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はじめてファミコンを買ってもらったあの時の俺へ

拝啓
どうも、いつまで経ってもPS5が買えない47歳の俺です。一体どこで売っとるん?買わせてくださいよ。

あの時の俺は10歳、小学校5年生。
地方の更に田舎の小学校。
大人になって帰省した時にたまに行ってみると、よくも夜こんな真っ暗なところに住んでたなって思う。

1983年、俺が8歳の頃に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ、通称ファミコン。

当時俺が住んでいた田舎で話題になり始めたのが俺が小学校4年の終わりぐらいだったと思う。友達のなかでぼちぼち手に入れ始めるやつがでてきて、その友達の家に遊びにいって初めてファミコンに触れた時のことをよく覚えている。

絵に書いたような貧乏だった我が家、当然ファミコンなんて買う余裕はない。それは子供ながらに分かっていた。
友達の家で遊ばせてもらうにも限界がある。
その間に友達はどんどんカセットを増やしていく。
学校でも話題の中心がファミコンになってきた。周囲になんにもない田舎だったこともあって。

親に買ってほしいとねだってみたが、当然買ってくれない。
買わない理由としてゲームばっかりやってると目が悪くなる、勉強しなくなると言われたが、買う余裕がなかったのが正直なところだろう。自分が大人になってみて初めてその気持がわかる。でもあの頃の子供の俺には分からない。
それでも、友達でファミコン持つやつが増える中で自分だけが持てず、しょんぼりする俺を見かねたのか、ある日突然、親がファミコンを買ってきてくれたのだ。それまで電化製品といえばせいぜいテレビぐらいだった我が家に、コンピュータと名のつくものがやってきたのだ。

友達を家に呼び、説明書を見ながらテレビに接続した。初めてつながった画面を見た時の感動も覚えている。

ただ、問題が一つあった。
贅沢な問題だ。

遊ぶにはファミコン本体だけではなくカセットが必要だ。
親がファミコンを買ってくれたその時期は、ちょうどスーパーマリオブラザーズが発売されたタイミングだったのだ。

このパッケージの絵が懐かしい。
発売早々から大人気のスーパーマリオ。
当然俺が住んでいた田舎ではなかなか手に入らない。
俺の周りの友達も1人だけ手に入れてたぐらい。

俺の親は家電やコンピュータに明るくない。
きっとファミコンを買った時に店員さんが、カセットがないと遊べませんよと教えてくれたのだろう。
何も知らない親が頑張って買ってきてくれた、俺にとってのファーストファミコンゲームはこれだった。

ドルアーガの塔。このパッケージも懐かしい。
俺の親がこれを知ってるわけがない。店員さんがすすめてくれたであろうカセットを買ってきてくれたのだ。
もちろん当時の俺も何も知らない。アーケードで大人気だったゲームの移植版だが、そもそもゲーセンで遊んだこともない。何もかもが初めてだった。カセット差し込んで遊んで見るが、もう面白いのかどうかも分からない。
むずい、ムズすぎる。
そんな途方にくれていた俺にカセットを貸してくれる友人のお兄さんが教えてくれた。このゲームは攻略本がないと遊べないよって。

当時はインターネットなんてない。ファミコンの情報といえばファミ通。

もちろん雑誌を買う余裕なんてない俺はそのお兄さんにこの雑誌を借りて見せてもらってた。ファミ通にのってる裏技を試すのが楽しかった。
ガバスもらったことないけど懐かしい。
でもファミ通だけではどうにもならない。親に頼み込んでようやく攻略本を買ってもらった。買ってもらったはいいが、結局小学生には難しい!60面まで誰がたどり着けるんよこれ。

またも途方に暮れてた俺に神の啓示がやってくる。あの有名な裏技、面セレクトのコマンドだ

今でも覚えている。上下左右下上右左左右下上右左上。
このドルアーガの塔の面セレクトとグラディウスの上上下下左右左右BAは今でも覚えている。
このコマンドと攻略本のおかげで田舎の小学5年の俺は無事ファミコンデビューを果たせたのだ。

時は経って令和。
今やあの頃ファミコンでやってたゲームはスマホで無料で遊べる時代だ。
ドラクエの復活の呪文を間違えてメモってて、二度とあの時に戻れないとわかった時の絶望はもうない。
便利な世の中になった。
テレビに繋ぐのもケーブル1本刺すだけ。

でもあの頃の
アナログのテレビに有線つないで初めて画面が映った時
何回やってもクリアできなかったゲームをようやくクリアできた時
高橋名人の16連射を真似して力んでコントローラー連打したあの時
あの感動は忘れられない。
シューティングウォッチほしかった。友達のやつで粘ったな。

大人になって、自分で稼いで、趣味の範囲なら欲しいものはある程度手に入れられるようになった。世の中自体が豊かになった。
自分自身も知識が増えて、知らないことがあってもすぐアプローチできるようになった。
でも色んなテクノロジーが出てきて、どんどん世の中が変わっていくあのワクワク感は少なくなったような気がする。

あの時の俺。
今思えばファミコンを手に入れる寸前ぐらいまでが一番ワクワクしてたような気がする。手に入れてしまうと、遊べる嬉しさはあったけど、だんだん慣れてしまって中学になるころにはあんまりゲームしなくなったね。
でもあの時のテクノロジーを手に入れた感触が病みつきになって、大人になってもガラケーしょっちゅう機種変したり、

いろんなPC試してみたり、ガジェット好きのおっさんになってる。
好奇心を持つことは大切だ。
ワクワクする事にチャレンジしろよ!
貧しいながら工面してファミコンを手に入れてくれた親に感謝しろよ!

じゃあな、頑張れよ。あの時の俺。
風雲たけし城はどうやってもクリアできないからな!
敬具


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