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1級建築士って実際どうなの?企業で働くうえでの必要性を解説します。

企業で働くうえで1級建築士ってどれほど必要なのか?
取るのは大変そうだし、学校に通うならお金もかかりそうだし、そうまでして取る必要あるの?
そう思っている方は多いのではないでしょうか。
企業で働きながら1級建築士を取得した筆者が、実際のところどうなのかお伝えします。


1級建築士は「足の裏の米粒」

建築業界では有名な言葉です。「足の裏の米粒」。
言い得て妙というか、最初にこの言葉で表現した人はすごいですね。

取っても食べられないが、取らないと気持ち悪い

これがまさに1級建築士という資格です。


■取っても食べられない理由
 1級建築士とは、いわば建築を生業とするための運転免許証みたいなものだからです。運転免許証を持っていたからと言って仕事が得られるわけではないですよね。
 必要条件であって、十分条件ではないということです。


■取らないと気持ち悪い理由
 自分が建築の専門家であることを示すものがないからです。
 周りの人に「建築の仕事をしています」と言うと、十中八九「じゃぁ建築士持ってるんですか?」と返ってきます。
 そのとき「いいえ…」と答えざるを得ない状況はなんとなく居心地が悪いですよね。


一級建築士を取るなら若ければ若いほどいい

そんな1級建築士という資格ですが、どうせ取るなら若ければ若いほどいいというのが私の結論です。
(私は26歳の時に1級建築士になりました)
なぜか。理由は3つあります。

理由❶:実務上、自分のレベルを示せる“タグ”になる

やや抽象的ですが、建築は数多くの知識が必要であることから、やはり経験がモノを言います。それに加えてクライアントだったり、行政だったり、数多くの主体と関わりながら進めていく仕事です。

入社して間もない「若手」は役職も付いていないので、それだけでナメられます。その時に名刺に1級建築士の文字があるかどうかは、自分が何者であるかを示す重要な記号になります。

別の言い方をすると、相手もこの人がどのレベルで建築を知っているのかわからないから話しづらいというのがあるんですね。建築基準法の基本的な知識はあるのか、ほとんど知識を持っていない人なのか…

実際に私も実務の中で入社3年目で1級建築士を取ってから名刺に入れていますが、それがあるかないかで明らかに行政の方や、設計会社・施工会社の方の反応が違います。

役職は自分だけの努力ではどうにもなりませんが、1級建築士は自分だけの努力で勝ち取れるものです。

理由❷:転職を視野に入れるならほぼ間違いなく必要

私自身、転職を本気で考え、活動した時期があります。

それでわかったこととしては、建築職として転職するならほぼ間違いなく募集要件に1級建築士「必須」「歓迎」が付いてきます。

企業側からすれば当然ですよね。建築の中途採用として獲得するからには即戦力として期待されているわけです。その即戦力のバロメーターとしてわかりやすいのが資格ということです。

転職市場は35歳が1つの区切りと言われます。その点で、自分の人生の選択肢を拡げておくという意味でも、1級建築士を取得するのは若ければ若いほうがいいということです。

(建築業界の転職市場については別の機会に触れたいと思います。)

理由❸:精神衛生上良い

先ほど「取らないと気持ち悪い理由」でも少し述べましたが、
 ・建築を生業にしてると、周囲から建築士を持っていると思われる
 ・働いている会社から、取るまで「取れ」と言われ続ける
 ・学校に通っていると合格しない限り出費が増え続ける
 ・建築士を持っていないと一定以上に昇進できない
合格すればこれらから解放されるわけです!

なんと後ろ向きな理由なことでしょう…でもこれが現実です。
1級建築士を取れば、どんな建物でも建てられる!なんていうのは詭弁で、
企業に勤めていれば建築士を持っていなくても業務上は超高層ビルでもなんでも担当できます。

(直接的に建築士であることが求められるのは、確認申請を提出する時や、工事監理者として申請するときだけです)

1級建築士合格者は年々若くなっている

ここまで、どうせ1級建築士をとるなら若いほうがいいという話をしてきましたが、実際に年々合格者の年齢は若くなってきています。

最新の試験結果では、合格者数の約60%は20代です。
試験結果 建築技術教育普及センターホームページ (jaeic.or.jp)
この要因は2つあると思っています。

1つは1級建築士の受験資格です。
これまで大学を出ていようが、大学院を出ていようが、最低でも2年以上の実務経験がなければ受験資格を得られませんでした。
それが2020年の法改正によって、その必要とされていた実務経験が試験合格後でもよくなりました。
建築士法改正 令和2年の建築士試験から受験資格が大幅に緩和されます!|建築士|資格の学校TAC[タック] (tac-school.co.jp)
これにより単純に考えても2年若返ります。

2つめはライフステージの影響です。
歳を経るごとに、仕事では徐々に業務量も責任も増えていきますし、プライベートでは結婚や育児などで勉強どころではなくなってしまいます。
「妻に子どもの面倒をみてもらいながら、肩身の狭い思いをして勉強をしている」なんて話はザラです。
また単純に体力の問題もあります。製図試験に向けた資格学校では丸1日ひたすら製図の勉強をするので本当に疲れます。

私が今やれと言われても絶対に無理です。

まとめ

ということで、ここまで1級建築士は必要なのか?について見てきました。

結論としては、
 ・必要条件であって、十分条件ではない。
 ・自分の将来を考えるなら、1級建築士を保持しておくことで将来の選択肢を拡げられる。
 ・取る気がある、どうせ取るなら若いうちに!

というのが私の意見です。

おわり


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