読書感想文(363)夕木春夫『十戒』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は、先日読んだ作品の読み直しです。
この作品は最後まで読んだ上でもう一回読んだら面白いかなと思ったのでまた読んでみました。

尚、今回はがっつりネタバレをするつもりなので、まだ読んでいない方はご注意ください。同著者の『方舟』のネタバレも含みます。

感想

面白かったです。
初めて読んだ時になんか変だなぁと思っていた部分がよく納得できました。
というか、逆によく気づかずに最後まで読んだなぁと思うくらいです。
もうちょっと頭が良くなりたいです。

さて、まずは今回の学びをいくつか列挙していきたいと思います。
一つ目は服装についてです。似ている体格や服装の人は、一定の条件下では入れ替わりが可能であること。人の入れ替わりトリックは気にし始めるとキリがありませんが、無茶な入れ替わりではない限りはパターンが限られるので、冷静に考えれば絞り込めそうです。
二つ目は誰がどの発言をしたか、ということ。議論の誘導などをしている場合は怪しい。あとこれに近いもので、怪しい行動がある人は、何か隠し事があるということも気に留めておくべきだと思いました。
三つ目は仮説を立てて論理的に考えること。私は発想力にはそこそこ自信があるのですが、逆に色々と思いついてかえって真実が見えないということがよくあります。なので、仮説を立てたら、その場合はどのような真実が見えてくるのかを論理的に考えることが必要だと思いました。ただ、この論理的に考える部分が恐らく結構苦手です。でもこれができるようになればかなり推理力が上がるはずなので、なんとかしたいです。

今回の作品を方舟と合わせて考えると、どちらも犯人の勝利と言えます。
しかし、前者では犯人以外は救われず、後者では犯人以外も救われます。
そして前者は犯人に協力(同調)しなかったために救われず、後者は犯人に協力したために救われます。
これをどう読むべきなのか迷います。
以前、『方舟』について友人と話した際、行動を起こした者が救われる、という話が出ました。
しかし今回、主人公の里英はほぼ他人任せに徹しています。けれどもそれが犯人のお気に召したから救われる結果となります。
ここから無理に教訓を引き出すと、「長いものには巻かれろ」といったところでしょうか。でも、それでいいのかな?とも思ってしまいます。

おわりに

んー、まだまだ読み込み足りない気がしますが、とりあえず今回はここまでで。
作者の新作が楽しみです。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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