一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令において異種用途区画を不要とする要件
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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令において異種用途区画を不要とする要件

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令和2年4⽉1⽇施⾏の改正建築基準法施⾏令--令和3年の学科試験から適⽤される法令--のうち、令第112条第18項についての内容になります。

1.異種用途区画が不要

建築基準法施行令第112条第18項の改正により、以下の通り、「ただし書き」が加えられたことで、令和2年国土交通省告示第250号で定める基準に該当する場合は、異種用途区画--建築物の一部が「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」に該当する場合の防火区画--の必要がなくなりました。

<令第112条第18項>
建築物の一部が法第27条第1項各号、第2項各号又は第3項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合においては、この限りでない。

2.ただし書きが適用される「特定用途部分」

令和2年国土交通省告示第250号によれば、令第112条第18項ただし書きが適用されるのは、本来、異種用途区画が必要な「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」の部分(特定用途部分)を次に掲げる用途とする場合に限られます。
・ホテル
・旅館
・児童福祉施設等(通所のみにより利用されるもの)
・飲食店
・物品販売業を営む店舗

繰り返しになりますが、これらの「特定用途部分」についても、従来より「特定用途部分に接する部分」と異種用途区画する必要がありました。が、しかし、両部分に所定の警報設備(自動火災報知設備)を設けることなどにより、区画の必要がなくなったというのが、改正された内容になります。

R2.4.1国住指第4658号によれば、《特定用途部分特定用途部分に隣接する部分は、両部分の在館者が火災時に一体的な避難行動をとることができるよう、両部分の在館者により一体的に利用されるものであり、かつ、同一の管理者により管理されていることが望ましい。》とされています。

3.「特定用途部分に接する部分」が同一階にある場合

ホテル等の特定用途部分と同一階にある「特定用途部分に接する部分」を以下の用途とする場合は、避難安全性確保の観点から、令第112条第18項ただし書きが適用できないこととされています。したがって、ホテル等の特定用途部分に、以下の用途が接する場合には、従来通り異種用途区画する必要があるということになります。
・法別表第1(い)欄(1)項に掲げる用途
・病院
・診療所(患者の収容施設があるものがあるもの)
・児童福祉施設等(通所のみに利用されるものを除く)

4.「特定用途部分に接する部分」が同一階にない場合

「特定用途部分に接する部分」が特定用途部分と同一階にない場合には、所定の警報設備を設ける等の措置を講じた場合でも、1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床等によって、従来通り異種用途区画する必要があります。

5.試験問題への影響

異種用途区画が不要となる具体的なケースを、令第112条第18項の内容から一歩踏み込んで捉えておくために、前述の通り、令和2年国土交通省告示第250号の内容に触れておきました。

試験問題では、告示の内容に基づく出題は極めて稀であると思いますが、異種用途区画には「ただし書き」による例外もあるということと告示の概要を頭に置いて、問題の記述を読み解く必要はあるだろうと考えます。

以下は、平成30年問題の記述になります。2階の床面積の合計が500㎡以上の物品販売業を営む店舗の部分は、「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」に該当し異種用途区画の必要がありますので、出題時は「正しい」記述となっています。

<平成30年問題の記述>
1階及び2階を物品販売業を営む店舗(当該用途に供する部分の各階の床面積の合計がそれぞれ1,000㎡)とし、3階以上の階を事務所とする地上8階建ての建築物においては、当該店舗部分と事務所部分とを防火区画しなければならない。

では、改正された令第112条第18項に照らしたとき、記述の正誤に影響が出てくるのか?……考察してみます。

「特定用途部分」が物品販売業を営む店舗になっていますが、「特定用途部分に接する部分」となる事務所が同一階にありませんので、仮に両部分に所定の警報設備を設けていたとしても、令第112条第18項ただし書きを適用することはできません。したがって、上の問題の記述は、改正施行令に照らしても「正しい」と判断できます。

最後に、令第112条第18項--告示の概要を頭に置く必要はあります--に基づき「正しい」と判断できる、問題の記述例を2つほどあげておきます。

<問題の記述例①>
物品販売業を営む店舗(当該用途に供する部分の2階の床面積の合計が500㎡)に接する部分を事務所とする地上2階建ての建築物の2階においては、原則として、当該店舗部分と事務所部分とを防火区画しなければならない。

<問題の記述例②>
物品販売業を営む店舗(当該用途に供する部分の2階の床面積の合計が500㎡)に接する部分を事務所とする地上2階建ての建築物の2階においては、所定の基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合は、当該店舗部分と事務所部分とを防火区画しなくてもよい。

【補足】
①については、「ただし書き」による例外がありますので、「原則として」と記述しておかないと、「正しい」とは断定できなくなります。
①②とも、物品販売業を営む店舗としていることの意味あいについては、令和2年国土交通省告示第250号の概要が頭にあってこそ、わかることとなります。

告示に依存することなく、令第112条第18項のみに基づき、異種用途区画が不要であると判断できるような問題の記述をつくることは、簡単ではないように思います。


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企業内一級建築士資格取得研修の24年間の実績。設計製図試験の与条件に対しそうであるように、「やらなければならないこと」、他「やったほうがいいこと」、「どっちでもいいこと」を見極める力が大切……勉強をしていく中で何事においても。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信。