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コミケ戦利品紹介・Ⅱ『TOKYOミラクルボード きぬた歯科看板大全 ALPHA』

「♬イ~ンプラントのきぬた歯科」

 関東エリアの民放ラジオを毎日聴いていると、間違いなく一日一回どこかしらで耳にするメロディーだ。「たぬきの反対、『きぬた』で覚えてください」のフレーズと合わせて何か耳に残る。
 そんなラジオCMでおなじみの、東京・西八王子駅前にある「きぬた歯科」。1996年に東京西部で開業したこの歯医者さんは、街角にある広告看板にも非常に力を注いでいる。きぬた歯科はなぜこのような看板を設置するに至ったか、そして院長自身が考える宣伝の意義とは何かまで綴られた、きぬた歯科公認の一冊である。

 この同人誌ではその特徴的な看板を全ページフルカラーで紹介。ピンク・黒・青の三色を大胆に配色し、院長の顔写真がデカデカと載せたその看板はとにかく目立つらしい。最近ではその3色だけでなく、黄色地や白地のものも設置され、よりバラエティに飛んだものになっているようだ。

 ……「らしい」「ようだ」と推定系で書いたのは、その看板をまだリアルで見た記憶がないからだ。しかしフルカラーで掲載されている冊子の写真を見る限りだと、やはり目立つ。そして何より記憶に残る。これは先にラジオCMを耳にしているせいかもしれないが、だからこそなのだ。
 仕事やレジャー等でクルマを使う方がカーラジオを聴きつつ運転しているのなら、その折に普段耳にしているラジオCMの元となる歯医者の看板を見つけたら、ああこれのことかとさらに記憶が重ねられるはずである。既存のメディア媒体をしっかり活用している様子がよく分かる。

 院長によると、自身の顔写真を乗せるきっかけは、一時期インプラントの予約が減ってしまい、打開策として宣伝のあり方を見直した際、自撮り写真を見て「これだ!」と閃いたからだとか。
 しかしいくら院長とて一般人と同じである。宣伝効果はあるのか? と思うかも知れないが、タレントではなくあえて「普通の人」を載せたことで胡散臭さが増し
「この人、誰?」
と目に留まるような看板を作り出せたそうだ。これはアパホテルの
「私が社長です」
にも通じる。あのホテルも展開当初こそ「社長」のインパクトに心をざわつかせた方も多かったようだが、いざ実際に宿泊するとそのサービス精神が評価されリピーターが続出。今や日本でも指折りのホテルチェーンにまで成長したのは言うまでもない。
 そしてきぬた歯科もアパホテルと同じなのだろう。これは数字にも現れており、看板に掲げたインプラント埋入の実績だけでも、有名大学が年平均1000本くらいなのに対し、きぬた歯科は疫禍前まで年平均3000本前後の案件があり、ココ数年の疫禍においても2800件はこなしたというから驚きだ。

 また、きぬた歯科はあえてビルの上や道路沿いの一枚看板を狙って広告を打っている。人通りが多いところに設置された複数の看板を集めたところ(※集合看板)では、周囲に埋もれて存在感が薄れてしまうと考え、あえて一匹狼のような看板を出しているという。人が集まるからといって、そこが宣伝に最適な場所だとは限らないとは思わなんだ。意外なうえに興味深い結論である。

 冊子ではきぬた歯科だけでなく、その長い歴史の中で独立していった歯科医師達の看板に加え、全く異業種なれど物凄くリスペクトしてる(としか思えない)モノまで紹介。とにかくきぬた歯科看板愛に溢れている。関東在住の方ならもっと知ってほしいし、もし他のエリア在住の方であればこんな関東ローカル宣伝があることをぜひ知ってほしい。

 が、この冊子によると関東ローカルといいつつ、どう考えても西八王子駅前まで気軽に足を運べるような距離ではない栃木県足利市・あしかがフラワーパーク駅近隣にも看板を出しているそうだ。これは院長が足利出身という縁だそうだが、何と三重県の国道23号線沿いにも電柱看板を出しているそうだ。これはどういう繋がりなのか……
 ただ足利なら群馬から非常に近い。看板の現物を見るなら、東京方面ではなくあえて栃木へ向かうのが良さそうだ。


<余談>

 この冊子によると、きぬた歯科はデザインこそ同じに見えて、実は細かな表記違いやバージョン違いが多数存在するらしい。それゆえ、冊子を発行したサークルではこんなグッズまで(きちんと公認して)作ってしまった。

『きぬた歯科神経衰弱』


 そのバージョン違いをカードゲームになった。どう違うかというと、

全部違うカードです(※いずれも実在する看板だとか)

 今回の戦利品はこれが優勝だ。



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