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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令における2以上の直通階段の設置基準

令和2年4月1日施行の改正建築基準法施行令のうち、令第121条の「2以上の直通階段を設ける場合」について、まとめておきます。令和3年の学科試験から適用される法令になります。

1.2以上の直通階段の従来からの設置基準

令第121条
第1項
 第四号

 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ50㎡を超えるもの
 第五号
 ホテル旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ100㎡を超えるもの
第2項
主要構造部準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「50㎡」とあるのは「100㎡」と、「100㎡」とあるのは「200㎡」と、「200㎡」とあるのは「400㎡」とする。

令第121条第1項第四号第2項により、病院児童福祉施設等については、主要構造部を準耐火構造以上の性能とした場合でも、その階の病室や居室の床面積の合計が100㎡を超えると2以上の直通階段を設けなければなりません。

また、令第121条第2項を適用しない場合、第1項第五号により、ホテル共同住宅については、その階の就寝室の床面積の合計が100㎡を超えると2以上の直通階段を設ける必要があります。

従来からの上の設置基準を踏まえて、令第121条の改正内容について以下見ていきます。

2.新設された設置基準の合理化

令第121条第4項
第1項第四号及び第五号第2項の規定が適用される場合にあっては、第四号)に係る部分に限る。)の規定は、階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の避難階以外の階(以下この項において「特定階」という。)(階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)と当該階段の部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。)とが間仕切壁若しくは次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める防火設備で第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されている建築物又は同条第15項の国土交通大臣が定める建築物の特定階に限る。)については、適用しない
 第一号
 特定階を第1項第四号に規定する用途(児童福祉施設等については入所する者の寝室があるものに限る。)に供する場合
 法第2条第九号の二ロに規定する防火設備(当該特定階がある建築物の居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた場合にあっては、10分間防火設備
 第二号
 特定階を児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものを除く。)の用途又は第1項第五号に規定する用途に供する場合
 ふすま障子その他これらに類するものを除く。)

令第121条第4項が新設されたことで、病院児童福祉施設等ホテル共同住宅のうち、階数が3以下で延べ面積が 200㎡未満の小規模な建築物について、直通階段の部分とそれ以外の部分とを、特定階(避難階以外の階)の用途に応じ、間仕切壁又は防火設備(法第2条第九号の二ロに規定する防火設備や戸)により区画した場合は、2以上の直通階段の設置が必要なくなりました

特定階を病院児童福祉施設等(寝室があるもの)にした場合に用いる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備については、スプリンクラー設備を設けると10分間防火設備(令第112条第12項で定義)でよいことになります。

特定階を児童福祉施設等(寝室があるもの以外)、ホテル共同住宅にした場合に用いるについては、火災時の接炎によって直ちに火炎が貫通するおそれのあるふすま、障子、普通板ガラス、厚さ3mm程度の合板等で造られたもの等は除かれています

なお、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備10分間防火設備とも令第112条第12項・第13項の規定による小規模病院等・小規模就寝室の準竪穴区画に用いられる防火設備と同様、令第112条第19項第二号に規定する遮煙性能を有する等の構造のものに限られます。

✳以下の記事も参考にしてみて下さい。

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