読書感想文(160)恩田陸『麦の海に沈む果実』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は久々に恩田陸さんの本を読みました。
以前読んだ『三月は深き紅の淵を』と関係のある作品です。
『麦の海に沈む果実』も『三月は深き紅の淵を』も、言葉は綺麗ながら少し不気味な感じがするなぁと、今書きながら思いました。

感想

面白かったのですが、感想をどう書けばいいのかわかりません。
不思議というか狂っているというか……。

確かなのは、先が気になってどんどん読み進めてしまうことです。
感覚としては、湊かなえさんの『告白』を読んだ時に近いです。
とにかく先が気になって、中断できませんでした。
あまりにも色々と起こりすぎて、あまりにも色々と急展開で……。
真相が一応わかった今でも、結局どういうことだったのか理解できていない部分が多いような気がします。

最後まで読んで、一気に人物像がブレました。それぞれの登場人物は、どんなことを考えていたのでしょう? 誰がどこまで知っていたのでしょう?

感想を書きながらふと思ったのは、現実でも意外と知人の素性って知らないよなぁということです。
この物語のように衝撃的な事実がなくとも、知っているようで知らないことが山程あるように思います。当然なのですが、当然過ぎて色々と見落としているような気もします。
ただ、今書きながら、こうやって下手に現実と結びつけたりするのも野暮かなぁと思いました。

キャラクターとしては、黎二が良いやつだなぁと思いました。ヨハンくんはかっこいいけれど、少し怖いですし、聖はもうちょっと思いやりを持って接してほしいです。
女性のキャラクターは憂理が良い子だなぁと思いますが、結局今自分の中にある憂理像が真の姿であるのか、自信がありません。今思うのは、主人公も含めて、みんな狂っているという感じです。こんな安直に表現するのが正しいのかわかりませんが、狂気を感じます。

このシリーズの続きにあたる『黒と茶の幻想』は憂理の話だと聞きましたが、この本を読んだ後だと「黒」「茶」「幻想」という言葉から不穏さを感じます。
今回主人公だった理瀬の話は『黄昏の百合の骨』だそうですが、そちらも気になります。
できれば今年中に読みたいです。

おわりに

500ページほどのボリュームある作品でしたが、結構一気に読みました。
よくわからなかったけれど、確かに面白かったです。

最近忙しいのを言い訳にして読書があまりできていませんでしたが、今月は意識的に読書の時間を増やしたいと思います。目標は10冊で、これが2冊目です。
ちなみに、前回で今年の第一目標であった50冊を達成したようです。次は第二目標である100冊を目指してがんばります。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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