読書感想文(53)沖ななも『今から始める短歌入門;たくさんの例歌でわかりやすい』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は短歌の本です。
昨日短歌の本を読んで短歌を詠みたくなったので短歌の本を読みました。

感想

この本ではタイトル通りたくさんの例歌があるのが良かったです。
引用されているものはいずれも秀歌なのだとは思いますが、自分にとってピンとくるものもあれば、よくわからないものもありました。これによって自分の好みが少しわかったような気がします。
そしてやはり俵万智さんの歌はいいなと思うものが多かったです。
他の歌の良さもわかるように、もっと感性を磨きたいです。

また、歌の上達には読むことと詠むことが両輪のように大切だと書かれていました。これはその通りなのだろうなと思いました。
私は元々和歌に興味を持つところから始まりましたが、やはり『古今和歌集』などを読むと詠み方がかなり変わったように思います。
自分で詠むようになったのは、和泉式部日記をより理解するためには自分でも詠む必要があるだろうと思ったからです。
読むために詠み、詠むために読む、どちらも大切です。

まろまろと昇る月見てもどり来ぬ狂ふことなく生くるも悲劇
(『風水』)

ひそやかにあきらかに空渡りゆく鳥の羽音の地には落ちこず
(『青の風土記』伊藤一彦)

ガス弾の匂い残れる黒髪を洗い梳かして君に逢いゆく
(『無援の抒情』道浦母都子)

ビスケットの穴のようなきみの笑窪 蜜蜂になって刺したい夜だ
(『きみはねむれるか』大林明彦)

夫婦は同居すべしまぐわいなすべしといずれの莫迦が掟たりけむ
(『白微光』阿木津英)

たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか
(『森のやうに獣のやうに』河野裕子)

永年勤続表彰受くる身となりぬ「以下同文」のごとき人生
(『草食獣第5篇』吉岡生夫)

人も馬も渡らぬときの橋の景まこと純粋に橋かかり居る
(『密閉部落』斎藤史)

たいらけくひとしくという概念を大笑いせよ遠阿蘇の嶺
(『天の鴉片』阿木津英)

針と針すれちがふとき幽かなるためらひありて時計のたましいひ
(『びあんか』水原紫苑)

つながれし自由といへどはればれと睦月の空に凧が遊べる
(『射干』久々湊盈子)

「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの
(『サラダ記念日』俵万智)

花さかば花に託さん雪ふらば雪にたずねん君の消息(たより)を

他にもいいなと思う歌はたくさんありましたが、特にいいなと思ったものです。
河野裕子さんの「たとへば君」の歌は以前から知っていて好きだった歌です。

このような秀歌を引用しつつ、作者がポイントを書いているわけですが、とりわけ新しい表現を評価しているように感じました。これは長年短歌をよみ続けていると、同じような趣向の歌にたくさん出会うからなのかなと思いました。
私はまだそのレベルに達していないので、自分の感動を自分なりの言葉で表現していきたいと思いました。

おわりに

この本を読んで短歌観が劇的に変わったということはありませんが、色んな歌に触れられてよかったです。
次ももう一冊短歌の本を読もうかなと思っています。

というわけで、最後まで読んでくださってありがとうございました。

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