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たった一曲の歌詞で「サブカル」とは何か俺が説明する~偏屈サブカルバンドマンの後悔日誌③~

今日は「おまえのよく言ってる『サブカル』ってなんなん?」

サブカルチャーってよく目にするけど正直意味とかよくわかんない」

という皆さんのために

「サブカルとは何か」をとある曲の歌詞を読み解くことで説明していこうと思います。

まず、サブカルチャーの具体例を紹介しよう

まず、一般的な定義とサブカルチャー系文化(この言葉若干『頭痛が痛い』感ありますけど引用元にあったのでそのまま使いますね)について確認しておきましょう。

サブカルチャーとは

主流の文化に対する、少数派に支持されている娯楽・趣味文化のこと。主に少数派(マイノリティ)によって形成されると言われているが、実際は多くの現代の若者たちがサブカルチャーを支持しているようである。

具体例としてあげられているのは

・漫画、アニメ、PCゲーム、特撮作品、フィギュアといったオタク文化
・(単館上映系の)映画
・現代アート
・ファッション
・(インディーズ系)音楽  など

でした。実生活の会話の中で「サブカル」が指すのは「オタク文化」と「インディーズ音楽」なことが多いような気がします。

さて、以上を踏まえてここからは僕の主張です。

その曲とは…


僕がサブカル、サブカルチャーを説明するのに使う一曲は、

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何じゃその曲、何じゃそのタイトルという方、まずはMVを見てきてください。四の五の言わずにはい、見てください。見ましたか?よろしい。

はじめて見た方の感想を僕が代弁すると、


「なんじゃこりゃ」

だと思います。

LADYBABYというグループは、(この「ニッポン饅頭」リリース当時は、)金子理江さん、黒宮れいさん、というミスiD2015の二人を、

インパクト満載のビジュアルで一度見たものの記憶から消え去ることはない、レディービアードさん(現在は脱退)が従えるという最高のアイドルです。

突っ込みどころ満載のMVと曲調、シャウトのせいで歌詞が入ってこなかったという方も多いかと思いますので、改めてここからは歌詞を読み解いていきましょう。

何でもあるカオスな場所、ニッポン

まずは1番Aメロから

百花繚乱 カワイイモノ
コスメ コスプレ 爆買いオッケー
ドンキ ビレバン ビックロ コンビニ
どこも安心安全なんです

ここで注目していきたいのは、後半の二行。


まず、3行目で列記されているのが、「何でも売ってるカオスな場所」的なお店です。

海外から見たときに、共通点を見いだすなら、「どれもきっと日本のお店だし安心安全」ぐらいのふわっとしたところしかない、4行目で書かれます。

2行目に、「爆買いオッケー」ってあるのからも、なんとなく外国人観光客の視点みたいなものを感じますね。

そして、また3行めに戻って注目しておきたいのが、それぞれのお店がサブカルチャー情報を手に入れる場になっているということ。

ドンキはヤンキー(リリックじゃないよ)

ビレバンはサブカル男子、サブカル女子といわれる皆さん、

ビックロはアキバイメージの「オタク」、

コンビニは広く社会人特にビジネスマン

とそれぞれが最先端のサブカルチャーに触れる場と捉えることもできると思います。

「井の中の蛙、空の青さを知る」

次に、1番Bメロ

ニッポン全国 かわいガール
はははハロー
アイスクリーム スクリーム
新発売なのに売り切れだい
パンがないならケーキで
そうだ お団子がないならお饅頭

ここでまず述べたいのが、

BABYLADYの歌詞にはぐっとくるポイントに必ず

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ということです。

この部分だとまず1-3行目の流れ。

1,2行目はハロプロっぽいいかにもカワイイアイドルソングの歌詞、って

フレーズが続いていたのに、3行目で、「アイスクリーム スクリーム」。

突然

何その組み合わせ!?

ってすっとは飲み込めない「ジャンプ」の一行が飛び込んで来ます。

でも「アイスクリーム スクリーム」ってまんまLADYBABYのことだと思うんです。

というのも、パステルな色合いの似合うサイドのミスiD二人が、「アイスクリーム」なら、文字通り「スクリーム」を放つのがレディビアードな訳ですよね。

そして後半の3行。この塊で見ると、また最後の一行が「ジャンプ」してるように見えます。

パンがなければケーキを(お菓子を)食べればいいじゃない」は有名な台詞ですが、要するに庶民の暮らしを全く知らなかったマリーアントワネットのような、「井の中の蛙」的状況描写だと読み解くと、日本のサブカルチャーの文化と少し重なり合うところがあります。

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日本のサブカルチャーは、海外からきた音楽や映画、マンガ、小説などが元祖の作品が多いです。

その元祖を、日本文化の中にある「ありもの」と掛け合わせて作られてきた文化です。

常に身近な事象や事件から発展させてきた日本のサブカルの持つ性質と、「井の中の蛙」的な精神は似たものがあります。だからこそ、「パンがなければケーキ」という”本家”を日本にあるモノで解釈するなら、

「お団子がないならお饅頭」になるんじゃないでしょうか。なかなかのパンチラインですよね。

そして、サビ前のこの3行。

I know you know 効能
泉質
戦意喪失 平和

さっきまで温泉の話してたと思ってたら突然の

「戦意喪失 平和」

ですよ。ここもLADYBABY真骨頂。

日本アニメの「ふわふわした日常モノだと思ってたらとんでもない重いテーマが語られる作品だった」みたいなあるある展開にも通ずるモノがあります。

本来の器の持つキャパシティを越えた語りがなされるのもまた、日本のサブカルの本質だと僕は思います。

にしても、「戦意喪失」って前は戦う気あった訳だから、ちょっと物騒ですよね笑。

「これがサブカルチャー」的サビ

そして、いよいよサブカルチャーの本質に触れるサビ。これがすべて。

エンジョイ さぁ エンジョイ
ニッポン製の文化を楽しんでね
味わってね
地下からてっぺんまで愛してね
なんちゃってなんて
頑張ってるうちに
先輩も本物も本家も元祖も超えちゃってくの

もうですね、ここのためにこの記事を書いたと言っても過言ではありません。この歌詞が好きすぎる。

はい、まずは「地下からてっぺんまで愛してね」

ここは、「アンダーグラウンドから表層の超メジャーな部分まで、全部が平等にサブカルチャーだからね、愛してあげてね」ってことだと思ってます。

まずは日本のサブカルチャーをすべて包み込む、すべて肯定するところから始まるサビ。

そして、なぜすべてを愛せるのか?を語る後半。


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日本のサブカルチャー作品の元祖は、確かにアメリカをはじめとする諸外国のクラシック的作品や、ジャンルです。

それらを日本人は前述したような「井の中の蛙」精神で「なんちゃって」=焼き増し、オマージュ、パロディを繰り返しているうちに、大成し、独自のジャンルになり、その元となったクラシックやジャンルが生まれた地へと、逆輸入までされている。

これって、
「先輩も本物も本家も元祖も」越えて、

「おまんじゅう」として持ち帰られているってことじゃないのか!?

それを語るのが、ラストのサビ。

元気がないんだ そんなときもスマイルで
かせぐんだ ためるんだ
人気と外貨と底力
ニッポンのよさ 詰め込んだ饅頭を
おみやげにつれてってね
空越え 海越え 世界中

ここまで読んでくださった皆さんに説明しすぎるのも野暮かと思いますが、まずははじめの3行で、

「昨今の希望がないとか言われちゃってるニッポンを、私たちアイドルがサブカルチャーで救うよってめっちゃかっこいい感動的な歌だよ」

というメッセージをアイドルに「外貨」とか歌わせちゃう、最高の「ジャンプ」の一行も交えながら描くわけです。

たくさんの作り手の真心と、日本のよさが詰め込まれた饅頭=日本のサブカルチャー作品、が「空越え 海越え 世界中」に渡っていく、最高のラストシーン。これはもう映画ですよ。素晴らしすぎる。

サブカルは饅頭だ

と、言うことで長くなったし少々熱くなりすぎましたが、日本のサブカルチャーとはなんぞやをすべて説明できる名曲、「ニッポン饅頭」、いかがだったでしょうか。

ここで最後に改めて定義させていただきたい。

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ありがとうございます。やっとこれが言えました。

ご一読いただいてからまた聞き直すと号泣必至だと思いますので是非。

ではまた。

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