読書感想文(264)恩田陸『歩道橋シネマ』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は理瀬シリーズに関わる短編「麦の海に浮かぶ檻」を目立てにこの本を手に取りました。
理瀬シリーズを出版年順に読んでいるので、『黄昏の百合の骨』を読んだ後、『薔薇のなかの蛇』より先に「麦の海に浮かぶ檻」を読みました。
感想文は一冊読み終えてから投稿する予定ですが、先に「麦の海に浮かぶ檻」の感想だけまとめておきます。

「麦の海に浮かぶ檻」の感想

理瀬シリーズらしい、最初に提示される謎と衝撃の結末でした。でも、今の自分にとって推理するのはちょっと厳しかったと思います。
それ以上に、衝撃の事実。ネタバレになるので書きませんが、この事実も踏まえて、いよいよ最新作の『薔薇のなかの蛇』を読もうと思います。

その他の感想

全部で18篇あるので、全体の感想は難しいのですが、メモを見返してみると知らないことを結構色々と知ったなぁと思いました。
例えば「線路脇の家」では占有屋というものが出てきますが、初めて知りました。
他にもチューリップはトルコの国花だとか、金星は地表近くでスーパーローテーションという風が吹き荒れているとか、イタイイタイ病はカドミウムが原因で、カドミウムは空気中に飛び散って雨も危険になることとか骨軟化症を起こすこととか、バレエで「春の祭典」という名曲、名振付があることとか。
こうやって知らなかったことに0.1でも触れておくことが、後々意外な関心に繋がっていくのだと思っています。

「トワイライト」や「柊と太陽」という神話を元にした話も面白かったです。
特に前者は途中で気づいた時の「そういうことか!」という感動。去年『古事記』を読んだ甲斐があったかもしれません。関係無いか。

吸い込まなければ吐けない。
その単純な事実を思い知らされていた。
物書きという商売は、圧倒的にアウトプットを余儀なくされる商売である以上、吐き出すためには多くのものを常に吸い込み続けなければならない。

P140

これは物書き以外にも当てはまる気がします。人間、自分の内側にあるもの以外から創作するのは難しい。勿論、大自然のような人智の及ばないものの力を借りる場合や、偶然性を意図的に利用する場合もありますが。
多くのことは自分の内側にあるものを吐き出す、或いは利用して創り出すのではないかと思います。
ここ数年、沢山本を読んでインプットしていますが、このインプットがどんな風に自分の人生を彩ってくれるのか、楽しみです。

おわりに

最後、ちょっとかっこつけてダサい感じになってしまったな、と反省しています笑。

最近、恩田陸の作品が続いています。
これで9冊目です。
次は『蜜蜂と遠雷』を読む予定ですが、ひとまずそこで一旦他の本を読もうかなと思っています。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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