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一級建築士学科試験|内装制限の役割と改正建築基準法における考え方

1.内装制限の役割

・出火機会を低減
・初期火災の拡大を遅延
・有害な煙の発生を抑制
・安全な避難を確保

2.内装制限の緩和要件

上の内装制限の役割を他の措置に代えることができるなら、内装制限に求められている役割は免除されるだろうとの想像はできるかと思います。

内装制限の緩和や免除をする要件として、以下の規定があげられます。
・煙の降下を抑止できる天井の高さの確保による制限の免除
 (令第128条の3の2)
・主要構造部の性能に応じた建築物の規模による制限
 (令第128条の4第1項)
・火災の拡大や煙の伝播を防止する防火区画等による制限の免除
 (令第128条の5第1項、第4項)

下記は、令和2年4月1日から施行されている令第128条の5第7項の改正規定で、令和2年1月1日現在では未施行なものになりますが、内装制限に求められている役割を読み取ることができるかと思いますので、参考にしてみて下さい。

(参考)
前各項の規定は、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、床面積天井の高さ並びに消火設備及び排煙設備の設置の状況及び構造を考慮して国土交通大臣が定めるものについては、適用しない。

3.主要構造部の性能に応じた内装制限

令第128条の4第1項第一号による特殊建築物の主要構造部の性能に応じた制限に着目してみます。ここでは、特殊建築物のうち内装制限をすべき対象に対し、避難中の建築物の倒壊・延焼防止に配慮して制限する規模が定められています。

主要構造部によって、耐火建築物に相当するグループ(規模が大きいものから制限)、準耐火建築物に相当するグループ(規模が中程度のものから制限)、その他のグループ(規模が小さいものから制限)の3つに分けて、それぞれ内装制限を受ける規模が示されています。

旧法では、耐火建築物、準耐火建築物といった建築物の種類によるグループ分けをしていましたが、改正法においては、内部延焼に対する主要構造部の性能によって内装制限を受ける建築物の規模を定めていることを踏まえて、主要構造部の性能に応じたグループ分けをすることとなっています。

旧法では定めがなかった「特定避難時間」の下限値が令第110条第一号の改正により45分間と定められたことで、法第27条第1項の規定に適合する特殊建築物の主要構造部の構造が準耐火構造に含まれるとする考え方となっています。旧法において規制対象になっていた「特定避難時間倒壊等防止建築物」については、その用語が用いられなくなっただけで、「主要構造部を準耐火構造とした建築物」に含まれるものとして、従来通り規制されているのだと考えるとわかりやすいかと思います。

また、「通常火災終了時間」の下限値が令第109条の5第一号により45分間と定められていることから、法第21条第1項の規定に適合する大規模な木造建築物の主要構造部の構造も準耐火構造に含まれるとする考え方となります。

このように、準耐火構造の位置付けの明確化に伴った見直しが行われています。以下、具体的にどのような主要構造部の建築物が、各グループに含まれているのかをまとめておきます。

<耐火建築物に相当するグループ>
①主要構造部を耐火構造とした建築物

 ・法第2条第九号の二イ(1)
 ・法第2条第九号の二イ(2)
 ・法第21条第1項+令第109条の5第二号
 ・法第27条第1項+令第110条第二号

②法第2条第九号の三イに該当する建築物
 (1時間準耐火基準に適合するものに限る)
 ・法第2条第九号の三イ
 ・法第21条第1項+令第109条の5第一号
  (1時間≦通常火災終了時間)
 ・法第27条第1項+令第110条第一号
  (1時間≦特定避難時間)

<準耐火建築物に相当するグループ>
①法第2条第九号の三イ又はロのいずれかに該当する建築物

 (1時間準耐火基準に適合するものを除く)
 ・法第2条第九号の三イ
 ・法第2条第九号の三ロ
 ・法第21条第1項+令第109条の5第一号
  (45分間≦通常火災終了時間<1時間)
 ・法第27条第1項+令第110条第一号
  (45分間≦特定避難時間<1時間)


以下の記事も参考にしてみて下さい。

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