『ランウェイで笑って』(15)

今日(3/17)発売です。

マンガを書店で買うのはたぶん数年ぶりで全然見つけられず、店員さんに聞いて待ってる間に見つけてちょっと恥ずかしかった。

ここ最近はまっているマンガ。

身長が低いモデル志望の子がパリコレを目指し、経済的に苦しい子がデザイナーを目指す物語。もうこの時点でかなりストーリーの予測が立つマンガなのだけど、題材がファッションということでどうしても節々で琴線に触れてしまう。

芸華大のファッションショーまでは二人の主人公がテンポよく入れ替わっていたけど、しばらくは育人(デザイナー)のターンだったかなと思う。それが前巻の14巻くらいから千雪(モデル)のターンに切り替わるかなと思いながら、この新刊で千雪ターンがきたといったところ。

正直モデル業界というのはあまり詳しくないのだけど、マヌカンと呼ばれるモデルたちは服のひき立てるために個性を殺し、動くマネキンになる。だからなのかはわからないけど、一般的にコレクションに出るようなモデルで、いわゆる男性目線の、性的な魅力のあるモデルは起用されない。

それもきっと時代の流れで変わってくると思うけど、女性の価値が性的に魅力のあることが最大要素になるような時代だとしたら、デザインされる服も、登場するモデルもそれに合わせたグラマラスな世界になっていたと思う。もちろん逆もしかりで、男性が女性に対し性的にアピールすることが是とすると世の中であれば、大いにあり得る話だと思う。

ただ単に今の時代が異性に対し媚びない、自立した人間像を是とするから、おのずとそうなってくるわけで。そこから作中にも出てくるユニセックスやジェンダーフリーに進んでいくわけで。

それでも業界としてはいき過ぎたモデル信仰が仇となって、過剰にダイエットをする人が増え、ファッション業界としても痩せすぎたモデルを起用しない流れなんかもできてきた。

ただファッションの中でも上流、モードに属する世界での傾向であって、流通レベルまで咀嚼された後は、コンサバ系だなんだと異性ウケに焦点をあてたマーケティングは今も変わらず存在する。半面アンハサウェイやスカーレットヨハンソンなど、昔から過剰なダイエットはしないと公言している女優も少なからずいる。

このマンガの初版が2017年、痩せすぎたモデルに対して警鐘が鳴らされたのも確か同時期。「ぽっちゃり」というカテゴリが定着したのはもうちょっと前。どうしても男性目線になってしまうのだけど、男性からみた女性の理想的なプロポーション、女性から見た理想のプロポーションは一致しない。背が高い女性に対しても、モデルみたいと褒めながら、男の自分より背の高い女性は恋愛対象として弾く。背の低い女性に対してかわいい、守りたいともてはやしながら、一段下にみて対等な一人の人間としてはみなさない。個性だと叫ぶわりにけっこうゆがんだ世の中だなと思うことが多い。

そんななかで、背の低い(物語上モデル志望の主人公の身長は158センチ)子がパリコレを目指す。逆境を乗り越えていくスタイルはマンガとしてむしろ王道。でもことファッション業界においてはアンチテーゼとは言わないまでも、それなりに攻めたテーマだとは思う。

自分を貫いて目的を果たす。逆境を強みに変える。変に冒険ものや格闘ものじゃないだけにまだ自分に置き換えやすい。ちょっと週刊誌にある血統感はあるけど。かつ商品が自分で在ったりクリエイター業なので、ユーチューバーが将来の夢だったりする世の中だから読んで損はない気がする。自分を貫くことがどれだけしんどいことか。

ってマンガのレビューってむずい。難しく書いたけど、千雪はかわいいし、心がもどってきて育人はどうするのよとか、遠がなんか気持ち悪い方向に進んでるし、なによりテルミがキーマンすぎてやばいとか、純粋に読んでて面白いのでぜひぜひ。


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