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捨てる能力とフォーカスする能力

としまえんの段階的閉園とハリーポッター施設建設のニュースがありました。

またほぼ同時期に西武ゆうえんちの大幅リニューアルも発表しています。

西武グループはアミューズメント施設に関して大きな舵を切ったと言えるかもしれません。

「西武園ゆうえんち」には、約100億円を投じて2021年までにリニューアルオープンさせ、1960年代の日本の町並みを再現した昭和レトロな遊園地になるそうです。

その主導的立ち位置にいる方が、『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』をV字回復させたことで知られる森岡毅氏です。


USJをディズニー越えさせた男



あの脅威のV字回復を実現したUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の立役者森岡毅氏。


森岡氏がUSJに入社した当時は平成22年度の年間入園者は730万人台でした。

それを平成28年度には1,460万人台にまで伸ばし、いまや、あのディズニーランド(単体)を上回る入園数にまで成長させています。


その数値を実現させた人が森岡毅氏です。

1972年生まれ。神戸大学経営学部卒。

P&Gから、日本ヴィダルサスーン、ウエラジャパンなど外資系を経て、USJへ入社しました。


このUSJ奇跡の改革のポイントは以下3点だと考えています。


【USJ奇跡の改革のポイント】

①脱映画
②脱大人
③脱関西


一つ一つ見てみましょう。


【USJ奇跡の改革のポイント】


①脱「映画」


USJはもともと「ハリウッド映画」をコンセプトとしたテーマパークでした。

この「ハリウッド映画」という枠が強みでもあり、一方弱みでもありました。

森岡氏はこの枠を取っ払います。

ハローキティやスヌーピーを加え、さらに大人気漫画「ワンピース」、大人気ゲーム「モンスターハンター」人気アニメ「進撃の巨人」や「エヴァンゲリオン」などのコラボを実現させています。

いわゆる、クールジャパンコンテンツを取り込み、脱映画アミューズメントパークを実現させています。

これは競合先である東京ディズニーリゾートに対しても、差別化された、価値ある転身だったのではないでしょうか。


②脱「大人」


もともと大人向けのテーマパークだったUSJ。

森岡氏はファミリー層開拓に乗り出します。

当時の橋本徹大阪府知事とタッグを組み、関西の子供を無料でパークに招待する『スマイル・キッズ・フリー』を実施します。

このタイミングでハローキティやスヌーピー、ワンピースのキャラクター投入も強化しています。

さらに、クールジャパンコンテンツを活用した戦略で、国内のアニメ愛好家層や、アジアを中心とした海外旅行者層も取り込みます。


③脱「関西」


仕上げはハリーポッターの投入です。

2014年にハリー・ポッターのテーマパークを誘致し、ライバルディズニーリゾートと肩を並べる存在にまで価値を高めました。

結果、関東や全国からもUSJへ訪れる方が激増。

関西のテーマパークではなく、日本を代表するテーマパークに転身したと言えるでしょう。

当時のUSJ年間売上高は約800億円というタイミングで、450億円という多額な投資であり、英断と言えるのではないでしょうか。


森岡氏の真骨頂


森岡氏の真骨頂は「価値向上」だったのではないかと思います。

年間入園者が730万人から1,460万人まで倍増させているのに、一度も入園料は値下げされていません。

値下げどころか、大幅に値上げしているのです。


森岡氏が着任した当時のUSJ入園料は5,800円。年間パスポートは10,500円。

それが平成29年には入園料7,600円、年間パスポートは22,800円と値上げされています。

年間パスは倍以上に値上げしているのです!


顧客単価と来園数の双方の拡大を実現している、まさに神業と言えるでしょう。


捨てる能力とフォーカスする能力


一般的に、ベンチャー企業や中小企業は資金やリソースは限られています。

提供できるものやサービスには限界があります。

では、どうあるべきでしょうか。

売上は気合や根性だけでは上がっていきません。


顧客は「価値」に対価を支払います。


あなただけのサービス。

ここだけにしかないサービス。

斬新的革命的商品。


同業他社、どんな大きな企業でも真似できない価値提供を目指します。


その的、その価値、一点にしぼるのです。


捨てる能力、フォーカスする能力、ベンチャー企業には必要な能力なのかもしれません。


最後に


名言を贈ります。


成功の鍵は、的を見失わないことだ。自分がもっとも力を発揮できる範囲を見極め、そこに時間とエネルギーを集中することである。
ビル・ゲイツ


本当の経営者は、来年、再来年に何をやるかというときに、だんだん広げていくのじゃなしに、だんだん狭めていく。そこに集中するために、いらんことはやめていく。そうでなければ集中できない
井深大/SONY創業者


持てる力を一点に集中させれば、必ず穴があく。
鬼塚喜八郎/アシックス創業者

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