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【FISH or BEEF?】

僕は今ネパールにいます。
ここで学びたいことがあり、大学を休学までしたのですが、
想像を絶する都市で一刻も早く日本に帰りたいです。

以下は31日に僕が旅立つ際の飛行機で書いた日記です!

今思えば、この飛行機の中の景色・ビールこそ、この旅のピークでした。

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7/31
9:49
関西空港で飛行機に乗った。
出発まであと5分。もう日本に帰りたい。
家のベッドでテレビを見ながら寝れることが幸せだった。
飛行機は窓側のいい席。

待合場所からだったが、インド料理屋の匂いがずっとしている。
通る人通る人その匂いがする。全員働いているのか…?
それとも国中がこの匂いなのか?

マレーシア航空で配られたタオルケットは綺麗な紫で、マレーシアを感じられた。
よし、カタコトの日本語になって帰ってくるか。

10:33
ご飯を運びます。とアナウンスが聞こえる。
あまりプラン内容を見ずに予約したから僕に運ばれるのかわからない。
点々と前から順にご飯が運ばれる。
私はこう言う時「自分にも来るかな?」よりも先に、
「自分にだけきて隣の人には来なかったらどうしよう…」と考えてしまう。
そこが短所でも長所でもあるのだろう。

11:16
そういえば私は外国に行くのが初めてだ。
他の国を見るのが楽しみで仕方ない。
飛行機の上から見るだけでも泣いてしまうかもしれない。
本当の未知。本当にワクワクする。

11:30
結局全員に運ばれてきた。
憧れのフィッシュオアビーフ。
隣の外国人にはそう聞いたのに、僕には「サバか鶏肉かどっちがいいですか?」
僕は舐められた気持ちになった。
憧れはまだ早かったようだ。

ご飯はパサパサで鳥の味付けはイマイチ、付け合わせのインゲンとコーンはあまり好きではない。
しかし全てを混ぜて食べると美味い。
外国のご飯は混ぜると美味くなるように調合されているらしい。

それとは別にパンとサラダ、それにツナとエビがついていた。
ひらめいた。
これはサンドイッチにするしかない。
私は衝動のようにパンを開き中にその全てを詰めた。
隣の外国人が羨ましそうに見ている。
この手はなかっただろう。見せつけるように私はそれを頬張った。

13:05
どうしてもトイレに行きたい。
でも通路側にはアジア系のお兄さんが座っている。
なんと話しかければいいのだ…
英語が全くできない僕は翻訳サイトで「トイレに行きたいです」と翻訳をした。
I want to go to the toilet.
こんなの流暢に読めるのか…?
頭の中で10回復唱したがまだ勇気が出ない。
結局30分ほどしてやっと言えた。

トイレから帰りネパール語の数字の書き方を覚えていた。
「ネパールではあまりそれ使われてないですよ」
すると隣のお兄さんが話しかけてきた。
くそぉ、、日本語を喋れるのか、、
どうやらお兄さんはネパール生まれ、語学留学のため日本に来ていたらしい。

話していくとお兄さんが僕を激励し出した。
日本人で英語話せる人は少ないから、あなたはすごい。といわれた。

どうやら僕の渾身の「I want to go to the toilet.」
で僕が英語を話せる人だと思ったらしい。

「少ししか話せませんよ!」
慌てて僕は否定した。
でもそれが謙遜しているように見られ、その後も称賛された。

英語が話せると言うのはなんと素晴らしいことなんだ…
家に帰ったらターゲットを開くことを心に決めた。

19:30
マレーシアで乗り継ぎを済ませ、飛行機が出発した。
ここからネパールの首都カトマンズへ向かう。
暫くすると晩ごはんがやってきた。

Fish or beaf?

聞かれた。ついに聞かれた。
僕は自慢げにフィッシュと答えた。

ご飯が包まれている銀紙を開けると中にはカレーが入っていた。
絶対にこれはうまい。
まずかったら死ぬ。に賭けれるくらいうまそうなカレーだ。
強いて言うなら、フィッシュじゃなくチキンにしたかった。
Fish or beaf?の前にKarri desu gaと一言添えてほしかった。

お昼に学んだテクニックでカレーと添えられてある野菜とご飯を全てぐちゃぐちゃに混ぜた。
そして、少し興奮気味の私はすぐさま口に運んだ。
うますぎる…人生で食べたカレーで一番うまい。
あまり量はなくすぐに食べ終えたが、とんでもない満足感に覆われていた。

暫くするとまたキャビアが来た。
「red or white?」
どうやらワインの色を聞いているみたいだ。
騙されないぞ。

「ビールワン」

僕はビールがあることを知っている。
自慢げにそう言うと、缶を開けたばかりのビールを僕の手に運んでくれた。

19:30
日が低く、海と空が赤く同じ色に溶けていく。
果てしなく続き水平線すら見えない。

コップに並々と注がれたビールを片手に、心の中で乾杯と叫ぶ。
ぐわぁ!味がしない!うますぎる。
人生で飲んだビールで一番うまい。
全血管に染み渡る。息ができなくなる。

本当に休学してよかったと心から思った。
にやけた口角が下がらないまま、窓の外を眺め続けた。


着陸のアナウンスが眠っていた僕の目を覚ました。
もうすぐ着くらしい。

窓の外は真っ暗だが、点々と灯りが見える。
家だろうか。

飛行機が低くなっていくにつれ、光の数は増していく
気づけば、ぶぁああぁっと窓一面を覆い尽くした。

山の凹凸の上に沿って家が立っている為、光が波のように渦巻いている。

道路の車はタイルのように犇めき合い、空から見る天の川だ。
絶対に日本ではあり得ない景色、
今まで見たどんな夜景よりも、どんな星空よりも綺麗だった

次回:東條新 死す

お楽しみに!

楽しそうなノート
俺の最強のサンドウィッチ
隣の友達
とにかくうまいカレー
でけえ海とビール

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