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WRA 12-6 川崎フロンターレ - ガンバ大阪 「副審特集」

今回はFUJI XEROX SUPER CUP 川崎フロンターレ対ガンバ大阪 の試合を分析していきます。

このゼロックススーパーカップは、Jリーグ開幕を告げる試合です。審判業界においてはその年の判定基準(レフェリングスタンダード)を示すということで大きな意味を持つ試合です。そういうこともあるので、初心に帰って各ハーフを飲水タイムで区切った全4回+荒木さんのポジショニング+2人の副審に特化した全6回で分析していきます。

今回は副審のお二人に特化して、難しかったと感じる判定シーンをピックアップしていきます!

素晴らしかったシーン

A1渡辺康太さん 2:26 1回目のオフサイド判定

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A1渡辺康太さんの判定です。

川崎の攻撃で9レアンドロ・ダミアン選手がオーバーヘッドシュートをしたシーンです。こぼれ球を18三笘薫選手がシュートし、そのこぼれ球をまたダミアン選手がヘッドして三笘選手のところに転がりますが、三笘選手がオフサイドポジションにいたためフラッグアップ。

判定シーンの位置はそこまで難易度は高くないのかもしれませんが、何回もボールが行き来する状態で適切にポジショニングを行ったからこその判定であり、素晴らしいものです。

32:38 川崎18三笘薫選手の得点シーンのオンサイド

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A1渡辺康太さんの判定です。

川崎13山根視来選手がシュート性のボールをけったタイミングがオフサイドの判断タイミングです。

非常にタイトなオフサイド判定でしたが、完璧に見極めました

ひょっこり出てきたように見える三笘選手のポジションを考えるとオフサイドに誤解して見える可能性も高いシーンでしたが、しっかり最終ラインがG大阪GK1東口順昭選手の足であることを見極め、同じレベルより若干オンサイド側にいた三笘選手のポジションを正確に判断しオンサイドを適切に判断しました。

難しいシーンですが、素晴らしい判断でした。

A2浜本祐介さん 76:19 ナイスオフサイドディレイ

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川崎11小林悠選手がスルーパスに抜け出し、G大阪1東口順昭選手がナイスセーブしたシーンです。非常にタイトなタイミングのオフサイド判定を正確に見極めた浜本さんのファインジャッジです。

この時小林選手がオフサイドポジションにいたことはパスを受けたタイミングで浜本さんは理解していました。その中で、VAR採用試合ではすぐにフラッグを上げずに「オフサイドディレイ」をすることが副審に求められます。

このオフサイドディレイをする意味として、オフサイドを誤って採用して得点のチャンスを不当に奪わないということがあると考えています。フラッグが上がってしまうと、取り返しがつかなくなってしまいます。

守備側としては早く上げてよという思いも理解できますが、VAR導入試合では結構多くあるシーンかと思いますので、攻守両者が最後までプレーを続けることが大事かなと思います。

また、これで大変なのが副審の皆さんです。VARはJ2では導入されません。試合によってフラッグアップで要求される内容が異なってくるということの大変さは恐ろしいほどです。そんな中プロの仕事をされる副審の皆さまには脱帽です。

この時に解説の北澤豪さんが言っていた「VARは続けないといけませんね。」という言葉を叩いている方はいましたが、話の流れ的にも至極真っ当でしたし、セルフジャッジをしないということだとおもいます。少々言葉足らずな部分は問題ですが、なんでも叩けばいいというものではないかと思います。

A2浜本祐介さん 90+5:30 小林悠選手のオンサイド

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川崎11小林悠選手が決勝ゴールを決めたシーンです。川崎19遠野大弥選手がスルーパスを出した瞬間がオフサイドの判断のタイミングでしたが、極めてタイトのタイミングでした。

この非常に難しい判定を完璧にした浜本祐介さんの素晴らしさを感じますし、このフラッシュラグの起こりやすいところでしっかり判定する大切さを感じました。

まとめ

この竹内さんのおっしゃっていることがすべてだと思います。世界と比べてもJリーグの副審担当の皆さんの判定能力は高いと感じますし、今回担当された渡辺康太さん・浜本祐介さんどちらも非常に高いレベルの判定を披露していました。

当たり前ではあるのですが、基本の部分であるオフサイドラインのキープを怠っては全くできない芸当ですし、基本を積み重ねる大切さを感じる試合でした。本当にお見事でした。勉強になりました。

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