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封鎖された遊園地にて

8/23

朝起きて、
体調の悪い体にレッドブルを流し込むと、脳に膜が張った感覚に陥った。
頭が回らない。

でも、今日は遊園地に行く。

行く途中に雨が降ったので、チャイを飲んだり、スーツをオーダーしてみようかなんて考えながら遊園地に向かった。
着くと門が閉まっている。
Googlemapでは「営業中」ってかいてたのに…

悔しくって、門の前でタムロしている若者達に声をかけた。



「今日は遊園地空いてないの?」

私が聞くと、
ヘルメットを被った少年に、強い口調でこう返された。


「今日はストライキなんだぜ?」


そうだ、、、忘れていた。


そういえば一週間ほど前に在ネパール日本国大使館からこんなメールが届いていた。


【8月23日、ネパール全土において、ゼネラルストライキ(バンダ)を行う」との発表を行いました。
過去には、ネパール全土で爆発や放火など過激行為が多数見られ、邦人に被害が及ぶ事案も発生しております。
攻撃される可能性のある施設等には極力近づかないよう注意してください。】


スマホで日にちを確認する。



”””””””今日だ”””””””””



怖すぎるから絶対出歩かないでおこうと思っていたのに、


死んだ、、、、



私はストライキの日に、
首都の
一番の中心部に立っていたのだ。


怖くなって急いで閉まっている遊園地から去ろうとしたその時

「中で今からバトルがあるんだけど、ついてこいよ」

さっき話しかけた男たちが
僕の手を掴んでそう言ってきた。

「ストライキ」の日に「誰もいない遊園地」で「バトル」



なんだこのワクワク展開は、、、、



バトルがなんのことかわからなかったので、
右翼と左翼が火炎瓶の投げ合いでもするのかな?と思った。

それも閉まっている遊園地に入れるチャンスなんてこの先ないだろうな。

いつものように
リスクと経験を天秤にかけ、リスクが負けたので「Yes」と返事をしてついていくことにした。


男たちは無理矢理、門を開き中に入った。
全員が意気揚々と闘志に燃えていて、肩を組みながら歩いている。
(僕も真ん中で肩を組んでいる。)

見たことないけどアベンジャーズになった気分だ。

その上、
ネパールの遊園地はボッロボロでそこら中に偽物のマネキンが倒れ、遊具も今に壊れそう。廃墟と言われても遜色がない。怖い。


200mくらい歩いただろうか、人のいない屋台の並んだ道に差し掛かった

「監禁されるんじゃないか?」

だんだん恐怖が込み上げてくる。

僕は日本と取引されるんだ、、

そういえば三日前にも、
ネパールに住む中国人がネパール人6人に侵入され、拳銃を突きつけ誘拐され、親族に身代金を要求した。という事件が発生していたことを思い出す。

やばい、、ここはそいつらの溜まり場だったんだ、、、

用事を思い出したフリして逃げようかな、、

しかし

僕の腕は肩を組んでいるせいでガッチリ固定されている。

すると

「ここだぜ」

男が、廃れた大きな建物を指さした。

ドアの前には30人くらい男たちが溜まっている。
全員、ガタイが良い、、

心臓がバクバクしてくる。

僕は覚悟を決め中に入った。

タタタタタタッタッタッッッ

パーーーん

シュ


タタタタタタッタッタッッッ


一面緑だ。


あれ?

なんと、
中にはサッカー場があり、そこで試合が行われていたのだ。。。。

よく見ると、僕をここまで連れてきたやつらはスパイクを履いているし、太ももはムキムキ。
終いには一緒に歩いてきた男たちは11人だった。

そう。若者たちは「ストライキという休日」を利用して昼間からサッカーの試合をしていたのだ。

ドキドキして損した。

なぜか安堵よりも怒りが増さった僕は、試合すら見ず引き返した。



豆知識:
ネパールにはサッカーの授業などがないため
パス回しもほぼなし、ボールを持った奴が進み続けるらしいぞ!




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