読書感想文(213)鈴木大拙『仏教の大意』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

2023年最初の1冊は鈴木大拙『仏教の大意』です。
鈴木大拙の著書は結構前に『禅と日本文化』だけ読んだことがあります。
今読み返してみると、大変感銘を受けていたようです、あまり覚えていませんでしたが(笑)

余談ですが、実は年始に金沢へ行きました。観光地を色々と調べているうちに、奇しくも読んでいる途中だったこの本の著者、即ち鈴木大拙の故郷であることがわかりました。
鈴木大拙館があるのですが、残念ながら年末年始休暇でやっていませんでした。
ついでに、西田幾多郎も金沢出身らしく、西田幾多郎記念館もあるようです。
また次の機会に、この二つを訪れたいと思っています。

感想

めちゃめちゃ難しかったです。
理解度は10%くらいでしょうか…?笑
しかし、今後仏教について学んでいくにあたって、この本の内容が理解できるようになることが一つの目標・指針となりました。
この本では華厳経がかなり重要視されていたので、華厳経について学ばなければいけないなぁと思いました。
曰く、華厳経を政治経済社会に具現化しなければならないとのことでした。
華厳経について今のところ理解しているのは、色即是空空即是色が華厳経では理事無礙となることです。こちらの方が空間性に囚われないのだとか。書きながら、理解が甚だ曖昧であることがわかります(笑)

最も印象に残っているのは、「禅は大智の面、浄土系は大悲の面を代表する」とう話と、「浄土系には社会人道主義的要素、禅はむしろ高踏的であるということが、日本における両者の現状」という話です。
私が仏教に興味を持ったきっかけである岡潔は、道元禅師(禅宗)を重んじ、法然(浄土宗)を軽んじているように思われます。
これは岡潔が数学者であったことも原因かもしれません。岡潔は、数学をやるには邪智を排し、分別智を少し、あとは大智を大いに活用するという話がありました。科学者として、大智に重心があったのかもしれません。
ただし、鈴木大拙は本書において、自分の信じる宗教と相容れないものを排斥してはならないとしています。
私は以前『よくわかる浄土真宗』を読んで、岡潔と同じように浄土教を学ぶ必要は無かろうと思っていましたが、より仏教に造詣が深いであろう鈴木大拙が浄土教の意義も述べていたので、こちらも偏見を持たずに勉強しようと思いました。

最後に、この本で最も理解できなかった一節を紹介して終わります。

華厳の法界観をこのように鏡に喩えてみると、一一の事事が自己の上にのく全を容れて、またよく他己の上に全と共に摂せられる模様が髣髴するのです。が、これはむしろ空間的幻像を与うるにすぎないとも考えられます。すなわち「一中一、一切中一、一中一切、一切中一切」ということになります。

P89

太字にした部分ですが、ここまでわからない「すなわち」は初めてです。
しかし、今書いてみると、何となくわかったような気がします。
「一」は個であり、「一切」は全ということで、この二つの並べ方を全通り、すなわち2^2=4通り列挙したということですね。
最後に少しだけ理解ができたので、アウトプットは大事だということがわかりました、めでたしめでたし。

おわりに

鈴木大拙は『日本的霊性』という本も書いているようで、こちらを読めばもう少し理解が深まるかもしれません。
是非今年中に読みたいなと思いました。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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