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ウルトラセブン55周年、何かが始まる……のか?

 放送から55周年を迎えたウルトラセブン。公式が記念サイトを立ち上げて特撮界隈もざわついてますね。メインビジュアルや7つのキーワードも発表されるなど、円谷プロも力を注いでるのが分かります。

 自分達と異なる存在を、叩くのは簡単だ。
だが彼は、どこまでも分かり合おうとした。
どんなに対立しても、分かり合えると信じ続けた。
たとえ裏切られ、傷つき、倒れ、力尽きても。
なぜなら彼はお互いの理解の先にこそ、
希望があると知っていたから。
彼の背中を目指し、わたしたちは歩んでいきたい。
55年前、未来があった。

公式サイトより

 この文章だけでも意味深ですね。セブンといえば『狙われた街』や『超兵器R1号』そして『ノンマルトの使者』といったメッセージ性の強いエピソードがしばしば紹介されますし、最終回もまさに力尽きるまで戦い地球を去っていく。その姿に涙した人も多いでしょう。
 「7つのキーワード」の2つ目には「魅力的なエピソードを観る」とあります。セブンは今年の春までNHK-BSPで毎週オンエアされてましたが、それとは別に何かしらの形で放映または全国上映される機会が設けられるのかもしれません。『シン・ウルトラマン』上映時も庵野秀明セレクションという形で過去エピソードが銀幕にかかりましたから、その可能性もあるでしょう。

 一方で「知る」「エピソードを観る」のであれば、そろそろ「封印された12話」ことスペル星人登場回の『遊星より愛をこめて』を復活させてもいいと思うのですよね。放射能や原爆病、被爆といった単語に引っ張られがちですが、製作時の1967年といえば戦後20数年、それらの案件は他の特撮作品でも『フランケンシュタイン対地底怪獣』や『怪奇大作戦』の「死神の子守唄」でもそんな要素が出てくるほどの社会問題だったわけで。特に「死神の子守唄」は12話と同じ監督と脚本家による回でテーマも全く同じ。物語のメッセージ性は十分あるのです。「遊星より愛をこめて」は「愛していた人が、実は……」という悲劇性のあるストーリーでゲスト出演の桜井浩子さんが好演しています。そういう点でもポイントは高い。

 ましてや『遊星より愛をこめて』は最初から問題視されたのではなく、放送から数年後に刊行された怪獣図鑑の「スペル星人」に表記された別名「被爆星人」という部分がきっかけです。これがとある団体の目に止まった後、某新聞社によってことさら騒ぎたてられてしまい、最終的に欠番という形に追い込まれたのが真相。作品の内容そのものではないのです。
 いいかげん封印にも限界はあります。変な噂や情報が広まって話の真実が置き去りにされるのなら、いっそ開放してしまえと思ってます。

 さてスペル星人ばかり語るのもアレなので話を戻すと……「7つのキーワード」を辿っていくと最終的に「現代の技術で向き合う」とあります。
 これは新作、という意味でしょうか。『シン・ウルトラマン デザインワークス』によると、庵野監督は企画時に三部作の構想を持ち込み「シンウル→続・シンウル→シン・ウルトラセブン」という流れを考えていたようです。プロットの内容からして『シン・ウルトラマン』は企画時の「シンウル」と「続」をまとめた作品のようですから、なら「シン・ウルトラセブンが来るのか?」と期待してしまいます。

 しかしこれに関して庵野監督は現実的なハードルの高さを挙げて「難しいだろう」と語っています。物語性ではなく設定からして怪獣攻撃隊や基地等々の描写が必須になるゆえ、製作費が余計にかさむという点がまずあるのだとか。シンウルは興収40億突破という成績を残せましたが、その流れでセブンもヒットするかといったら正直想像も付かないのですね。かといって「出来る範囲で」終わってしまうのでは何の面白みも無い。どうせやるなら本格的に、が理想なのですが……


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