WRA 12-5 川崎フロンターレ - ガンバ大阪 「荒木 友輔主審のポジショニング」
今回はFUJI XEROX SUPER CUP 川崎フロンターレ対ガンバ大阪 の試合を分析していきます。
このゼロックススーパーカップは、Jリーグ開幕を告げる試合です。審判業界においてはその年の判定基準(レフェリングスタンダード)を示すということで大きな意味を持つ試合です。そういうこともあるので、初心に帰って各ハーフを飲水タイムで区切った全4回+荒木さんのポジショニング+2人の副審に特化した全6回で分析していきます。
今回は主審を務めた荒木友輔さんのポジショニングを見ていきます。
公式記録
川崎フロンターレ 3-2 ガンバ大阪
得点 川崎 三笘 薫 (29'・32') 小林 悠 (90'+6)
得点 G大阪 矢島 慎也(60') パトリック(67’)
15SH7
8CK4
13FK7
主審 荒木 友輔 副審1 渡辺 康太 副審2 浜本 祐介 第4の審判員 中村 太 VAR/AVAR 木村 博之 / 野村 修
(https://data.j-league.or.jp/SFMS02/?match_card_id=26074 より作成)
ポジショニングヒートマップ
この図から見てもわかるようにボール保持をしているチームによって動きが違っています。
川崎フロンターレのボール保持時
川崎フロンターレは前後半通してボールポゼッションを高める意図がありました。そのため荒木さんは先取りしてポジションを取りやすくなっていました。
前半は60%のポゼッションを誇り、より高い位置にポジションをとることが多かったことがうかがえます。
基本ポジションの哲学としてはボランチとDFの間に入ることを選択していました。そのため前後半通じて1・2と記されている、ポジション頻度が高かったエリアが共通しています。
このポジションに入ることでPA付近で判定をすることを要求されたときには息を上げずに余裕をもってポジション修正ができるというメリットを享受できます。
ガンバ大阪ボール保持時
ガンバ大阪はFWにパトリック選手という強みがある選手が前線におり、比較的早めに縦にボールを入れることが多くなっていました。その攻撃方針だとどうしても縦に直線的な動きをすることが審判としては多くなります。
特に後半は如実で3~5番目にポジションを取った頻度が高かったエリアがゴールと同じ縦ゾーンに並んでいます。ガンバ大阪の攻撃がノッキングせずにスムーズに縦に攻撃を展開できていたことが影響していると思います。
もちろん最終的にはポジションを修正を行いますが、直線的に速い攻撃が行われるときには縦に距離を詰めることが大切といえるかと思います。結果的に後追いの印象になることはありますが、後追いであっても判定はできますので、カウンターに無理に幅や先取りを意識する必要はないと考えます。
幅という概念は幻想なのか?
このヒートマップは目視ということ+中継映像から作成していることから誤差もありますが、白の部分は映像が映っているときには入ることが無かったエリアです。
よく「ペナルティーエリアの幅」から外に出たポジションをとるように指摘されることはありますが、この日の荒木さんはほとんどその幅の外のポジションを取っていません。
両チームがサイドで深い位置を取るシーン自体が少なかったことはあるかと思いますが、あまり幅を取る必要性がなかったのだと考えます。この試合で荒木さんがポジションの幅が少なかったという風には感じなかったですし、幅ということが非常に主観的な要素であると感じました。
幅をとることが目的ではなく、判定をすることが目的ですので、判定をできていれば問題ではないかと思います。必要な時に適切にポジションを取れる能力が最も大切なのだと思います。
本日もお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
明日は副審特集として渡辺康太さん・浜本祐介さんにフォーカスしていきます!
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