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「全然いい」は間違ってるけど全然良くない?と思う話 ~偏屈サブカルバンドマンの後悔日誌②~

おはようございます。寒気はないけど謎に体温が高い状態が続いていて怖いです。あらいです。

今日は、日常の中で聞く「全然いい」という言葉について思ったことを書こうかと思います。

自分のちょっとした行動に感謝してもらったとき、「全然いいですよ~」とか、相手からのちょっと自信なさそうな提案に「全然いいアイデアだと思うよ!」とか、もはや普通に使ってしまうことも多いこの言葉、ちょっとくせ者なんです。

「全然」の用法

【全然】

(打消しの言葉や否定的な表現を用いて)まったく。まるで。少しも。まるっきり。
「全然~ない」の形で全否定を表す

引用元

こう改めて説明を見てみると、そうも否定しなくていいんじゃないか、ってぐらいの否定形なことがわかりますね。「まるっきり」とか使う現代人そういない気がします。ここで注目したいのが、特に最後の一文。全然、という言葉に続くのは本来「~ない」等の否定形の言葉なんです。まあ、言われたら当たり前なんですけど。

改めて「全然いい」を分析してみる

こうして「全然」について改めて意味や用法を確認すると、「全然いい」という言葉は、全然に続く言葉が否定形ではないため、間違いだと言えるでしょう。「頭痛が痛い」や「違和感を感じる」や「自粛を要請する」等々に飛んでくる、日本語の間違い指摘おじさんが飛んできそうな表現です。

とお嘆きのご年配の方の間でもしばしば取り上げられるこの「全然いい」ですが、僕はこれ、日本語の乱れどころか「NEO日本語」的なめちゃめちゃ日本語的な表現だと思います。

NEO日本語としての「全然いい」

日本語独自の文化として取り上げられることの多いのが「敬語」という存在、ひいては「へりくだる」という概念です。この「へりくだる」ってそもそもどういうことなんだっけ?というのも改めて確認してみましょう。

[謙る(へりくだる)]相手を敬って自分を低くする。謙遜(けんそん)する。 

引用元

つまり、「相手」をあげるのが尊敬に対して、自分を「下げて」相対的に相手をあげるのが「謙る」ってヤツです。

『全然いい』を使うシチュエーションとして最初に紹介したような、自分のしてあげたちょっとしたことが感謝された時の「お気遣いなく」という気持ちは、まさにこの「へりくだる」という精神と合致するところがあります。

これらを踏まえて「全然いい」という言葉、かみ砕いて行きましょう。

まず、最初に確認した「全然」の意味を当てはめて考えると

「全然いい」=「まるっきりいい」

になります。「オールOK!!」って感じのこうペンちゃんもびっくりな肯定感ですね。そして、「お気遣いなく」という伝えたいニュアンスに合うように意訳すると、

全然(自分のした行為や存在はあなたの素晴らしさにまるっきり関係ないし、あなたに何か感謝されるほどたいしたことないと思っているので気にしなくて)いいですよ~」

という感じになるのではないでしょうか。

こうして見ると、「全然」という言葉に「関係ない」と「たいしたことない」がかかっており、省略部分(僕が勝手に決めたんですけど)にはしっかり否定形が入っており、ニュアンスとしては乱れていないように思います。それどころか、「お気遣いなく」という日本古来のおもてなしの精神のさらなる強調形、とすら捉えられるのではないでしょうか。だってへりくだりすぎてもはや自分なくなっちゃってますし、その敬意的なものに気づいてもらうことすら放棄して省略しまくってますから。

だから僕は、「全然いい」は確かに用法として間違っているのかもしれませんが、日本的なおもてなしとへりくだりの文化を受け継いだ、大変日本的な言葉だと思います。だからさ、言葉は変化するって言うし、「全然いい」って使っても全然良くない?(こういういけ好かない若者っぽい口調で言うと日本語の乱れっぽく聞こえてしまいますね笑)

ここまで取るに足らない私の拙文をお読みくださって大変恐縮ではございますが、それよりも、1000再生を突破いたしました新しいMVをご覧いただいた方が「全然有意義」かと思いますので、再生していただければ幸いです。

ではまた。


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