読書感想文(254)逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は昨年の本屋大賞作品を読みました。
以前からも気になっていた作品ですが、ようやく手に取ることができました。

本題とは少しズレますが、ロシアのウクライナ侵攻が始まってからまる一年が経ちました。
第二次世界大戦時とは情報のあり方が大きく異なることもあり、何を信じていいのかわからないような現代ですが、侵攻は未だ終わっていないようです。
私は世界情勢に詳しくないので専門的な意見を持っていませんが、人の命が人によって奪われてしまうことは何よりも悲しく思います。
一日でも早く、少しでも多くの平和が訪れることを心より願っています。

感想

とても良かったです。納得の大賞です。
初めはカタカナの名前や地名が少し覚えづらく感じましたが、途中からは普通に読めるようになりました。

戦争とジェンダーが大きなテーマとなっていたと思います。
その中で臨場感溢れる戦闘シーンと、人間関係や心情が深く細かく描かれていたように感じました。
各章の初めに手紙などの史料からの引用があることや、所々に実在の人物が登場することも、現実感をより濃厚にしていたように思います。
私はこの本を読んで、もう少しこの辺りの歴史の勉強をしたいと思いました。これは司馬遼太郎の作品を読んだ時の感覚に似ています。

「射撃の瞬間、自分は自由でいられる。軍隊だの、仲間だの。そういう観念は嫌なんだ。それは自分を、あの瞬間の純粋さから遠ざける。けれど一緒にいると、どうしてもそういう観念に染まってしまう。自分が変わってしまうのは、錆びるみたいで、とても嫌だ」
「仲間ができるのが錆なら、錆びるのも悪くはないと思うけれど、どうして嫌なの」
「その答えは、先ほどお前自身が述べた」

P135

この部分、かなり引っかかったのですが、どう引っかかったのか上手く言えません。
純粋さという言葉が、私にとっては重要な気がします。

君の人生はこれからだ。生きがいがある。要塞で言ってたじゃないか。復学して学位を取るって。学問には一生を捧げることができる。

P376

何かしたいけど、何をしたらいいのかわからない、と最近よく思います。
けれども確かに学問に関することは一生を超えて意味があることのように思います。
自分が新しいことを発見しなくとも、それを知ってより多くの人に伝えることは、間接的に学問の発展に寄与すると思います。
自分はそちら側の人間のように思うので、今後も沢山勉強して沢山のことを沢山の人に伝えていきたいです。

おわりに

この先、この本を読んだことが自分にどのような影響を与えてくれるのか、まだわかりません。
けれども、読んでよかったな、と今は強く感じています。
また文庫化したら購入して、再読したいです。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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