亜蘭

亜蘭トーチカ初単行本『順風満帆』(セミ書房)

亜蘭

亜蘭トーチカ初単行本『順風満帆』(セミ書房)

記事一覧

固定された記事
+15

たぶん悪魔が

亜蘭
3年前
72

好美のぼる『蟇少女』切ないストーリーに隠された本当の恐ろしさ

 好美のぼるの『蟇少女』は本当に恐ろしい漫画です。私はこの漫画を読んで、その恐ろしさに震えあがり、またこの漫画が持つ高度な物語構造に興奮をも覚えました。『蟇少女…

亜蘭
2年前
1

小田尚稔「是でいいのだ」批評

 2021年3月15日、三鷹SCOOLにて演劇「是でいいのだ」19時の回を観劇した。この演劇は批評の言葉を待っていると感じたので、文章を書く。 「是でいいのだ」を観劇せずにこ…

亜蘭
3年前
8

不吉霊二の漫画について

 不吉霊二、この素晴らしい才能について何かを言おうとするといつも悩んでしまいます。1997 年生まれの不吉霊二は 2010 年代の終わりに漫画界に不意に現れ、これまで …

亜蘭
5年前
19

斎藤潤一郎「死都調布」について

 死都調布について語るのは、まずCHAPTER.5の「IN THE DOGGSOUP」を語ることから始める。このCHAPTERには「死都調布」の世界観が詰まっていて、読めば「死都調布」とは何…

亜蘭
5年前
14

好美のぼる『蟇少女』切ないストーリーに隠された本当の恐ろしさ

 好美のぼるの『蟇少女』は本当に恐ろしい漫画です。私はこの漫画を読んで、その恐ろしさに震えあがり、またこの漫画が持つ高度な物語構造に興奮をも覚えました。『蟇少女』には貸本怪奇漫画によくみられる、子ども達の怖いもの見たさを満たすためのグロテスクな描写と残忍なストーリーというだけでは説明のつかない恐ろしさがあります。
 こんな風に書くと、『蟇少女』を読んだ読者の中には「そんなに恐ろしい漫画ではなかった

もっとみる

小田尚稔「是でいいのだ」批評

 2021年3月15日、三鷹SCOOLにて演劇「是でいいのだ」19時の回を観劇した。この演劇は批評の言葉を待っていると感じたので、文章を書く。
「是でいいのだ」を観劇せずにこの文章を読む人がいる可能性を考慮し、観劇していない人にも「是でいいのだ」の特徴を伝えられるようになるべく丁寧に文章を書くことを心掛ける。観劇した人には冗長な部分も多いと思うがご勘弁ください。
 「是でいいのだ」は2011年3月

もっとみる

不吉霊二の漫画について

 不吉霊二、この素晴らしい才能について何かを言おうとするといつも悩んでしまいます。1997 年生まれの不吉霊二は 2010 年代の終わりに漫画界に不意に現れ、これまで 自費出版の単行本1冊と商業デビュー(トーチでの「あばよ~ベイビーイッツユー~」)してから僅か4話しか発表していないにも関わらず 2010 年代最高の漫画家の一人になってしまいました。
 不吉霊二の漫画を読むと、これに対

もっとみる

斎藤潤一郎「死都調布」について

 死都調布について語るのは、まずCHAPTER.5の「IN THE DOGGSOUP」を語ることから始める。このCHAPTERには「死都調布」の世界観が詰まっていて、読めば「死都調布」とは何なのかが少し見えてくるだろう。
 このCHAPTERの開始から3頁目、人間の頭蓋骨にたかる蠅と犬に餌をやる髪を束ねた半裸の女が描かれる。女はルンペンと会話を交わし、次のページでルンペンは犬に食い殺され死体となっ

もっとみる