見出し画像

初年度活動の集大成!4回目の開催で見えてきたArch to Hoopのカタチ

皆さん、こんにちは。Arch to Hoop沖縄の事務局担当・繁田です。

沖縄では、1月12日〜14日の3日間、「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」が開催され、FIBA バスケットボール ワールドカップ 2023に続いて沖縄の“バスケ熱”が再燃!Arch to Hoopは、B.LEAGUE ALL-STAR PARK会場内のモルテン出展エリア「B+ PLAYGROUND」で展開された3x3コートの設置・運営を担いました。

今回のイベントでは、11月からArch to Hoopの参画企業となった株式会社麻生(以下、(株)麻生)の社員2人が運営スタッフとして参加。今回はその様子を含めて紹介します。まずはこちらのダイジェスト動画をご覧ください。

B.LEAGUE ALL-STAR PARKで3x3コートを運営

1月12日からの週末3日間、1月にもかかわらず夏日の陽気となった沖縄で、B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWAが、メイン会場となった沖縄アリーナと、サブ会場である沖縄市陸上競技場で開催されました。

サブ会場は「B.LEAGUE ALL-STAR PARK」と銘打たれ、ミュージシャンによるライブのほか、3x3コート、キッチンカーなど、イベントを盛り上げる多彩なコンテンツがそろいました。Arch to Hoopは「B+ PLAYGROUND」に設置された3x3コートの運営協力として参画しました。

昨年4月から活動スタートして計4回とイベント運営体験を行ってきましたが、これまでと大きく違うのは、参加する子ども・若者たちがバスケットボールを楽しむのではなく、完全に運営側の“裏方”に徹するという点。私たち事務局スタッフは「運営のお仕事をするだけで、果たして子どもたちは参加してくれるのか」と、一抹の不安を抱えていました。

子どもたちの役割分担を自分たちで考える!

私たちの不安を一掃するかのように、結果的には「ちゅらゆい」「みんなのももやま子ども食堂」「エンカレッジ」の3団体から延べ50人ほどの子ども・若者たちが運営スタッフとして参加してくれました!

12日はイベント本番を前に、午前中にコートを設営。午後、開場前に3団体の子どもたちとスタッフで集まり、今回のイベントで行う、10秒間にフリースローの成功本数を競う「シュートチャレンジ」のための役割を洗い出しました。

・ボールを拾う係
・ゲームを盛り上げるMC
・時間を計るタイマー係
・得点のカウント係
・シュートチャレンジの挑戦者にボールを渡す係
・集客&呼び込みをするための看板をつくる係 etc.

運営として必要な仕事内容を子どもたちが主体的に考えるという非常に貴重な時間となりました。この時間のおかげで、開場前の最終リハーサルもスムーズに進行。子どもたちもそれぞれ自分がどんな役割を担うのか、動きを確認しながら、少しずつお客さまを迎え入れる準備を整えていきました。

子どもたちと“仲間”になれた瞬間

今回参加した子どもたちの中には複数回参加している子もいて、「みんなのももやま子ども食堂」のゆみちゃんも3回目の参加。ゆみちゃんは特にバスケットボールが好きというわけではないのですが、毎回、このArch to Hoopのイベントを楽しみにしてくれています。それは、「事務局やかかわる大人たち、他団体の子どもたちに会いたい」という理由から。

ゆみちゃんはもともと遊び上手で、楽しいことを常に考えている子。そのためには大人を巻き込んだり、あえて1人で遊んだりと“マイワールド”を追求しています。気持ちが乗ってきてからの“ゆみワールド”の広がりはとどまるところを知りません! そのゆみちゃんが今回のイベントではあらゆるシーンで貢献してくれました。

呼び込みのための看板づくりにはじまり、看板を設置してからは、スタッフの大人たちとコンビを組んで、イベント参加の声がけを積極的にやってくれました。会場にいるお客さまに積極的に声をかけてコートまでお連れするというのは、大人でも躊躇してしまうもの。ゆみちゃんは笑顔でお客さまに声をかけて、何組ものお客さまに参加いただいていました。本当にすごい!!
ゆみちゃんの口からは「自分から話しかけて、そうしたら仲良くなれる」「仲良くするのが楽しい」「りょう(職員)がいるとはっちゃけられる!」という言葉も出ました。

みんなのももやま子ども食堂・主任の菅原耕太さんは「まさに、ゆみは“はっちゃけられる”ことを望んでいて、今回、人との出会いを“楽しい”と言語化できたことは、彼女にとっても自分自身の発見ではないかと感じています。今回のイベントは、ゆみにとって安心して自分が出せる居場所・遊び場であることと、自分らしく楽しめる、安心できる場だからこそチャレンジの場になっていたのでは。3日間参加した翌日にゆみに会いましたが、『また(Arch to Hoopが)あるとき、教えてー!ダッシュで行くから』と声をかけてきました。『連れてって』ではなくて『行くから』という言葉を導き出したことがArch to Hoopなんだと受け取りました」とコメントいただきました。

子どもたちにとって、Arch to Hoopのイベントが第三の居場所になってくれているようで、事務局スタッフとしても本当にうれしい限りです。

参画企業がそろい、見えてきたArch to Hoopのカタチ

今回から、Arch to Hoopのイベント形態に大きな変化がありました。それは、当事業に賛同いただき、ご支援をいただいた(株)麻生の社員がイベント運営スタッフとして参画いただいたことです。

麻生グループは福岡県を拠点に、全国に117のグループ会社を展開して医療、健康、人材、教育、環境などさまざまな分野でサービスを提供しています。今回は総務人事部の副部長を担う佐藤由利子(さとう・ゆりこ)さん、同部の五ノ谷郁弥(ごのたに・ふみや)さんに参加いただきました。

まず、なぜ私たちがArch to Hoopという共創事業を沖縄で展開しているかについて、当法人理事の金城隆一(NPO法人ちゅらゆい・代表理事)からお2人に説明。沖縄の貧困の実態、子ども・若者たちの置かれている環境、施設側の現状などを、資料を基に説明しました。

Arch to Hoopでは、かかわりを持っていただける方たちに事前のインプットをすることを心がけています。沖縄という地域の特性や、そこに暮らす子どもたち、その子たちにかかわる施設の方たちがどういう想いで活動をしているかを知っていただき、その上でバスケットボールを通して彼らに接することで、ただイベントに参加するだけでは得られない気づきを持ち帰ってもらいたいから。

佐藤さんと五ノ谷さんは「まずは自分たちが実際に参加することで、(株)麻生として今後どんなカタチでかかわりを持てるかをじっくり考えていきたい」というねらいで参加されました。
イベントでの佐藤さんの主な役割は、「シュートチャレンジ」の挑戦者を誘導する係、五ノ谷さんは挑戦者にボールを渡す係です。ちなみに、Arch to Hoopのイベントでは、全員がお互いにニックネームで呼び合うことにしており、佐藤さんは「ゆり」、五ノ谷さんは「ごの」の愛称に!

イベントがスタートするとお客さまは途切れることなく、2人も大忙し。佐藤さんは「何年生?」と声をかけたり、五ノ谷さんは子どもの目線でかがんでボールを手渡したりと、それぞれ子どもたちとの交流を楽しみました。

お客さまがいない空き時間には子どもたちと一緒にフリースローにチャレンジ。このときばかりは童心に返って、一番の笑顔で歓声を上げていました。

3日間のイベントに参加するにあたり、佐藤さんは自身の中で2つのテーマを設定したそうです。
1つ目は「自分自身が体験することで事業の理解を深めること」、2つ目は「若い社員に他企業の同年代の社員の方との交流を通じて、自社とのギャップを知ってもらい、自分発信してもらうこと」でした。
子どもたち個々の熱量の差は感じたものの、「子どもたちが運営側の仕事をすることで、どう運営していくかを考えるのはとても良い取り組みだと感じました。また、弊社の若手社員が他社の社員と交流してどのように事業を回しているのかを見ることで、仕事に対する熱量の違いを感じてもらえたと思う」と手応えを感じていました。

一方、その若手社員として今回白羽の矢がたった五ノ谷さんは、「かかわる大人たちと子どもたちとの交流はとても貴重な体験で、イベントを一緒につくり上げていくことを経験できるいい機会だと思いました。経験ができないことで可能性が閉ざされてしまう子どもたちも運営スタッフとしての経験を積ませていく、とても良い取り組みだと感じました」と大いに刺激を受けた様子でした。

今回、参画企業である(株)麻生の社員の方にイベント運営に参加いただき、イベント翌日の振り返りミーティングにも出席いただいたことで、今後のArch to Hoopのカタチが徐々に見えてきました。主役となる子ども若者たち・共創パートナー・参画企業、かかわる人たちがフラットに交流し、それぞれの立場で考える“きっかけ”になっていると実感しました。

改めて、バスケットボールを切り口とした“非日常体験”の場を提供することで、子ども・若者たちと向き合う“きっかけ”をつくり、それぞれの立場の人が考えて、行動する、その行動変容を促すことが私たちArch to Hoopの役割なんだということをつくづく感じさせてくれる3日間でした。

今回も、かかわっていただいた皆さまに、事務局一同、心から感謝申し上げます。

今回も多くのメディアにご取材いただきました

この度、3日間のイベントの様子をNHKさんに密着取材していただき、その模様が1月17日の「おはよう日本」内で放送されました。Arch to Hoopの取り組み、その中で生じている子どもたちの変化などを約4分半の時間でしっかりとご紹介いただけたことは、事務局としても活動を広く知っていただけるいい機会となり、ありがたいことに、早速お問い合わせが入っています。
NHKの担当ディレクター・吉本直樹さんも取材のかたわら子どもたちとも交流。ビデオカメラに興味を持った子に撮り方を教えるなど、カメラマンとして“ミニArch to Work”も実践してくれました。

また、地元の新聞社・沖縄タイムスさんにも掲載していただきました。イベント現場では、学芸部くらし班・嘉数よしのさんにお越しいただき、事業発足の背景から活動の趣旨、理事や事務局としてのコメントなど取材いただき、記事に仕上げていただいております。


活動初年度のイベントとしては今回が最後となります。2年目以降も引き続き子どもたちと一緒に考えながら、協力し合いながら取り組んでまいりますので、本活動にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!!

これからも、Arch to Hoop沖縄|公式noteをよろしくお願いします。

Webサイト
Facebook
Instagram

<プロフィール>
繁田謙(一般社団法人 Arch to Hoop 沖縄 事務局 スタッフ)
神奈川県横浜市出身。2010年に仕事の関係で神奈川から沖縄に移住。出版社勤務を経て、現在は貿易業務を行う地域商社・株式会社萌す(きざす)に所属。萌すにてArch to Hoop沖縄の事務局を運営している。

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?