読書感想文(199)岡潔『一葉集』
はじめに
こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。
今回は久々に数学者・岡潔のエッセイです。
私は数学徒ではないのですが、岡潔の文章には心が惹かれます。
恐らく、利己的な意識が感じられないからだと思います。
「幸福」について考える時、どうしても「自分」の幸福について考えてしまいがちな現代において、是非多くの人に読んでほしいと思います。
比較的最近出版された森本真生編『数学する人生』が最も読みやすく、わかりやすいように思います。
感想
今回は仏教の話が多かったので、正直何を言っているのかわからない部分が多くありました。
しかし、岡潔自身も仏典の内容を理解するのに十数年かかったと書いていたので、今すぐにわかる必要もないかなと思いました。わかる時が来ればわかるのだと思います。
復習のようなものとしては、小我と真我の話が印象的でした。これは「自分」をどう定義するかという問題であり、諸法無我と呼ばれるものです。
ここは前にも何となく理解できたので、今回もすんなり読めました。
今回難しいと感じたのは、四智の話です。これは以前もわからなかったと思うのですが、平等性智、大円鏡智、妙観察智、成所作智の四つです。
これについて、巻末解説の方がまだ理解できそうだったので、少し長いですが引用しておきます。
これを踏まえて、岡潔が示した例を見ると、少しは理解できるかもしれません。
この辺りがよくわからなかったので、少しは仏教の勉強をしようと思いました。
以前一度勉強しようとした時に『よくわかる浄土真宗』という本を買って、そのまま積ん読になっていたので、まずはそれから読んでいこうと思います。
わからないなりに思ったことは、もしかするとこの四智、光明というものは、今同時進行で読んでいる『ずっとやりたかったことをやりなさい』のいう「内なる創造主」に近いものかもしれません。
この本では、弁栄上人という人について詳しく述べていたのも印象的でした。
岡潔は弁栄上人について、これほど私心がない人はいない、と言いますが、それはまさに私が岡潔に対して思っていたことでした。
この本を読んだ後だと、この本から何を学んだか、ということを具体的に書いていくことも憚られるのですが、あえて意識的に心に残したいと思ったことを書くとすれば、例えば「人を先にして自分を後にせよ」という、岡潔が祖父から与えられた唯一の戒律です。これはシンプルかつ大切なことですが、ゆえに忘れがちなことでもあります。
あとは人生の転機のようなもの、これは六回書かれていますが、四回目の二十四歳はまさに今年です。次の節目は三十歳なので、一つの目安として生きていきたいと思います。こんな占いのようなものに対して真剣に考えられるのは、岡潔に対する信頼と、自分自身に当てはめることができるからです。
あとは、これは昔から自分自身で考えていたことでもありますが、一生を長い旅路の一日と思うという視点も、改めて大事にしたいなと思いました。
これについては、新井素子『チグリスとユーフラテス』に詳しく書かれているように思います。
最後にもう一つ、民主主義について、岡潔は「民主主義の本義は、泣き悲しむ人が国民の中に一人もあってはならない、ということにあるのであって、多数決は手段に過ぎない」と言っています。
これもとても大切なことを言っていると思います。最近の世の中は、どうでしょうか。
おわりに
岡潔の言っていることを全て理解できるようになるのがいつになるかわかりませんが、この人の影響を受けたいとやっぱり思いました。
今の主流の価値観とは異なるので、「小我」としては生きづらくなるかもしれませんが、もっと世界をより広く捉えて、より良い世界のために自分ができることを考えていきたいです。
ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。
次は遂に200本目の読書感想文ですが、何を読むかは未定です。
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