに伴い、法第6条第1項第一号に規定する特殊建築物に関する建築確認の対象が、従来の床面積の合計100㎡から200㎡を超えるものに改められています。
 これによって、法第6条第1項第一号の特殊建築物への用途変更に関する法第87条第1項の規定により、床面積の合計200㎡以下の特殊建築物への用途変更には、建築確認が不要となりました。

✳令和2年4月1日施行の改正施行令に基づき、記事中の令第112条の11項を12項、12項を13項に改めました。(2020.11.25)

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企業内一級建築士資格取得研修の23年間の実績。設計製図試験の与条件に対しそうであるように、「やらなければならないこと」、他「やったほうがいいこと」、「どっちでもいいこと」を見極める力が大切……勉強をしていく中で何事においても。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信。