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758スクラップブック コラム集

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新聞記者が歩いて、見て、感じたことをコラム調に配信します。「ふと思い出しました」のフレーズで、昔の取材経験を織り込みながら、地域経済や文化の「今」をスケッチする「歩きメディア」で…
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荒川修作さん直筆のファクス~墓碑銘が載る時期に思い出すこと

荒川修作さん直筆のファクス~墓碑銘が載る時期に思い出すこと

 新聞各紙に今年亡くなった方々の名前や業績が載るみそか(三十日)になりました。この時期になると、2010年5月に73歳で亡くなった現代美術作家の荒川修作さん(1936~2010)のことを思い出します。その年の暮れのある新聞紙面に「世界のアラカワ」の名前がなかったからです。
 荒川さんは名古屋市出身で、1961年に渡米。記号や文字を配列した観念的な作品で知られています。その後、パートナーの詩人マドリ

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甲子園深紅編○○○●~明暗

甲子園深紅編○○○●~明暗

 高校野球に限らず、アマチュアスポーツの取材では、敗者への気配りを忘れてはならないと自らに言い聞かせてきました。
 1985年の第67回全国高等学校野球選手権大会には、明暗を分けるドラマがいっぱいありました。愛知・東邦高校は8月8日の初日、徳島代表の徳島商と対戦し早々に敗退。その後は各県のチームを取材し、8月21日の決勝戦までアルプススタンドを走り回りました。
 決勝戦では山口・宇部商を担当。優勝

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甲子園白色編〇●●●~平和の白球

甲子園白色編〇●●●~平和の白球

 「45年前のきょう、全国の高校球児を悲嘆にくれさせる決定が流れた」
 1986年7月に書いた記事を思い出しました。8月10日に「第103回全国高等学校野球選手権大会」が開幕し、熱戦が始まったときです。
 記事は「白球にかける青春の貴さ」と題したコラムでした。1941年7月12日、文部省が次官通牒(つうちょう)で「全国的運動競技大会中止命令」を出したことで、全国中等野球大会も中止されたのです。
 

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