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『夏の夜のサンバ/和田アキ子(1972)』:男と女はハッシッシ

 梅雨明けはまだですが、もう夏でしょ! というかこれ以上は勘弁してくれ。昔の夏はもっと大人しかったはずなのに。
 そんな気分を晴らすべく、今となっては懐かしい伊集院光の「アレコード」から一曲。

『夏の夜のサンバ/和田アキ子』

 作詞:阿久悠、作曲:森田公一と黄金の布陣。アッコさんのパワフルさはもちろんですが「とにかく通りが良い」んです。ただ大声で歌ってるのでなしに、しつこさも無く何ら不快感を覚えないこの歌声。こんな歌手、なかなかいませんって。

 さて歌詞を見てみると、いきなり気になるフレーズが出てきますね。

「♬ ギラギラ太陽が沈んだら 男と女はハッシッシ」

 出ました「ハッシッシ」。ハッシッシといえば常田富士男さんの珍盤
『私のビートルズ』
にも歌われていたフレーズです。アチラの曲では
「♬ ハゲ山のハゲタカが 私を少しかじったから
   ハッシッシ ハッシッシ ハッシッシをあげたのさ 夢見る旅」
ときてます。「ハッシッシをあげる」からには明らかにこれは「モノ」ですよね。
 まあ勿体ぶらずに書くと、ハッシッシ(ハッシシ)とは大麻、いわゆるマリファナと呼ばれる物質を集めた樹脂のこと。こんなのをあげちゃうという歌詞も今となってはアレですね。しかしビートルズと麻薬及び向精神薬、てのは何ら無縁ではなく(むしろ根深い)それを反映した歌詞ともいえます。


 じゃあ、常田富士男のハッシッシは分かったとして、和田アキ子のハッシッシはどこから? となりますが、歌詞を読む限りだと、男と女がクスリを盛ってる感じはしません。
 一方で「ハッシッシ」と検索すると
「ハッシッシ(する):蜂起する。ハチが巣から一斉に飛びたつように、大勢が一時に暴動・反乱などの行動を起こすこと」
といった結果が出てきます。ただこの解説が載っているはずのコトバンクにはなぜか掲載されていないので、イマイチはっきりしないのですね。
 ただハッシッシ=麻薬ですから、向精神的な作用が働いているのは確かです。となると、考えつくのは一つ。

「真夏の夜に男女二人でアツアツになり、とにかくテンションが上がっている様子を『麻薬をキメている』様子に例えた」

 というコトではないでしょうか。なにせ2番の歌詞では

「♬ ギラギラ太陽が沈んだら モヤモヤ気分がハッシッシ」

 とあり、何かスッキリした気分が伝わってきてます。それをハッシシになぞらえて表現した。何とも大胆な阿久悠ワールドでありました。

 まあ、これを何度も飽きずに聴いてる私も、かなりのアレコード中毒者かもしれません。

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