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駅にはステンドグラスアートが多い?

鉄道の駅にはモニュメント、銅像、絵画など様々なアート作品が設置されています。
たとえば渋谷駅にはハチ公像や岡本太郎の「明日への神話」、東京駅には銀の鈴、仙台駅には政宗像、名古屋駅にはナナちゃん人形(駅というか名鉄百貨店ですが)など・・・
このような公共の場に設置されているアート作品をパブリックアートと呼びますが、駅だけでなく空港、公園、役所、商業施設などにも多くの作品があります。

最近、地下道を中心に都内の様々な駅を散歩していて、駅にあるパブリックアートには「ステンドグラス」が多いのではないか?と思うようになりました。
知っているだけでも、東京駅、上野駅、銀座駅、新橋駅、目白駅、浦和美園駅、仙台駅、札幌駅・・・最近日本橋駅にも新設されたと聞きました。

ステンドグラスはカラフルで「映える」ので印象に残りやすいだけかもしれませんが、実際はどうなのか調べてみました。

東京駅京葉線方面にある「天地創造」
目白駅の正面入口のステンドグラス


日本交通文化協会

全国各地の駅にあるステンドグラスについて調べていると、「日本交通文化協会」が設置したものが多いことが分かりました。

パブリックアート普及活動を行っている団体で、これまでに549作品を日本の公共施設に設置したそうです。
また、「1%フォー・アート」という、公共建築の建設費の1%をアートに使おうという活動も行っています。

こちらのホームページから、手掛けた作品のうちステンドグラスがどのくらいあるか調べてみると・・・

全体では193/549≒35%
鉄道駅だけで見ると、48/110≒44%
なんと4割以上がステンドグラスでした。(2022年1月現在)
やっぱり多いですね。

ちなみに日本交通文化協会では「ステンドグラス」と「陶板レリーフ」を「パブリックアートには最適な素材」と定義しているそうです。
なるほど、確かに陶板レリーフも上記のように鉄道駅への設置数を見ると42作品と、ステンドグラスに次いで多いようです。

パブリックアートに最適な素材とは?

ここからは推測の話になりますが、最適である理由として「劣化しにくい」と、「平面である」ということが挙げられると思います。

前者についてですが、ヨーロッパでは昔からステンドグラスが多くの教会に設置され、キリストの教えを民衆に伝える役割を担っていました。
識字率が低かったため絵で伝える必要があり、しかも光を利用した表現によって神や天国の美しさや神々しさを表していたとも言われています。
そしてそれら教会のステンドグラスは今でも多く残っており、当時と変わらない姿を保っています。
素材が硝子と鉛などの金属なので、気候の影響を受けにくい室内であれば半永久的に朽ちることはないのでしょう。
陶板にも同じことが言えると思います。

後者についてですが、平面であるが故に壁際に設置することができ、大きな作品でも人々の往来を妨げることがない、という利点があると思います。
狭い日本で、特に交通の要衝である駅ならばなおさらこの利点が生きますね。

所感

こうして調べてみて、確かに日本にはパブリックアートとしてのステンドグラスが多いことが分かりました。
あと、あまりここには書きませんでしたが、公共施設が思った以上にアートにお金を使い、アーティストを支援しているということも分かりました。
駅の広場で展覧会をやったりピアノを置いてコンサートをしたりするのもこの一環なんでしょう。
それと、できれば写真、絵画、版画など他の美術ジャンルの作品もパブリックアートとして展示する機会を増やして、アーティストをより平等に支援できるようにしてほしいですね。

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