読書感想文(109)『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン著、青木薫訳)

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回はタイトルそのものが世界的に有名、そして本も恐らく有名です。
先日『数学する人生』(岡潔著、森本真生編)を読み、数学にもっと触れたいと思ってこの本を読むことにしました。
尤も、『数学する人生』はいわゆる文系よりの内容でしたが……。

ちなみにこの本は今年丁度150冊目に当たります。
「本を150冊読む」という今年の目標を達成できて嬉しいです。

感想

ものすごく面白かったです。
数学の難しいことは細かく説明されていないながら、どのような流れで解決に至ったかの道筋がわかりやすかったです。

驚いたのが、フェルマーの最終定理の解決に日本人が思っていた以上に貢献していたことです。
「谷山志村予想」という名前と、それがフェルマーの最終定理に関わっているということは知っていました。しかしここまで根本的に関わっているとは思っていませんでした。

そして数学の統一という話も面白かったです。谷村志村予想がその橋を一つ架けたということです。私は高校までしか数学を学んでいないので数学の分野は詳しくわかりません。これから学んでいきたいです。
ちなみにこの本が出た頃に谷村志村予想の証明が審査中であり、今は既に証明されたそうです。
詳しくはわかりませんが、モジュラー形式というものに少し興味を持ちました。

この本を読むと数学の神秘も感じられます。数学の神秘というと小川洋子『博士の愛した数式』を思い出します。
完全数についての話などは改めてすごいなと思いました。
今回、さらに感じた数学の神秘は、証明の純粋さです。科学的に証明されたものは時代と共に変わっていくが、数学的に証明されたものは永遠に真であるということ。
この完全性を求めて厳密を極めるわけですが、この本を読みながら何度「かっこいい!」と叫んだかわかりません。
特にアンドリュー・ワイルズがフェルマーの最終定理を解決していく様子、特にひらめきを得て一歩ずつ前進する度に、わからないなりに「かっこいい!」と思いました。

女性数学者の話も印象に残りました。
女性が数学をするべきではないと考えられていた時代、ソフィー・ジェルマンの父親は勉強の意欲を失わせようとロウソクと洋服を取り上げ、部屋に暖房も入れさせなかったそうです。しかしジェルマンは対抗してロウソクを隠しもち、毛布にくるまって勉強を続けたそうです。
女性に限りませんが、この執念を素晴らしいですし、憧れます。
アンドリュー・ワイルズもフェルマーの最終定理を証明するために8年以上かけています。しかもそれは、多くの人ができなかった、そして多くの人ができないだろうと考えていた問題なのです。
この執念に憧れる一方、私は自分にはそこまでできないなと思ってしまいます。
この憧れと諦めは昔からよく考えます。
諦めつつも、少しでも憧れに近づきたいと思ってしまいます。

色んな数学者を知れたのは良かったです。まだ誰が何をしたのかはっきりとわかりませんが、ひとまず「名前を聞いたことがある」という状態になったのは大きな一歩です。
特にエヴァリスト・ガロアはQuizKnockの動画で若くして亡くなった天才として紹介されていたので、簡単にでも知ることができて良かったです。

印象に残ったのは次のセリフです。
ケン・リベットが自分のアイデアが上手くいかず、バリー・メーザーに相談した時のメーザーのセリフです。

「おい、わからないのかい。もう解けてるじゃないか。(M)構造のガンマ・ゼロを加えてやって、きみの理論にあてはめればいいんだよ。それですべて解決するじゃないか」

P312

「(M)構造のガンマ・ゼロを加える」のをカプチーノを飲みながらできるのは世界でも一握りの数学者だけ、と地の文で補足されます。
私はもちろんさっぱりわかりませんが、なんとなくネタで使えそうな気がしました。

今思い出したのも書き残しておきます。

(a+b^n)/n=x
ゆえに神は存在する。

ページ不明

これはオイラーの主張です。
この数式はでたらめなのですが、数学がわからない無神論者をやっつけるために言ったそうです。
これも何かに使えそうだなぁと思いました。

おわりに

ということで、今年最後は『フェルマーの最終定理』でした。
今年読んだ本はぴったり150冊となりました。
来年は恐らく今年より冊数は減ると思いますが、できれば100冊くらいは読みたいなぁと思いました。

最後まで読んでくださってありがとうございました。
皆さんよいお年をお迎えください。


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