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ヒノ影アラン詩集「欠けた頭の半月から(電子版)」

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みなさま初めまして。ヒノ影アランと申します。 言葉を書くのが生業、です。 ちょっと詰まったのはまだまだ売れへん物書きだからです。小五の頃から人知れずずっとカキカキしています。 …
こんな人にオススメです。 ・学校生活になじめなかった人 ・自分を許せずにいる人 ・人ごみが苦手な…
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欠けた頭の半月から



お品書き

1 表題より 《欠けた頭の半月から》

2 《狼煙》

3 《バースデイ》

4 《モラトリアム》

5 《鏡映》

6 《「海に沈む」》

7 《ピラニア》

8 《こい》

9 《言の葉》

10 《右往も左往も》

11 《見舞えず仕舞い》

12 《快適さを作るのは》

13 《地球のように》

14 《幸せ》

15 《WISH》

16 《親愛なるあなたに》

17 終

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《モラトリアム》



15、6のかがやき
高いこえ
罵倒、恋愛
ださい服

《「海に沈む」》



くらい海に沈むお前を見下げる
もういくつもの枷がお前の手を足を襲ってかじっている
錘が浮力をうばう
お前の指先はまだ水面を追う
お前は海底の闇に陰っていく

眺めたまま
おれも苦しくなる
空気が架空の枷となって
いやでも海に沈むおもいがする

お前をつきおとしたのは
おれの尊敬する彼らだった

たしかに水圧の苦しみが
お前にあるはずなのに
正しかった奴らは笑っている
彼らの髪は
濡れて 塩の

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《言の葉》

お庭に
みずみずしい言葉が咲いたので
摘んで飾つては
笑つてゐる

《見舞えず仕舞い》

  どうしても
  あなたの痛みにふれられない私
  だれかに見舞われ喜ぶあなた

  痛みにふれるとき
  私の凝りはあなたにもきっと
  伝染ってしまう

  疲れさせていたくはないの
  むしろ出来れば薬になりたい私は
  けれど気遣いの副作用をもってして
  あなたに負荷をかけてしまう

  空気ににじんだ心の液を
  とりもなおさず吸い取るあなただから

《快適さを作るのは》



快適さを作るのは、

不快なほどの労力です
嘲笑われるほどのひたむきです
しみったれた悲しみです
呆れるほどの愛情です
みずから望む苦しさです

《地球のように》

自転する命をどうすることも
できぬまま僕は
置いてゆかれて春になる
凍えたコアはそのままで
椿も咲いてやいないのに
名もない空が粘土のように
張り付いて離れないのは
固まるときを待っているのだろうか