
一級建築士学科試験…改正建築基準法における防火設備に着目したまとめ
主要構造部規制は、規模、用途、立地の3つの観点からなされており、法第27条は用途の観点、法第61条は立地の観点によるものとなります。
各観点に対する対策も、それぞれ異ってきますので、防火設備に着目し、整理してみます。耐火建築物・準耐火建築物に設ける防火設備を、基本において比較します。
1.耐火建築物・準耐火建築物
法第2条第九号の二ロ
その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(~。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。
令第109条の2
法第2条第九号の二ロの政令で定める技術的基準は、防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものであることとする。
20分間の遮炎性能(屋内・屋外側の両面)を防火設備の要件とし、避難安全の確保と周囲への危害防止を求めています。
2.耐火建築物等としなければならない特殊建築物
法第27条第1項
~、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。
令第110条の3
防火設備の遮炎性能に関する法第27条第1項の政令で定める技術的基準は、防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないものであることとする。
法第27条第1項の政令で定める外壁の開口部ついては、令第110条の2において、延焼のおそれのある部分に加えて、屋外を通じ区画を超えた延焼を防止するために「延焼するおそれがある外壁の開口部」を定め、20分間の遮炎性能(屋内側の片面)を防火設備の要件とし、避難安全の確保を求めています。
令第110条第一号において、当該特殊建築物の全在館者が地上までの避難(自力避難・救助)を終了するまで損傷しないことを主要構造部の性能として求めていますので、これを担保するための防火設備の性能が、20分間の遮炎性能(屋内側の片面)だということになります。
3.防火地域及び準防火地域内の建築物
法第61条
防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
令第136条の2第一号イ、第二号イ
~、かつ、外壁開口部設備(外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に設ける防火設備をいう。~。)が第109条の2に規定する基準に適合するものであること。
ここで「外壁開口部設備」という用語が定義され、耐火建築物・準耐火建築物と同じ、20分間の遮炎性能(屋内・屋外側の両面)を防火設備の要件としています。
ちなみに、令第136条の2第一号イ、第二号イにおいて主要構造部に求める技術的基準は、それぞれ「耐火性能に関する技術的基準」・「耐火建築物の主要構造部に関する技術的基準」、「準耐火性能に関する技術的基準」・「主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準」になりますので、結局のところ、防火設備とあわせると、それぞれ耐火建築物、準耐火建築物になります。
しかし、これらの用語によらず、主要構造部や防火設備の性能を規定する形をとっています。
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