読書感想文(83)金子みすゞ『金子みすゞ童謡全集① 美しい町・上』
はじめに
こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。
今回は詩集です。
先日『金子みすゞてのひら詩集』を読んで、もっと金子みすゞの詩を読みたいなと思って買いました。
それから毎晩寝る前に少しずつ読み進めていました。
感想
やはりとても良かったです。
金子みすゞの詩は視点が様々であり、その感性には敬服します。
自分以外のもの、人間以外のものへの優しさが溢れている詩が多いように思います。また、子どものように素直な発想が多く、自分の心が洗われるような気分になります。
今回特に印象的だったのは、「おはなしのうた」という、昔話を題材にした詩がいくつかあったことです。
例えば「こぶとり爺さん」や「かぐや姫」などです。
こちらも少し変わった視点で詠まれている詩です。
その中で一つ、舌切り雀を題材にした詩を紹介します。
雀のおやど
――おはなしのうたの五――
雀のお宿に春が来て、
お屋根の草も伸びました。
舌を切られた子雀は、
ものの言えない子雀は、
たもと重ねて、うつむいて、
ほろりほろりと泣いてます。
父さん雀はかわいそで、
お花見振袖購いました。
母さん雀もかわいそで、
お花見お団子こさえます。
それでも、やっぱり子雀は、
ほろりほろりと泣いてます。
舌切り雀というと、大きなつづらと小さなつづらの印象が強いです。そしてそれらは人間視点で描かれています。
一方、この詩では雀の視点で描かれています。舌切り雀のその後の生活など、これまで考えたこともありませんでした。しかし確かに舌を切られてものも言えない子雀はかわいそうです。ほろりほろりと泣いているのも、声で伝えられない哀しさがあります。
このような視点を以て、他の立場を思いやる優しさに溢れているのが金子みすゞの詩の魅力ではないかと思います。
おわりに
このシリーズは全6巻でありまだ5冊あるので、毎日ゆっくりと読み進めていこうと思ってます。
金子みすゞの詩は本当に心が洗われるような気持ちになれますし、一つ一つの作品は一分もかからずに手軽に読むことができるのでオススメです。
というわけで、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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