読書感想文(243)一穂ミチ『光のとこにいてね』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回はまたまた本屋大賞ノミネート作品です。これで5冊目です。
一穂ミチさんの作品は初めて読みました。

感想

良かったです。
今のところ、今年の本屋大賞ノミネート作品で一番好みかもしれません。
青山美智子『月の立つ林で』と迷うところですが……。

内容については、感想がとても難しいです。
歪んだ(?)家族を扱っているのは最近よく見かける気がします。凪良ゆう『汝、星のごとく』もそうです。
でも、こういった作品が流行るのって、なんだか悲しいような気がします。

愛の物語ではありますが、私にとってはちょっと受け付け難い部分もありました。
一言で言えばストーカーっぽいところです。
歪んだ家庭で育ったからといって、これが美化されていいのか、という疑問も感じました。
小説は著者に定められたストーリーを歩みますが、これを現実に投影するといくつもの道が見えます。それらを考慮せず、小説内のストーリーが上手く行けばそれで良いのでしょうか。
これは著者への不満ではなく、自問です。
自分のわかる範囲が上手くいっているから良い、という考えに近い気がします。
自分は自分、という個人主義的な考え方が本当に最近強い気がします。それを描くには確かに、どうしても子供時代に影響を受けざるを得ない家族を悪として描き、だからやっぱり自分のことは自分でやらなきゃ、という論理を用いるのが自然かもしれません。
けれどもそれでいいんでしょうか。
自分は自分だと割り切れずに、親に引っ張られたのが『汝、星のごとく』なのでしょうか。
この点、親にはあまり会いたくなくて、実際にほとんど会っていない私は、『光のとこにいてね』の方に共感しました。
けれども、これでいいんでしょうか。
それとも、今の自分にとって図星だから、動揺しているんでしょうか。
何が図星なのかわからないですが、今私は幸せで、このまま幸せであり続けられるのか、漠然とした不安があります。
そのヒントが、もしかするとこの作品の中にあるのかもしれません。

おわりに

なんだか、最近特に上手く感想文を書けていません。元々文章は下手なのですが、そういうことではなく、自分の頭の中を上手く出せていない気がして、モヤモヤします。

最近は、最近流行りの本を多く読んでいるので、最近の考え方に共感できないのが原因かもしれません。
そういえば、最近は時代に逆らうよりも時代に乗ることの方が共感されやすい気がします。これも時代の流れでしょうか。
今一度、自分が何をどう考えているのか、内省しても良い頃かもしれません。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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