読書感想文(80)東野圭吾『マスカレード・ホテル』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は久しぶりの東野圭吾です。
どのくらい久しぶりかというと、小学生の時に『容疑者Xの献身』を読んで以来です。なので十年以上ぶりです。

読もうと思ったきっかけは、現在第3作目『マスカレード・ナイト』が映画化されていることです。
せっかくの機会なので、原作を読んだ上で映画を観ようかなと思っています。

感想

まず意外だったのが、殺人事件の推理だけではなかったことです。
その状況を用いて、様々なお話を書いているのが面白いなと思いました。
東野圭吾はガリレオシリーズのイメージが強いため、推理小説のイメージがあるのですが、それ以外の作品もたくさん書いているらしく、それに納得できる豊かなストーリーでした。
また、伏線回収も上手いなと思いました。途中からヒューマンドラマ的な面に注目しすぎてしまっていましたが、最後にきちんと話が繋がったのも面白かったです。

推理小説としても面白かったのですが、ホテルマンの描写(?)がとても良かったです。

それまで高級ホテルを利用したことなど一度もなかった。どうせなら楽しい思い出を作ろうと、このホテルに決めたのだ。初めて訪れた時、きらびやかな雰囲気に圧倒された。ここは一流の人間が集まる場所で、自分のような子供の来るところではないと直感的に思い知らされた。
何よりも彼女の心を掴んだのは、このホテルで働く従業員たちの颯爽とした姿だった。何があっても決してうろたえず、てきぱきと問題を処理していく様子は、プロフェッショナルとはどういうものかを尚美に示してくれているようだった。特に印象に残っているのは、外国人客の応対をしていたフロントクラークだ。何かトラブルがあったようだが、彼は決して狼狽を見せず、流暢な英語で粘り強く説明を続けていた。不機嫌だった外国人客は、いつしか笑みを浮かべるようになり、最後には感謝の言葉を口にして立ち去った。しかしそのフロントクラークは特に安堵の表情を浮かべることもなく、淡々と次の客を応対を始めていた。自信に裏打ちされた平静さだと感じた。

そしてこの後、さらに体験談が続きますが、特にその場面で「かっこいいな〜」と思いました。
自分も小中学生くらいの頃にこの本を読んで影響を受けていれば、もう少しかっこいい振る舞いをできるようになったのかなぁなんて思いました。
もしかしたらホテルマンを目指していたかも……と思いましたが、『図書館戦争』を読んだのに司書資格を取らなかったので、それはなかったかもしれません(向いてなさそうですし)。
仕事系でいえば、大学生の頃に『空飛ぶ広報室』を読んで、何かの魅力を伝えるという広報の仕事ってとても良いなと思いました。魅力を伝えるというのは仕事に関係無くできるようになったらいいなと思うので、そのうち何か勉強してみようかなと思います。

さて、ホテルの話に戻ります。
この体験談の他にも、お客様に対する姿勢が一貫していてかっこいいなと思いました。信念がある人やプロフェッショナルというのはかっこいいものですが、ホテルマンのかっこよさはそれらを含めて凛としたかっこよさがあるように思います。
この本から少しでも影響を受けて、かっこよくなれたらいいなぁと思いますが、どうでしょうか笑。

おわりに

東野圭吾は日本で最も読者が多い作家の一人だと思いますが、流石だなと思われる面白さでした。
数百の作品があるようなので流石に全部は読めない気がしますが、他にも色々と読んでみたいなと思いました。
特にガリレオシリーズは、来年また映画化するようなので、それまでに読みたいなと思います。
映画は『マスカレード・ナイト』まで読んでから観るつもりです(出版・公開年の順のため)。こちらも楽しみです。

というわけで、最後まで読んでくださってありがとうございました。

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