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子どもたちと社会の架け橋「Arch to Work」の実現に向けて

皆さん、こんにちは。
Arch to Hoop沖縄の事務局担当の繁田です。
今回は、11月に実施した新たな取り組み「Arch to Work」の様子をご紹介いたします。


子どもたちと社会の架け橋「Arch to Work」始動!

Arch to Hoopはこれまで、4月のプレイベント、7月、8月のイベントの計3回、バスケットボールを通したイベント設営・イベント参加の活動を実施。「子どもたちがあきらめることなく自分の可能性を広げられる未来をつくります」という目的のもと、バスケットボールを通じて、子どもたちが変われる、非日常体験を提供してきました。

ただ、Arch to Hoopは団体設立当初から、活動の大きな目的の1つに、子どもたちと社会の“架け橋”となることを掲げています。子どもたちが社会に出た際に、社会とのかかわりの1つである「職業」をどう選択するのか。その選択肢を1つでも多く提示してあげたい。そのきっかけとするにはどんなカタチがいいのかを模索してきました。

「Arch to Hoop:バスケイベント制作体験」がバスケットを通じて「自分の好きなこと・得意なこと」を見つける架け橋になるとしたら、社会参画の1つのカタチである「仕事」との架け橋をつくってあげたい…それが「Arch to Work:仕事体験・職場見学」のスタートでした。

今後、「Arch to Work」をArch to Hoopの1つの活動の柱にするとしたらどういう形式がベストなのか、その可能性を探るとともに検証をする意味で、11月は、共創パートナーのNPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆいと、株式会社モルテン様とで協力をして、Arch to Workのモデルづくりを行いました。まずはこちらのダイジェスト動画をご覧ください。

Arch to Workの第一歩はさまざまな“モノづくり”を進めるモルテンとともに

株式会社モルテン様は広島に本社を構えるモノづくりの会社です。皆さんがよくご存知のスポーツ用品に始まり、自動車の部品、医療・福祉機器、マリン・産業用品など、多岐にわたるモノを製造・販売しています。

今回、NPO法人ちゅらゆいの子どもたち15人と株式会社モルテン様とで、Arch to Workのテーマとしたのは、自分のためではなく、「誰かのためを想って、モノをつくる」ということ。世の中の仕事は一般的に“誰かのため”になっている、そんなことを子どもたちに伝えたく、このテーマを設定しました。

モルテン様から提案されたモノづくり体験は、全部で6つ。午前中のプログラムで用意された組み立て式サッカーボール「MY FOOTBALL KIT」の組み立て、ビルや家の下で地震の揺れを吸収してくれる“免震ゴム”の簡易版の制作、バスケットボールづくり、オリジナル枕づくり、ロゴが入ったプラスチックのキーホルダーづくり体験です。

当日は連休の中日というお休みの日だったのですが、この日のためにモルテンの社員の方たちは事前に準備をしてくださり、当日は出社してイベントの対応に当たってくださいました(本当にありがとうございます!)。

[the Box]でモルテンのモノづくりを追体験

Arch to Work前日、沖縄から飛行機で福岡入りした子どもたちは、新幹線で陸路、広島へと向かいました。会場となる[the Box]は、モルテン様の開発機能を1カ所に集約したテクニカルセンター。

入り口正面に広がる、1階から4階へと続く「Giant Steps(ジャイアントステップ・大階段)」を目の当たりにした子どもたちからは、「すごい!」「何これ!」と口々に驚きと感動の言葉が。これから始まるArch to Workへの期待感が一気に膨らんだようです。

午前中の最初のプログラムは、その[the Box]の巡回ツアー。この施設を巡回することによって、モルテン様のモノづくりの一部がつかめるようになっています。

まずは屋外の「Hakoniwa」へ。ここでは、なんと、ヒツジが3頭飼われています。モルテンの民秋社長に伺うと、「開発者は1日中、この建物の中で日夜開発に没頭しています。生き物ではなく機械と1日中対峙していると煮詰まることもあります。その合間、少しでも生き物と触れ合うことで社員がリフレッシュできたり、新たな発想を生むきっかけになったり、そんな効果を期待しています」とのこと。子どもたちは時間を忘れてそのヒツジたちへのエサやりに夢中になっていました。

続いては、自動車部品の評価・検証をする[the Garage]へ。子どもたちのテンションが特に上がっていたのが「半無響室」。自分たちの声がほぼ反響しない…という体験は、もちろん初めて。その不思議な感覚が楽しく大声を発していましたが、半無響室を出てからも大声を発する子が出るなど、大はしゃぎでした。

次は、医療・福祉器具を開発する[the Medical Lab]へ向かいます。ここでは、高機能エアマットレスや在宅向けの介護ベッド、クルマイスなどの説明を受けました。ここでは、介護をする人、介護される人…両者の苦労をいかに軽減できるかを機器でいかに解消していくかという話に耳を傾け、熱心にメモを取る子どもたちの姿が印象的でした。

最後は、バスケットボール、フットボール、ハンドボール、バレーボールなどのコートがまるまる1面取れる[the Court]に集合。ここで、午前中の2つ目のプログラムである「MY FOOTBALL KIT」の組み立てを行いました。それぞれ1つずつキットをプレゼントされた子どもたちは、4つのチームに分かれて、社員のアドバイスを受けながら各自ボールを組み立てていきました。

早々に組み立て終わった子どもたちが、小さい子たちの組み立てを手伝うなど、子どもたちの間にも自然に交流が。全員が組み立て終わると、子どもたちは自分たちが作ったボールで思い思いにコートで元気いっぱいに遊びました。

「誰かのためのモノづくり」を子どもたちが実践!

昼食を挟んで、午後はモルテン様の開発部門が集まる[the Studio]で、自分たちが作りたいものを選択して、それぞれバスケットボール、オリジナル枕、キーホルダーを制作しました。

「誰かのためを思って、モノをつくる」というテーマのもと、お母さんのために枕をつくる子、きょうだいのためにキーホルダーをつくる子、参加できなかった子どもたちと遊ぶためにバスケットボールをつくる子、それぞれが誰かを思い浮かべて、モノづくりに励みました。

特に印象的だったのは、オリジナル枕を入れる袋の裏に、その人への思いを綴る体験。「ありがとう」の言葉やかわいいイラストなどが描かれ、カラフルなメッセージが袋に描かれている様子を見て、事務局スタッフとしてもホッコリしてしまいました。

振り返り会でのコメントで子どもたちの成長ぶりが顕著に

ひと通りのプログラムを終えた子どもたちの目は、「誰かのために」という想いで1日を過ごしたためか、朝よりもほんの少しだけ表情が柔らかくなっていました。その後は[the Studio]で1日の振り返り会を実施。

「バスケットボールの外の皮の部分を貼る作業が楽しかった」
「(お昼)ごはんがおいしかった」
「ヒツジがかわいかった」

という子どもたちらしい意見のほかにも、

「モルテンさんの社員と鬼ごっこをした」
「モルテンさんの社員さんと友だちになった」

と交流できたことの感想に触れた子や、

「モルテンさんはバスケットボールだけかと思っていたけど、いろいろ作っていたのがすごいと思った」
「うっちゃん(内田さん)が誰かのための作ることが大事と言っていたから枕づくりを頑張った」

と今回のArch to Workの趣旨をしっかりと理解していた子もいました。

普段は人前で言葉を発することなどなかった子たちが、1人1人しっかりと思いや感想を口にしていたことが、何よりの成長になったのではないかと思います。

受け入れ側のモルテン社員にも変化が!

このArch to Workで刺激を受けたのは子どもたちだけではありませんでした。今回「どうしたら子どもたちにモノづくりの楽しさや大変さが伝わるか」を準備段階から考えられていたモルテン様の社員にも、子どもたちとの体験を通して、さまざまな考えが浮かんだようです。

「モノづくりを楽しいと感じてくれたこと自体がエンジニアとしてうれしい」「普段使っているものがどのように出来上がるのか、その工程を知ってほしかった。いろいろな感想を持ち帰ってほしい」など、普段のモノづくりの姿勢に何かしら新しい刺激をもらったことが社員様のコメントから伺えました。

子どもたちを引率されたNPO法人ちゅらゆい b&gからふる田場の事業統括・平林勇太さんは、このArch to Workのために準備を進めていただいたモルテン様への感謝とともに、「子どもたちが良い顔をしてモノづくりをしていました。いろいろなことがみんなの心の中に生まれたと思います。『誰かのために』という思いで、今後、人のために何かをやってくれる子になることを願っています。いい時間が過ごせました」と、子どもたちへの思いを口にされました。

Arch to Workを沖縄で実現したい!

Arch to Workの試みは、NPO法人ちゅらゆい様とモルテン様のご協力で、子どもたちと社会をどんなカタチでつなげていけるのか、その手法が少しですが見えてきたと考えています。バスケットボールや社会、仕事…その対象は多岐にわたりますが、子どもたちにさまざまな“きっかけ”の機会をどう与えられるのか、そして関わる大人たちにとっても良い変化が生まれる、その役割がArch to Hoopの活動の骨子にあるのだということを再認識できました。

Arch to Hoopの拠点は沖縄ですので、この「Arch to Work」の仕組みを、今後は沖縄の子どもたちと沖縄の企業様とを結ぶ”架け橋”として展開していきたいと考えています。

今回の「Arch to Work」の取り組みの様子を、バスケットボールのカルチャーマガジン FLY Magazine様にも取り上げていただきましたので、是非ご一読ください。

最後に、本活動にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!!

これからも、Arch to Hoop沖縄|公式noteをよろしくお願いします。

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<プロフィール>
繁田謙(一般社団法人 Arch to Hoop 沖縄 事務局 スタッフ)
神奈川県横浜市出身。2010年に仕事の関係で神奈川から沖縄に移住。出版社勤務を経て、現在は貿易業務を行う地域商社・株式会社萌す(きざす)に所属。萌すにてArch to Hoop沖縄の事務局を運営している。

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